先日ブログでも少しお伝えしましたが、最近、夫の仕事の都合でオンタリオ州へ引越しました。
ここ数ヶ月、かなり真剣に就職活動をしていた夫。念願だった会社に採用が決まったことで、大好きだったハリファックスを離れる決意をし、引越しに至りました。
夫にとっては大満足の結果となった就職活動ですが、その過程は決して順風満帆ではありません。応募した数、なんと220件!面接を受けた回数も約50回!
そして、そのうちオファーをもらえたのは、3件のみという厳しい現実・・・
でも、さすがに数をこなして、苦労してきただけあります。夫曰く、カナダの就職活動事情はかなり分かってきたそうです。
これまでカナダでの就職活動に関して、ご質問を頂く機会も多かったので、今回は百戦錬磨とも言える?夫より、成功するための効果的な方法や、重要戦略などを具体的にご紹介したいと思います。
カナダで企業向けの就職活動をする方には、ぜひ参考にしてくださいね!
この記事の目次
アピール力の高いレジュメ作成
就職活動をするにあたり、まずは魅力的なレジュメ作りは大前提です。
下記記事で、効果的なレジュメの書き方や、実際に使用できるレジュメテンプレートを公開していますので、ご参考ください。
レジュメが作成出来たら、下記の点も要注意です。
レジュメチェック
ネイティブスピーカーの友人や、就職斡旋団体や、移民サポート団体などでレジュメのチェックをしてもらいましょう。
レジュメの見直し
応募しても音沙汰が無い場合は、レジュメの問題かも。応募しながらも、何度もレジュメを見直し、改定しましょう。
有料レジュメ作成代行サービスを利用してみる
作成したレジュメをブラッシュアップしてくれる有料サービスがあります。夫は、Monsterというサイトの有料レジュメ作成サービスを利用しました。
200ドルという、なかなか高い費用でしたが、、、プロが書いてくれたレジュメで応募を始めた結果、書類審査を通り、面接に進む回数が激増しました。
以前のレジュメは、移民サポート団体でチェックをしてもらっていて、内容は完璧だとも言われていたのですが、、、実際のところは、全くアピール力に欠けたレジュメだったということになります。
対費用効果は非常に高かったので、書類審査で落ちてばかり、という方には、ぜひおすすめです。詳細は先ほどの記事と共に、下記記事でも紹介していますので、ご参考ください。
募集要項に応じて、レジュメとカバーレターを修正する
応募数が多くなってくると、一件ずつ内容を書き換えるのは非常に面倒ではありますが、、、求人内容に応じて、アピールするスキルなどを修正するのが理想です。
特に、自分の希望する会社や案件に応募する場合は、しっかり募集要項に応じたアピールポイントをねじ込みましょう。
求人サイト
カナダの求人サイトには、LinkedIn、Indeed、Monsterといった民間サイトや、カナダ政府が運営しているJob Bankなどがあります。特に、LinkedInとIndeedは絶対外せないサイトです。
プロフィールを登録しておけば、自分の職種にあった求人がWeb上で閲覧できるようになりますが、精度は低め。ただ、求人情報以外で、大活用できるサイトなので、LinkedInについては詳しく後述します。
Indeed
業界にもよるかもしれませんが、Indeedは正社員や契約社員の求人件数が一番多いサイトだと思います。Indeedにしか掲載されていない求人も多いです。
Indeedでは、自分のレジュメがアップロードできるので、ぜひアップロードしておきましょう。レジュメがリクルーターの目に留まれば、リクルータから仕事紹介の連絡が来ることもあります。
また、自分が仕事検索したキーワードを元に、新着求人情報がメールで送られてくるようになるので、毎日チェックしておけば、取りこぼしがありません。
ちなみに、Indeed、Monster、LinkedInなどの求人広告には2つのタイプがあります。求人募集している会社が直接求人広告を出しているタイプと、人材紹介会社が仲介で求人広告を出しているタイプの2つです。
前者は直接会社とのやり取りとなりますが、後者はリクルータとのやり取りとなり、応募した求人以外の案件についても紹介してもらえることがあります。
人材紹介会社は、採用が決定することで、企業側から紹介料をもらえるため、何かとサポートしてくれます。(リクルーターにもよりますが)
また、お給料交渉など、仲介に入ってくれるので、楽でもあります。しかし、そこにはリクルーター側の駆け引きもあると思うので、企業側の本音が見えにくいというマイナス面も。リクルーター経由の応募には良し悪しがあると思います。
日本語で対応してくれる人材紹介会社
数は少ないですが、カナダにも日本語で対応している人材会社があります。
- Pasona
ただし、案件は少な目。問い合わせてみると、自分の職種にあった案件を紹介してくれるかもしれません。 - Activ8 Career (以前は TOP CANADA という名前でした)
こちらは日本語を使う仕事をメインで扱っています。また、カナダだけでなく、アメリカの案件も扱っているようです。
LinkedInを大活用する
アメリカやカナダの就職活動ではLinkedInがとても一般的に利用されています。Facebookの職業版という感じで、企業で働いている人のほとんどが登録していると言っても過言ではありません。
企業への就職活動を希望している人であれば、登録必須!LinkedInを有効活用することが、就職活動の成功の秘訣とも言えます。まだ登録していない方は、今すぐ登録しておきましょう!
