子供がカナダの幼稚園・小学校に通いだして早や5年。
アメリカやカナダ、イギリス、オーストラリアなど、欧米諸国では一般的なことも、日本人の私にとっては、自分が経験してきた「学校」とは大きく異なり、カルチャーショックの連続でした。
そこで今回は、日本と欧米の小学校の大きな違いを色々ご紹介!
これから海外移住する方、親子留学する方に、欧米の学校がどんなものなのか、参考になったら嬉しいです。
この記事の目次
- 1 入学式、始業式、終業式がない
- 2 教科書がない
- 3 学年混合クラスがある
- 4 時間割がない
- 5 おやつタイムがある
- 6 長ーーい夏休みは宿題なし!
- 7 掃除の時間がない
- 8 プールや体育館がない
- 9 お弁当がクラッカー、給食がピザ
- 10 子供だけで登下校できない
- 11 学童保育が高い
- 12 学校におもちゃがある
- 13 面白い行事やイベントがある
- 14 ドレス、ピアス、髪染め、おしゃれはなんでもOK!
- 15 ポイント制度/ご褒美制度がある
- 16 美術や自習は音楽を聴きながら
- 17 床に寝転がって読書
- 18 プレゼンの機会が多い
- 19 体操着は無く、私服のまま体育
- 20 学年末やクリスマスに先生にギフトを贈る
- 21 先生がストライキを起こす
- 22 不審者から身を守る避難訓練がある
- 23 学校内での盗難は盗られた人の自己責任
- 24 学校内の怪我は学校の責任
入学式、始業式、終業式がない
子供が入学して早々に驚いたのが、入学式がないことでした。
海外では、中国や韓国では入学式が行われていますが、その他地域では入学式は一般的ではありません。ピカピカの新一年生であっても、特別な行事があるわけではなく、ごく普通の格好をして、ごく普通に学校に行き、初日からごく普通に授業が始まります。
親の役目はというと、子供たちを学校に送り届けるだけ。スクールバスで通学する場合は、バス停まで見送るだけ。我が家も、学校に到着するや否や、息子はあっという間に校内に入って行き、バイバイして終了。あまりのあっけなさに、
「え?もう終わり??」
ってなりました。周りのカナダ人の親たちでさえ、「That’s it!?」なんて口々に言うくらい(笑)
もちろん、「入学式」の看板もありません。親的にはあっけないわ、定番写真は撮れないわで、なんとも不完全燃焼な初登校日となること必須です。
MM入学式や始業式もないので、担任の先生からの挨拶や自己紹介もなし。子供がスクールバスで通学する場合、先生に会う機会がないので、担任の顔すら分からないまま、月日が過ぎていく、なんてことも。※学校によって、入学数週間後に「Meet the Teacher」のような学校訪問の機会が設けられています。
教科書がない
欧米では、小学校低学年のうちは教科書がないのも一般的です。教科書もなく、一体どうやって勉強するのか───?
