オタワ大学が発表した「 New Evidence on Earnings of Post-Secondary Education Graduates」というレポートで、カレッジと大学の卒業後の収入比較が行われています。
進路によっては収入が大きくことなる結果となっており、これからカナダ留学を考えている方や、カナダで進路を悩んでいる人には、とても興味深い内容です。
この記事の目次
カレッジと大学の違い
そもそも、「College」と「University」の違いはなんでしょう?日本語では、両者とも「大学」と訳されることもあり、混乱しますよね。CollegeとUniversityは、国によっても定義の違いがありますが、カナダでは下記のような違いがあります。
終了資格・学位 | 所要年数 | 科目内容 | |
Colleges | Diploma Certificate |
1年未満~3年 | 職業訓練 大学編入 |
Universities | Bachelor Master Doctor |
Bachelorは3~4年 | 学問研究 |
カレッジ(College)は専門学校や職業訓練校、そして短大のような位置付けに対し、大学(University)は日本の4年制大学と同じですね。
カレッジの終了資格にはディプロマとサーティフィケイトが、大学の学位には学士(バチェラー)・修士(マスター)・博士(ドクター)がありますが、今回のデータは、中でも最も一般的なディプロマと学士の比較となっています。
収入比較①:1年目と8年目の平均収入
※Education Policy Research Initiativeのデータを元に、ハピバナブログで画像加工
1つ目の比較は、卒業後の平均収入です。
カレッジ新卒の平均年収は$34,000ドル(270万円)に対し、大学新卒の平均年収は$45,000(約360万円※)です。この時点で$11,000(約90万円)の差があります。(※以降全て、1ドル=80円で計算)
卒業して8年後の収入になると、収入差はさらに開きます。
カレッジ卒8年後の平均収入が$54,000ドル(430万円)に対し、大卒は$75,000(約600万円)となり、収入差は$21,000(約170万円)にもなります。
収入比較②専攻毎の8年間のトータル収入
※Education Policy Research Initiativeのデータを元に、ハピバナブログで画像加工
こちらは卒業後8年間のトータル収入を専攻科目毎に比較したデータです。
カレッジと大学では、専攻科目が完全には一致しませんが、どの専攻科目で見ても、やはり大卒の方が収入が上回っています。
カレッジと大学で共通している専攻科目の「Engineering」で比較すると、カレッジ卒の8年間のトータル収入は$463,700(約3,700万円)、大卒では$636,600(約5,000万円)となっています。
その差は$172,900、つまり約1,400万円!
たった8年間でこの差です。生涯収入になると、この差はかなり大きくなりそうですね。
収入比較③学科毎の収入
※Education Policy Research Initiativeのデータを元に、ハピバナブログでグラフ作成
こちらのデータは、初任給と卒業8年後の収入を専攻科目ごとに比較しています。どの専攻科目でも、初任給よりも8年後のほうが収入差が開いていますね。
学位で職位が決まる学歴社会
取得する学位によって、ここまで収入差があるというのは正直、驚きです。
でも、実際のところ、同じ職場で同じ仕事をしているのに、取得している学位によって給料が違うという場面は多いです。
例えば、上記でも紹介した「Engineering」コース。カレッジでこのコースを取得すると、ディプロマが取得できますが、正式な職位は「Engineer」ではなく、「Technician」です。背正式にEngineerと名乗るには大学を卒業して、学位を取得しなければならないのです。
学位によって就ける職位が決まっているのは、ディプロマに限ったことではありません。カナダでは、学士を取得していも、さらに上の職位に就くには、修士や博士が必要という場面が多いのが現実です。
この点は、日本よりもよっぽど学歴社会だと感じます。
カレッジと大学の学費比較
さて、今回のレポートでは、どの科目においても、学位があるほうが収入が高くなってることが分かりました。
そこで気になるのが、カレッジと大学の学費の差です。カレッジに比べて、大学の学費はどれほど高いのか?すぐにペイできるような学費なのでしょうか――?
サンプルとして、NS州にあるカレッジと大学のトータルコストを比較してみたいと思います。比較した学校とコースはこちら:
<比較条件>
カレッジ(2年)
– Nova Scotia Community College
– Environmental Engineering Technologyコース
大学(4年)
– Dalhousie University
– Engineeringコース
この2つの学校は地理的にも近く、且つ、似たような専攻内容になっているのですが、トータル学費を計算してみると、大きな違いがありました。
※いずれも、2016年度学費&諸経費より、卒業までの学費、テキスト、諸経費のトータル費用で計算。→参考データ:NSCC、Dalhousie Universityの2016年度費用
カナダ国民&PR保持者
トータル費用 | |
College (2年間) |
$11,571 (約92万円) |
University (4年間) |
$43,436 (約350万円) |
→カレッジと大学の費用差額:約$32,000(約250万円)・・4倍もの違い!
留学生向け
トータル費用 | |
College (2年間) |
$26,482 (約210万円) |
University (4年間) |
$81,296 (約650万円) |
→カレッジと大学の費用差額:約$55,000(約440万円)・・3倍の違い!
カナダ国民向けのカレッジ費用は、安く抑えられていて、入学へのハードルが低いですよね。それに比べると、やはり大学の費用は高い!約$32,000(約250万円)も多く支払わなければなりません。
NS州はカナダの中でも学費が安いとされる州の一つなので、学費の高いオンタリオ州などで比較すると、この差はさらに広がると思います。
ただ、先ほどの比較データでは、カレッジと大学のEngineer科目では、8年間の収入差が$172,900(約1,400万円)にものぼっています。そう考えると、卒業後数年もすれば、大学の高い学費分もペイできることになります。
高い学費は「将来への投資」と言った感じですね。
以上、オタワ大学が発表したレポートより、大学とカレッジの卒業後の収入差についてのご紹介でした。所要年数も長く、学費も高い大学ですが、卒業後の収入は総じて大卒のほうが高いことが分かりました。
もちろん、カレッジでないと取得できない資格も多いので、カレッジと大学のどちらが良いかは、一概には言えません。しかし、もし同じような職種に就くのであれば、生涯年収で考えると、大学へ進学して学位を取得するほうが望ましいと言えそうです。
カナダ留学&移住を考えている方へ
最後に。私自身、大きな不安を抱えて飛び込んだカナダ。同じようにカナダへの移住や留学を考えている方に、何か役立てることがあれば、とても嬉しいです。質問やご相談などあれば、お気軽に【問い合わフォーム】もしくは【LINE】でご連絡くださいね。
実経験と現地在住者の目線で、できるだけ疑問や不安が解消するよう、お答えさせていただきます。皆さまからのご相談がブログ記事のアイデアにもなっています!
ただ、私の方でお答えできるのは、あくまで「自身の経験に基づくこと」や「カナダ生活の一般的なこと」。留学や永住権に関して「確実なアドバイス」が必要な方は、専門家に相談することをおすすめします。
エージェントがたくさんいて悩みますが、私の知り合いが移住・留学エージェントをやっているので、よかったら一度相談してみてください。私も留学事情などアドバイスを求めるこ