でも、単にプロフィールを登録するだけでは不十分。下記の方法で積極的に活用することをおすすめします。
就職活動中であることをアピール
LinkedIn のプロフィールのすぐ見えるところに、「I’m actively looking for an opportunity」などと記入し、仕事を探していることをアピールします。
LinkedIn の有料プレミアム会員になる
プレミアム会員になることで、同じ求人に何人応募しているか、どういう人が応募しているかなどの情報が見れるようになり、競争率の激しさや、応募者の所在地などが分かります。
分かったところで面接に進めるというものでもないですが、市場が把握しやすくなり、戦略が立てられます。
また、LinkedIn が買収した Linda.com のトレーニングコースに無料でアクセスできるようになり、受講後には LinkedIn に修了したことを示すリンクを貼ることができます。
面接のトレーニングもあったり、幅広い業種に対応した技術的なトレーニングもあります。
プレミアム会員は月3000円くらいなので、決して安くはないのですが、トレーニング受講目的のみでプレミアム会員になっても元が取れるほどの充実ぶり。夫は就活が終了した今でも、トレーニング受講目的のみで、有料会員を継続しています。
また、プレミアム会員であれば、LinkedIn経由の求人応募に対しては、企業側から見た時に、自分の応募がハイライトされ、注目されやすくなるという特典もあります。
LinkedIn上でコネクションを広げる
積極的に同じ職種の人にコンタクトリクエストを送りましょう。コンタクトリストが増えるほど、自分の価値が高まり、企業側から注目されやすくなります。
また、リクエストを承認してもらえた際には、必ずサンキューメッセージを送っておきましょう。
夫は、LinkedIn上で職種がリクルーターとなっているで、自分の職種を取り扱っている人を見つけては、積極的にコネクションのリクエストを送ったり、仕事を探しているとメッセージで送っていました。
繋がった相手から「レジュメを送って」と返事が来て、仕事を紹介してもらうことも多かったです。
また、コネクションが増えていくことで、企業側やリクルーター側からの注目度が高まり、プロフィールを見て「仕事探してる?今募集してるんだけど、応募してみるかい?」と、声をかけてもらえる機会も増えていきました。
自分のスキルを誰かに推薦してもらう
LinkedInに登録しているプロフィールのスキルを、他の人が「スキル推薦」することが出来ます。Facebookで「いいね」するような感じですね。
上記で紹介したコネクションと同様に、「スキル推薦」が増えてくると、自分の評価が高まり、企業側やリクルーターから注目されやすくなります。
実際、何百もの人からスキル推薦されている人がいると、「どんな人なんだろう?!」と興味が沸き、ついついその人のプロフィールを閲覧してしまいます。
そう言うわけで、友人などに頼んで、お互いに推薦し合いましょう!そして、すごいなと思うスキルを持つ人を見つけたら、自分から積極的に推薦していきましょう。相手からも推薦してもらえる可能性があります。
推薦してくれた人経由で、自分のプロフィールを見てもらえる可能性もあるので、特に、同じ業界の人や、スキルレベルの高い人から推薦してもらうことが理想です。こういった面でも、ネットワークの大切さを思い知りますね・・・
採用担当者や面接官のプロフィールを閲覧し、面接対策などに活かす
カナダやアメリカ企業で働いている人のほとんどがLinkedInに登録しているため、企業担当者のフルネームを検索すると、大抵の人が顔写真付きで見つかります。
プレミアム会員でないと、プロフィールを閲覧すると足跡が残ってしまうので、少し躊躇してしますが、、、むしろこれも自己アピールの一環として、相手のプロフィールを閲覧してみましょう。
企業担当者や面接官の仕事内容、スキルレベル、職歴などが分かってくれば、面接で聞かれる内容をある程度想定することが出来るので、面接対策にもなります。
