新卒や若者を重視して採用する日本と違い、経験豊富な人材を採用する傾向が強いカナダ。そのため、カナダでは新卒や若い人ほど就職が難しいとされています。
学校を卒業しても、どれくらいの人が無職になっているのか――、今回の記事では、気になるカナダの若年失業率をご紹介したいと思います。
また、若者の就職難を打開するために、ノバスコシア州では2015年より「Graduate to Opportunity」という新卒就業支援制度を導入しています。
学校を卒業したばかりの方、そしてこれから卒業予定の方は、ノバスコシア州での就職活動も視野に入れてみるのも良いかも!?
若者の失業率、国別ランキング
出典:oecd.org
上記は、2014年時の15-29歳の失業率を国別に比較したグラフです。
これによると、日本の若年失業率は9.7%。日本もずいぶん若年失業率が高くなってきていますが、カナダではさらに13.4%と高くなっています。トルコやギリシャなどでは3割の若者が無職という状況に比べると、まだマシなレベルとは言え、13%というのはかなり高い割合ですね。カレッジや大学などを出ても、就職が難しい状況が伺えます。
カナダ全体の失業率7%に対し、若者の失業率は13%
下記記事でもご紹介しましたが、2016年現在、カナダ全体の失業率は7%前後となっています。
これに対して、若者の失業率は約13%ですので、全体から比べると5%も開きがあるわけです。このデータからも、カナダでの就職活動は、新卒ほど難しく、経験者ほど有利になっていることが表れていますね。
確かに、カナダに来て感じたことの一つに、いろんな職場において、働いている人の年齢層が高いことがあります。
日本では接客業ともなると、特に若い世代が目立ちますが、カナダでは美容部員やショップ店員さんであっても、若者よりも中高年世代が多く活躍しています。
年齢による差別もありませんし、退職後もパートタイムなどで働き続ける人が多いことから、若者が入る隙がないそうです。年齢に捉われず就職できる、そして長く働けるというのは、とてもありがたいことですが、その一方で、若者にとっては経験を積もうにも、最初の職場も見つからない状況というのは問題です。
さらに州別に若者の失業率を見てみると、下記の通り、東海岸側では特に失業率が高く、特にニューブランズウィック州では18%もの若者が無職と言う厳しい状況です。
ノバスコシア州政府の新卒就業対策「Graduate to Opportunity」
即戦力になる経験者を確保したい会社。経験を積もうにも、最初の会社が見つからない新卒者。
この両者の隔たりを打開するために、ノバスコシア州では2015年より「Graduate to Opportunity」という若者就職支援プログラムを導入しています。
このプログラムは、カレッジや大学を卒業した人をフルタイムで採用した会社に対し、該当者の給与を最大25%まで州政府が補助するという制度です。採用1年目は給与の25%補助、2年目は12.5%補助となります。
ノバスコシア州では若年失業率約15%と、カナダの中でも高い失業率になっていただけに、この支援策でNS州の若者の就職難を打開し、将来的に有望な人材を確保したい狙いがあるそうです。
実際にどれくらい効果が上がっているのか、ノバスコシア州の失業率を見てみましたが、今のところ、この支援策導入前後では値に大きな差は見られません。
ただ、そもそもの労働市場の状況に違いがあるため、この失業率データだけでは単純比較が出来ませんね。
データからはこの支援制度の効果はあまり分かりませんでしたが、給与25%を州政府が補助するというのは、企業側にとっては、『新卒者を採用しよう』という大きな後押しにはなっていると思います。
就職時にノバスコシア州に住んでいれば、カレッジや大学はどこの学校でも良いようなので、卒業間近な学生や、新卒者にとってはノバスコシアまで幅を広げて就職活動することを視野に入れてみるのも、良いかも――、しれません。
ただ、そもそも年齢全体の失業率が高い州ですので、この支援制度があっても、厳しいのは確かですが・・。
まとめ
以上、カナダの若年失業率と、ノバスコシア州の若者就職支援制度をご紹介しました。
30代後半ともなれば就職活動が一気に難しくなる日本と違い、カナダでは学歴や経験さえあれば、年齢はほとんど障害にはなりません。
年齢に関係なくチャレンジしやすい環境とも言え、とてもありがたく感じてきましたが、これから経験を積もうという若者にとっては、とても厳しい文化ですよね。カレッジや大学に行っても就職できないかも――、という不安のせいで、希望の道への進学すらも諦めてしまう人もいるかもしれません。
インターシップなどで経験を積むのも有効だと思いますが、ノバスコシア州の若者支援のような制度で、企業側に新卒採用に積極的になってもらうのは、とても有効な策だと思います。こういった制度が浸透し、卒業後の就職への不安が薄らぎ、希望の道により進みやすくなるとよいですよね。