基本は、先生がコピーして配ってくれる「プリントベース」です。例えば、いくつか学年ごとに内容を見ていきましょう。
幼稚園時代
年長さん当時、毎月一つの詩を暗唱する取り組みが行われていました。教科書に掲載された詩を暗唱するより、自分で手作りした教材で取り組むので、本人にとっては覚えやすく、愛着も強まりますよね。私自身、5年たった今でも、子供が当時読んでいた詩と絵をよく覚えているくらいです。
この辺りの教材については、下記記事でも詳しくご紹介しています。
小学1年生
算数も英語も理科も、プリントベース。日記や作文などはノートにも書いていました。パソコンを使って授業を行うこともあり、下記で紹介している算数ゲームをしたり、リーディングのオンライン教材を使うことも。
小学3、4年生
3、4年生になってもやっぱりプリントベース。授業内容も増えるのか、一年の終わりには教科ごとのプリントフォルダーを10冊近く持ち帰ってきました。パソコンを使った授業もますます増え、Googleドキュメントを使って課題を提出したり、パワーポイントを使ってプレゼンをしたりも。
MM教科書や、日本のような細かい学習指導要領がないため、授業の内容は、担任の先生次第。同じ学年でも、学校や先生によって、学習している内容が全く違っていたりします。
授業の内容、強いては、子供の成績や才能は、学校や先生の力量に大きく左右されやすい、とも言えるため、日本よりも良い学校のあるエリアに住みたいと願う親が多いように思います。
学年混合クラスがある
海外で割と一般的なのが、2つの学年をまとめた合同クラス。英語圏だけでなく、でなく、ドイツやフランスなどのヨーロッパ圏でも多くなっています。カナダの小学校では1学年に1クラスは必ず混合クラスを設けている学校も多いです。
導入の理由は、合同クラスにはメリットがあるから。社会性、協調性、自己管理力、リーダーシップ力が向上するなど、様々なメリットが見られるという研究結果が出ています。(先生のリソースを増やせる、小人数クラスになるというメリットもありますが)
違う学年の子供たちが一緒に学ぶなんて、日本では考えられませんよね。
でも、もともと欧米の学校では、日本のようにクラス全体を一括指導するというよりも、生徒個人の能力や理解度に合わせて、個人ごとやグループごとに指導しています。例え学年の違う生徒が一つのクラスになっていても、特に混乱はないようです。
そもそも、低学年のうちは教科書すらないですしね。
MM合同クラスのおかげで、子供たちは年齢に捉われず、幅広い友だち作りをしています。「年齢なんて関係ない!」という欧米社会の考え方は、こうやって小さい時から養われているのかもしれませんね。
時間割がない
日本の学校では、1時間目:国語、2時間目:算数など、月曜から金曜までの毎日の時間割が決まっていますよね。でも、欧米の学校では、ここまで細かな時間割はありません。
他の科目の先生に関わるもの、施設を使用する物に関しては、曜日と時間は決まっていますが、算数・国語・理科など、担任が教える教科のスケジュールは、先生次第。先生の考えや、進捗状況、その日の生徒の雰囲気などに応じて、臨機応変に変更しているようです。
なので、学校から教えてもらう時間割、というか、スケジュールは、
火曜・木曜はジムの日だから、動きやすい恰好で。水曜はライブラリーの時間があるから、借りた本を持ってくるように。
これくらい。学校で何を学んでいるかを知らせるというより、家庭での準備のために知らせている、という感じですね。
おやつタイムがある
欧米の学校では、休憩時間=スナックタイム。1日に1~2回、家から持ってきたおやつを食べることが出来ます。
とは言え、子供たちが持ってくるおやつは、比較的ヘルシー。生野菜、フルーツ、ビスケット、クラッカー、チーズ、シリアルバーなどが一般的です。また、クッキーやマフィンなどの焼き菓子を持ってくるこもいます。
ちなみに、ピーナッツはアレルギー対策のため、学校内の持ち込みは厳禁です。
MMスナックタイムに慣れていると、日本に一時帰国して、日本の学校に通うと、「給食の時間までもたないーー」なんて話も聞きます。お腹がペコペコすぎて、授業に集中できないそうですよ。
長ーーい夏休みは宿題なし!