また、名前からは性別が分かりづらく、メールの呼び名がMr.かMs.なのかで悩むことがありますよね。そんな時も、LinkedInで検索すれば、たいてい写真が載っているので、一発解決です。
ネットワーキングは大切
残念ながら、カナダはコネで仕事を見つける人が多いので、コネなしで競争を勝ち抜くのはなかなか厳しいです。ネットワークを広げることが就活の成功の近道です。
ネットワークがまだない場合は、ワークショップや講習会、イベントなどに積極的に参加し、コネクションを広げるように努めましょう。
しかしながら、地方在住だと、残念ながらこういったイベント自体、あまり無いかもしれません。そのため、身近な知り合いを増やしていくのが一番。自分の職種と仕事探しをしている状況を積極的に伝えていきましょう。
実際、夫の前職、そして今回働き始めた会社でも、誰かの紹介で入社した人が多く、コネ社会であることを痛感します。
企業側は遠方からの応募を嫌う
日本の失業率が3%台で推移している一方、カナダの失業率は7%前後と、カナダの雇用状況は非常に厳しいと言えます。そのため、職を求めて都市を問わず、応募している人が非常に多く存在しています。
夫はLinkedInのプレミアム会員なっていたため、応募者の状況が確認できるようになっていましたが、例えば、トロントの求人に対する応募が、トロント在住者が30%、他州からの応募が60%、そして、残り10%は海外から、と言ったように、むしろ地元住民以外の応募者が多いのが実情です。
しかし、実際のところ、企業側は遠方からの応募を嫌います。対面の面接が難しい、すぐに仕事開始できない、リロケーション費用が掛かるなどの理由があるからです。
特に、カナダでは離職の意向を伝えてから、基本的には2週間で退職することができるため、採用側も2週間後には勤務開始することを期待していたりします。引越しを伴うような遠方からの応募だと、この点が一番のネックとなります。
そのため、もし地元都市の求人に応募する場合は、地元住民であることが明確にアピールしましょう。例えば――
レジュメには地元局番の電話番号を書いておく
地元と言うだけで、リクルーターが連絡をしてくれ、他の求人なども紹介してくれます。もし、引越ししたのに、以前の電話番号のまま使っているという人がいたら、今すぐ地元局番の電話番号に変更しましょう。
レジュメに住所も書いておく
レジュメには詳細な住所は不要とされますが、地元に住んでいることを強調するため、必ず書いておきましょう。特に、日本人の場合、日本からの応募だと勘違いされることもあるため、地元住所の記入は重要です。
夫も、レジュメにはノバスコシアの住所を、そしてレジュメ冒頭にPR所有であること記載しているにも関わらず、「今、カナダに住んでいるの?」「働けるビザはあるの??」と何度も質問されていました。。。
遠方の求人に応募する場合
企業側から毛嫌いされる、遠方からの応募。電話番号の局番が違うだけで、選考から外されがちで、非常に苦労すると思います。
実際に夫がお世話になったリクルーターからは、現地アパートを借りて地元住所を取得したり、プリペイドの電話などを購入して、地元局番の携帯電話を持つべきだ、ともアドバイスされる始末。
さすがに、アパートを借りてまで、、というのは難しいですが、もし家族や知人が、応募する会社の都市に住んでいる場合、電話番号や住所を借りるというのは非常に有効です。実際、この方法は夫の同僚たちがやっていた方法ですが、そういった人ほど、面接に進みやすく、早々に職をゲットしていました。
夫の場合、ノバスコシア住所と電話番号のままで就職活動していたので、それだけの理由で、幾度となく書類審査を落ちていたのだろうと思います。
それでもなんとか面接に進むことが出来た時は、
- 面接にもすぐに出向けること
- 3週間以内に勤務開始できること
- リロケーション費用は不要
