カナダ・オンタリオ州の電気代は、2つのプランが選べるようになっています。1つは、他州にはない「時間帯別電気単価」という料金設定。そして、もう1つが、2020年11月に導入された「2段階料金」です。
- オンタリオ州の電気料金の2つのプランの仕組み
- オフピークを活用して電気代を下げる方法
- 電気代が毎月最大75ドル戻ってくる補助金制度
今回はこの3つを中心にご紹介。知っているかどうかで、電気代が大幅に違ってくるので、トロントやキッチナー、オタワなどオンタリオ州内に住んでいる方はぜひチェックしてみてくださいね。
ケベック州でも、時間帯別料金プランがはじまりました。詳細は下記記事にて。
この記事の目次
オンタリオ州の時間帯別電気料金の仕組み
MM新型コロナウィルス対策でオンタリオ州がロックダウンになったことで、2020年1/1~1/28までの期間は、加入プランに関わらず、電気料金は一律8.5 ¢/kWh となっています。
プラン①「Tiered rates」2段階料金プラン
Tiered ratesは、日本の電力会社でも導入されている、電気の使用量に応じて料金単価が違うプランです。
オンタリオ州では、料金単価を2段階に分けています。2020年12月時点の単価は、第1段階は12.6 ¢/kWh、第2段階は14.6 ¢/kWh。
冬季と夏季で、段階設定が異なります。第1段階の安い単価は、冬季は1000kWhまで、夏季は600kWhまで。それ以上の使用量には、第2段階の料金単価が適用されます。
カナダ・オンタリオ州の一般的な家庭の使用量は?
2段階料金プランであれば、時間に関係なく料金は一律。時間を気にせず暖房や洗濯ができるので、便利です。ただし、使用量が多い家庭は、ご注意を。
カナダ統計局によると、オンタリオ州の一般的な家庭の電気使用量は、722kWhだそう。多くの家庭が第一段階の安い単価内に収まることになりますね。ちなみに、2700㎡ほどの我が家ですが、使用量は月によって400-600kWh ほどです。
プラン②「Time of use rate」時間別料金プラン
もう一つのプランが、時間帯によって電気料金単価が異なる「Time-of-Use rate」です。
単価設定は、電力需要に合わせて①オンピーク、②ミッドピーク、③オフピークの3段階となっていて、オンピークの電気単価が最も高くなっています。
オンタリオ州内は全世帯、この3つの料金設定が適用されていて、特にプランへの申し込みなどは不要です。また、州内であれば、トロントでも、キッチナーでも、オタワでも、どの地域の電力会社でも、電気単価や時間設定などは同じです。
電気料金単価
電気単価は2020年11月時点のものです。時間によって電気料金は約2倍以上の差があります。
ピークタイムの時間帯
ピークタイムの時間帯設定は季節によって違います。夏季は冷房使用が高まる平日の昼間、冬季は暖房使用が高まる平日の朝・夕方がオンピークです。5月と11月はピークタイムの切り替わり時期なので、ご注意を。
On-peak(21.7¢/kWh) | 平日11:00-17:00 |
Mid-peak(15¢/kWh) | 平日7:00-11:00、17:00-19:00 |
Off-peak(10.5¢/kWh) | 平日19:00-7:00、休祝日は終日 |
On-peak(21.7¢/kWh) | 平日7:00-11:00、17:00-19:00 |
Mid-peak(15¢/kWh) | 平日11:00-17:00 |
Off-peak(10.5¢/kWh) | 平日19:00-7:00、休祝日は終日 |
どちらのプランがお得か計算しよう
オンタリオ州の送電会社Hydro Oneのページでは、どちらのプランがお得か計算できるカリキュレーターが用意されています。どちらのプランがお得になるか分かるので、ぜひ活用してみてください。
オフピークを活用して電気代を下げる秘訣
オフピークの時間帯を最大限に活用するには、下記の対策が効果的です。
- 食洗器や洗濯機は夜間や休日に動かす
- スマホなどの充電は夜間に
- 休日にまとめて作り置き食材を作る
- オンピーク時の暖房は暖炉にも頼る
- セントラルヒーティングの温度設定はオフピークを活用する
食洗器や洗濯機、充電など、料金単価がオフピークとなる夜間や休日に回せるものは、極力オフピークに動かすだけで、その分の電気代が半額に下がります。
食洗器や洗濯と共に気を付けたいのが、「セントラルヒーティングの温度設定」です。
セントラルヒーティングの温度設定
セントラルヒーティングの熱源が電気の場合はもちろんですが、熱源が「ガス」もしくは「オイル」であっても、オンピーク・オフピークを意識することが大切です。
なぜなら、ヒーティング装置を動かすのは「電気」だから。冬場の電気代の中で大きく占めるのが、乾燥機に次いで、ヒーティング装置なのだそうですよ。
オフピークを活用した効率的な暖房使用のコツは、オフピーク中に適温まで上げきっておくこと。
例えば、朝7時までに室温を20℃に上げておけば、オンピークとなる7時以降は、ヒーティング装置の稼働が抑えられ、電気代も節約できます。
セントラルヒーティングの温度設定は24時間一定にするのではなく、留守中・睡眠中の温度を下げるのが、光熱費削減のコツです。詳しくは下記の記事にて。
スマートサーモスタットの導入も
オフピークの活用術とは異なりますが、暖房代や冷房代を節約するには、人の活動に合わせて、温度を適切に管理できる「スマートサーモスタット」もおすすめです。
スマートサーモスタットを導入すると、留守中や就寝中は、自動的に稼働を抑えてくれるので、年間100~150ドル程の節電になるといわれています。スマートサーモスタット本体が200~300ドルしますが、2年で元が取れる計算です。
低所得世帯向けの補助金制度(OESP)
低所得世帯向けの電気代の補助金制度もあります。この制度はカナダ各地で取り入れられていますが、オンタリオ州では「Ontario Electricity Support Program(OESP)」と呼ばれています。
対象となる世帯収入(税引き後)
- 1人世帯:$28,000以下
- 2人世帯:$39,000以下
- 3-4人世帯:$48,000以下
- 5人世帯:$52,000以下
世帯人数と世帯収入によって、収入上限が設けられています。電気代を払っている世帯であれば、留学中の学生でも対象となります。
収入上限はいずれも税引き後の金額です。税引き後の収入が不明な方や、上限前後の微妙なラインに入る方は、念のため申請してみると良いそうです。
補助金額
補助金額は世帯収入と世帯人数によって異なりますが、毎月35~75ドルとなっています。この補助額が請求額から自動的に差し引かれます。
例えば、4人世帯で税引き後の世帯収入が$37,000以下の場合、毎月の補助額は51ドルです。(2019年5月現在)
申請方法
申請方法はいくつかありますが、オンライン( OntarioElectricitySupport.ca)で登録し、必要書類を郵送する方法が一番早い方法です。まだカナダに来たばかりで、タックスリターンを申請したことがない方はIntake Agencyと呼ばれる地域のコミュニティセンター等で申請する必要があります。
詳細はOESDのページでご確認ください。
以上、カナダ・オンタリオ州の電気代の仕組みや、電気代を抑える方法をご紹介しました。オフピークをうまく活用すれば、電気代は大幅にやすくなるはず。また、補助金対象となりそうな方は、ぜひ申請してみてくださいね。