海外の学校では、夏休みがとても長く、2~3ヶ月ほどあります。でも、その長い夏休み、宿題は一切出ない国がほとんど。
学年区切りに当たるから、という理由もありますが、冬休みも、春休みも、はたまた、普段の休日なども宿題は出ません。
休日はしっかり休むもの。宿題なんてナンセンスなんだそうです。
特に長期休暇は、思いっきり遊んだり、好きな本を読んだり、自分の興味のあることを追及できる貴重な機会と捉えられています。
掃除の時間がない
日本の学校で取り入れられている「掃除の時間」。海外ではとても珍しく、日本の称賛される文化習慣の一つです。
子供たちによる掃除の時間がない代わりに、学校には清掃員の方が雇われており、子供たちが帰宅した後に、掃除を行ってくれます。
でも、学校の行事やボランティアなどに参加した際に、子供たちの様子を見ていると、例え、スナックの食べかすが床に落ちたとしても、全く気にしていない様子。息子に聞いても、
後で掃除の人が掃除してくれるから大丈夫だよ
なんて言うもんだから、なんだかがっくり・・。そうじゃないんだよ、息子よ・・。
自分たちで掃除するようになれば、公共の場をきれいにしようという意識も芽生えるでしょうし、責任感も育つのに、と、親としては残念でなりません。
ただ、欧米社会では各人の仕事範囲が確立されているため、「勝手に掃除すると、清掃員の仕事を奪うことになる」という考えが浸透しているのも確かです。
プールや体育館がない
日本の学校には必ず併設されているプールですが、欧米の学校ではとても珍しいもの。カナダでもプール付きの学校なんて、まず見かけません。プールどころか、アメリカなどでは体育館すらない学校もあります。
プールの授業もないので、習い事としてスイミングに通わない限り、子供たちはずっと泳げないまま。海外では大人になっても、ろくに泳げない人も多くいます。
日本のように、保健体育の授業を通じて各種運動能力を高める、集団行動の大切さを学ぶというような細かな学習指導要領があるわけではなく、「週に2回くらい体を動かせればOK!」という程度なので、天気が良い日に外で元気に遊べれば良し、とされているんでしょうね。
お弁当がクラッカー、給食がピザ
欧米の学校では、皆が同じものを食べる「給食」は一般的ではありません。中学・高校になってくるとカフェテリアがある学校が多くなりますが、小学校ではお弁当持参が基本。
でも、まぁ、そのお弁当がどれも簡単!
日本のお弁当文化に慣れている人からしたら、目を疑うようなお弁当の数々です。基本はサンドイッチなんですが、クラッカーをメインに、サイドにチーズとキュウリとハムを入れた「クラッカー弁当」だって当たり前。
この辺は下記記事で写真入りで紹介しているので、良かったら見てみてください。驚愕ですから(笑)
給食はありませんが、月1~4回、学校によってはほぼ毎日、希望制のランチ(ホットランチ)を注文することもできます。でも、そのメニューはピザ、ホットドック、ハンバーガーなど、いかにも「欧米」なメニューばかりです。
MM欧米人にとっては、ピザはむしろ「ヘルシー」な部類に位置している気がします。チーズはたんぱく質やカルシウムが摂取できるヘルシー食材だし、お肉も野菜ものってるし、と。私自身、最近、そう思えてきてしまっているからマズいですね。。。
子供だけで登下校できない
小学校入学と共に、一人で歩いて登下校する日本の小学生たち。日本ではごく普通の光景ですが、世界から見ると日本ならではの驚きの文化習慣の一つです。
私の住んでいるカナダでも、子供が小学生のうちは、学校まで親が送り届けるか、スクールバスで登校します。登下校時の学校周辺は親子であふれていて、その光景はまるで日本の幼稚園のようです。
これは、欧米では親の監督保護責任が強く問われること、そして、もちろん治安の問題も関係しています。
でも、学校だけでなく、習い事や友達同士の遊びの約束まで、親の送り迎えが必要なので、親にとってはかなり大変!子供にとっても、自由に遊びに行けない不便さもあるでしょう。
親子の関りが深く、個人的には良い習慣だと思いますが、日本の子供に比べると、精神的自立は遅くなりがちだと感じます。
MMカナダの場合、小学校や中学・高校の授業時間はだいたい8時~15時くらいまで。地域や学校によって多少前後します。
学童保育が高い
1人で登下校出来ない子供たち。共働き世帯などで学校の授業開始時間にドロップオフできない、終了時間にピックアップできない家庭のために、学校内には朝夕、子供たちを預かる学童保育のような制度(Before and After school program)が用意されています。
ただ、欧米の学童保育は、高い!