状況に応じて、上記の内容を企業担当者に伝え、遠方からの応募のデメリットを極力解消するようにしていました。
カナダでの就職活動の重要戦略
上記でお伝えした以外に、重要だと考える就職活動の戦略をまとめてみると――
自分の職歴にあまり合ってなくても、数多く応募する
数をこなせば、連絡が来ることも増えますし、面接するだけでも経験値になり、その後の仕事がゲットしやすくなると思います。
プライドは捨てて、エントリーレベルの仕事でも応募してみる
面接練習にもなりますし、カナダの面接や進め方が理解できるようになります。最終的に気に入らなければ、オファーをもらった後に断ることもできますし、企業側に気に入ってもらえれば、スキルに応じた他の職種を紹介される可能性もあります。
移住して最初の仕事は、迷わず受ける
移住して間もない頃は、カナダでの職歴をつけることが最優先です。オファーをもらえたら、例え条件が悪かったとしても、受け入れるべきです。そして、半年~1年ほど経過したのち、働きながら転職活動を行えば良いと思います。
都市にこだわらず、カナダ全土で仕事を探す
オファーをもらってから受けるか考えても構いません。もし都市移動しても問題ないような条件を出してくれるのであれば、その機会を取らない理由はないと思います。
ちなみに、求人件数が多いからと言って、都市部の方が就職しやすいとは限りません。
地方ほど求人件数は少なめですが、競争率は非常に低い。例えば、ハリファックスの仕事の応募者数は多くても30~50人程度。
一方、都市部では競争率が非常に高く、100人超えは当たり前といった感じです。例えば、トロントにある、誰もが知っている大企業の求人などは、応募者数が1000人を超えることもありました。1/1000の倍率なのですから、もう宝くじですよね・・。
遠方応募は難しくなりがちではありますが、競争率を考えると、都市にこだわらない仕事探しが職探しの近道だと思います。
イングリッシュネームで応募する
これは、いろんな人にアドバイスれたことです。
差別はないカナダ社会ですが、就職活動ともなると、どうしても移民にとっては、高い競争率の中から職を勝ち取るのが厳しいのが実情。レジュメの名前だけで、書類選考を落とされがちです。
でも、なかなか気恥ずかしさもあって、おいそれとはイングリッシュネームなんて付けられないですよね・・
夫も最初こそ冗談でイングリッシュネームを考えたりしていましたが、さすがに応募数が200件を超えてきた時は、笑いごとではなく、本気で考え始めていました。
結果、その前になんとか仕事が見つかりましたが、あのまま仕事が見つかっていなかったら、今頃夫は「トーマス」になっていたことでしょう。
どうにも仕事が決まらない場合、専門学校を検討する
3ヶ月/6ヶ月/1年のコースを受けて、そのあと仕事の斡旋をしてくれたり、Co-opの機会があるような学校&コースが理想です。
就職活動を行う方へ、夫からのメッセージ
今回ご紹介した内容は、夫が記載した文面を元に記事にしました。最後に、直接夫からカナダで就職活動を行う方へのメッセージをもらったので、お伝えさせていただければと思います。
移住後に見つけた仕事は、すぐ決まりましたが、仕事内容や給料面では日本に居た時と比べて、自分の望むものとは言えませんでした。しかし、カナダの職歴をつけるために、その会社で2年働きました。
会社の動向もありましたが、今後のキャリアも考え始めた転職活動――。
最初はもう少しうまくいくかなと思っていましたが、終わってみると200社以上に応募し、移住者が海外で仕事を見るけることの難しさを痛感しました。
不定期なリクルータからの電話対応、突発的なインタビューの予定など、数ヶ月に渡る厳しい時間でしたが、幸いにも、希望の仕事に就くことが出来ました。何事も諦めずに根気よく続けることが重要だと思いました。
本ページで紹介しているのは私が手探りでやっていた内容なので、全ての人に適用できるものではないかもしれませんが、海外で仕事を探す人の手助けに少しでも役立つなら幸いです。