学校で行う訓練と言えば、地震や火事に備えた防災訓練。
でも、海外の学校では、防災訓練以外に、「Lockdown Drill」という訓練も行われています。
Lockdown Drillとは?
Drillは「訓練」や「反復練習」と訳されますが、Lockdownは「封鎖」、「拘束」、「監禁」といった意味があります。
アルクの辞書では訓練としての「避難」も登録されているように、Lockdownという言葉が避難訓練として一般的に使われています。
lockdown
どのような訓練かというと、学校内に不審者が侵入した時に備えて、子供や先生達が安全な場所に逃げこみ、部屋をロックして待機するというものです。
カナダの小学校に通っている息子ですが、校内アナウンスで「It’s time to practice Lockdown!」とロックダウン訓練のお知らせが流れたら、
- 一番近くにある、鍵の出来る部屋に逃げ込む
- 部屋の鍵をし、窓も閉める
- 部屋の隅に集まり、体を丸めて小さくする
- 校長先生や警察が来てくれるまで、ひたすら静かに待つ
- トイレに行っているときにロックダウンになったら、鍵をかけて便座の上に登って、ドアの隙間から足が見えないように隠れる
このような訓練を行っています。そして、訓練中は本物の警察も立ち合い、学校の避難体制に問題がないかなども確認してくれます。
アメリカでは、よく学校内での銃乱射事件が発生し、問題になっていますよね。そのため、ロックダウン訓練はとても一般的で、年に1~2回行われています。日本の防災訓練の感覚と同じですね。
アメリカと違い、カナダでは銃規制が厳しく、銃事件はさほど発生していませんが、2015年1月には、サスカチュワン州の学校で4人が亡くなるという銃乱射事件もありましたし、日常のニュースでも銃事件や犯罪の数は日本より多め。いざと言うときの為に、備えなければなりません。
これ・・・、意味あるの?
ただ、個人的にはこのロックダウン訓練には疑問を感じる点もあります。
実際の訓練では、この写真のように、部屋の隅にみんなで小さくなって、ロックダウン解除になるまでじっと待つのですが、逃げ込む先はたいてい、窓だらけの教室。侵入しようと思えば、簡単にガラスを割って侵入できるわけです。
窓もなく、強固なドアで守られた部屋に逃げ込むのであれば話は別ですが、無防備な教室で集団で身を寄せてじっと待つだなんて、本当に安全な対策と言えるのでしょうか・・。
また、息子が通う学校の場合、疑問点がもう一つ。
教室にはドアが前後に2つあるのですが、それぞれのドアに中の様子を伺える窓ガラスが付いています。イメージ的には、こんな感じ。
そのため、廊下から教室の中は丸見え。不審者から身を隠そうにも、数十人の生徒全員が隠れられる死角なんて、どこにもありません。
「でも、さすがに、窓はカーテンで隠すんでしょう??」
と思いますよね。
でも、息子曰く「何もしない」らしいです。
体を寄せ合ってじっとしている子供たちを見つけたら、侵入者にとっては、なんていいカモ、いい人質!さすがに、本当に不審者が校内に侵入するような事件が発生した際には、先生がドアの窓を塞いでくれるはず、と信じたいのですが。
アメリカでよく発生しているような、子供が銃を学校に持ち込み、乱射事件を起こすようなケースでは、教室に逃げ込むロックダウンは大きな効果を上げると思います。
ただ、犯人が大人の場合、そして、その犯人が凶悪であればあるほど、下手すると、大きな被害を招く危険性もはらんでいるように思えてなりません。
以上、海外の学校で行われている「Lockdown」こと、不審者からの避難訓練についてご紹介しました。
日本では地震、津波といった自然災害への備えが必要な一方、犯罪に備えた訓練が必要な海外。このような訓練の存在からも、日本と違って、身の安全を守らなければならない場所に住んでいるんだと思い知らされます。
防災訓練もそうですが、このロックダウン訓練も、決して「本番」が来ないことを祈ります。