日本の学童保育が月5千~1万円と格安なのに対して、イギリスやアメリカで月4万円前後です。私の住んでいるカナダでも、月3-4万円前後。都市部では放課後だけでも月5万円を超えることもあります。
共働きの家庭はこういった出費も加味しなければなりません。
学校におもちゃがある
幼稚園はもちろん小学校でも、教室には「おもちゃ」が用意されています。
低学年のうちは、レゴ、ブロック、人形、ベイブレードなどが中心ですが、高学年になると、チェス、UNO、コネクト4などボードゲームなどが増えてきます。雨の日の休み時間などに、このおもちゃで遊んで良いそう。
教室内におもちゃがあることにも驚きますが、先生の中には、私物のおもちゃなどを学校に持ってくることを許可している先生もいます。うちの息子が小学2年生の頃も、クラスでポケモンカードを持って来て見せ合うのがブームになっていました。
ただし、そのおもちゃが無くなっても自己責任。「無くなっても良い覚悟で持ってきなさい」というスタンスです。
面白い行事やイベントがある
変な髪形をするクレイジーヘアデー、パジャマデー、ストーリーのキャラクターの恰好をするブックキャラクターデー、いじめ撲滅をスローガンにピンク色の洋服を着るピンクシャツデー・・・
欧米の小学校では、面白い行事、というか、面白い日が色々あります。生徒だけでなく、先生も先頭に立って全力で挑んでいるから凄い!非日常を味わえて、子供たちはとても楽しそうです。
我が家は、普段は着古したジャージ、ダサい服などがパジャマ代わり。でも、さすがにこれじゃ、学校にいけない!パジャマデーに合わせて、パジャマを新調するのが定番になっています(笑)
ドレス、ピアス、髪染め、おしゃれはなんでもOK!
パジャマデーなどの特別な日以外でも、子供の服装や髪形は常に自由!
幼稚園生でもピアスは当たり前ですし、その日の気分でプリンセスドレスを着てくる子、ティアラを付けてくる子、マネキュアを付けてくる子、髪をピンクにしてくる子、本当に色々です。
気になる先生の反応はと言うと───
あら!!なんてステキな髪の色なの!!
こんな風に必ず肯定し、その子の「個性」として、とことん尊重してくれます。
MM複数民族で構成されていることが多い欧米社会。学校では、常々、「目の色・肌の色・髪の色が違っても、関係ない。みんな同じ仲間だよ」と教えています。その子が選んだファッションや髪形を、先生が率先して褒め、認めてあげることは、子供たちに自信を与えるとともに、人を見た目で判断するという差別意識を解放しているように思います。
ポイント制度/ご褒美制度がある
時々、子供が学校から何か貰ってくることがあります。
カラーペンやビー玉、鉛筆、手編みの花のバッチ、時にはキャンディーなども。どれもちょっとしたものなんですが、なぜもらったのかというと、
「頑張ったから」
なにかを頑張ると、ご褒美がもらえるんだそうです。
ご褒美の他にも、宿題をやってきたら1点、静かに先生の話を聞けたら1点、移動中にうるさくしたらマイナス1点など、ポイント制度を取り入れる先生も多くいます。ポイントが貯まったら、これまたご褒美です。
個人ポイントではなく、クラス全体のポイント制度を設けている先生もいます。
こうなると、誰か一人が悪い行動をとろうものなら、周りからもブーイングで(笑)クラスの連帯責任が問われます。そういえば、ハリーポッターが通うホグワーツ魔法学校でも、寮ごとにポイントを争っていましたよね。
日本では、子供を平等に扱うべき、という意識が高く、一人の子だけプレゼントがもらえるなんて、あまりなかったように思います。物でつるのもどうなのかな、と思いますが、子供たちがやる気を出し、クラスがルールを守って、授業が行いやすい環境になっているのであれば、ポイント制度もありなのかもしれません。
美術や自習は音楽を聴きながら
美術の時間など、教室内で音楽をかけることもよくあります。
ただし、子供の集中力を妨げないよう、選曲は、歌の無いインストルメンタルミュージックが基本。音楽を聴くことで、リラックス効果もあり、より集中してアート制作に取り組めそうですよね。
また、学年が上がってくると、パソコン片手に授業を受ける機会も増えてきますが、レポートやエッセイを書いたり、自習活動の時は、ヘッドホンで音楽を聴いてOKとする先生も多いです。子供たちは、YouTubeなどで、思い思いのインストルメンタルミュージックを聞いて勉強しています。
うちの息子も、学校で自習活動する際は、音楽を聴いているそう。「音楽を聴いていたほうが集中できるし、勉強がはかどる」と、家でもそのスタイルになりつつあります。
床に寝転がって読書
私の記憶にある日本の学校の読書はというと、「椅子には浅く腰かけて、背筋を伸ばして、机とお腹の間はグー1個分。本の角度は45度」───こんな感じ。でも、欧米の学校では全く様子が異なります!
地べたに座り込むのは当たり前。なんなら、ゴロンと床に寝転がって読書や勉強をしたってOK!
特に、幼稚園や低学年クラスでは、教室内にソファやクッションなどが置かれた「リーディングセンター」が用意されていることも多いです。自分の好きな体勢で、リラックスして本に集中できるようにという取り計らいです。
Researching nonfiction topics during reading, writing and center time. So proud of my kinder kiddos. They love it! @WarnerCFISD pic.twitter.com/GEWnMpLaLo
— Stephanie Worchesik (@MrsWorchesik) March 28, 2019
ゴロンと横になって読書なんて、悪影響がないのかな?と不安にもなりますが、むしろ、小さな頃から読書が好きな子がとても多く、驚かされます。この辺は下記の記事でも紹介しているので、良かったら合わせてどうぞ。
プレゼンの機会が多い
欧米では、幼稚園や小学校低学年のうちから「Show and Tell」と言って、みんなの前で自分のことや、自分の持ち物、好きなものなどを紹介する機会があります。
低学年の子供たちがプレゼンする姿を見たことがありますが、話す内容や組み立てもきちんと考えられているし、みんな前を向いて堂々と話している姿にビックリ。しかも、聞いている人を笑わせるポイントすらあったりして、大人顔負け。
小学3、4年生にもなると、プレゼンの難易度も上がります。
動画のように、偉人や有名人などになりきってその人の生涯を発表する「Biography presentation」や、自分が調べたことを発表する機会も増え、暗記力、コミュニケーション力、時間管理力などが問われます。
緊張するとか、恥ずかしいとか、間違ったらどうしようとか、そんなことを思わないような年齢からプレゼンをこなしていくので、大人になった頃には、プレゼンは出来て当たり前になるんでしょうね。
体操着は無く、私服のまま体育
欧米の小学校にもジムと呼ばれる体育の時間が設けられています。日本のようにしっかりしたプログラムではありませんが、体を動かしたり、基本的な動きを学んでいます
でも、その服装は、当日着て行った服装のまま。体操服というものはありません!
「夏の暑い日なんて、汗をかいて気持ち悪いだろうなぁ・・」
なんて思いましたが、うちの子供曰く、そこまで汗はかかないんだそう。一応、着替えの洋服は学校においていますが、ジムの日に着替えて帰ってきたことは一度もありません。そもそも学校は、真夏の2~3か月間はまるまる夏休みですし、そこまで暑くないのかも?
体操服がないため、ジムの日は、ジーンズなどを避けて、できるだけ動きやすい恰好で登校するようにしています。
ちなみに、アメリカでは室内履きはなく、通学している靴のまま過ごす学校が多いですが、カナダでは必ずインドアシューズ(室内履き)に履き替えます。カナダでは靴を脱ぐ習慣がある人が多いのも影響しているのかもしれませんね。
学年末やクリスマスに先生にギフトを贈る
日本の学校では、先生への贈り物やお土産は「賄賂」と見なされかねないと、個人的には受け取らない先生も多いですよね。
でも、欧米の小学校の先生はどんどん受け取る(笑)
クリスマス、バレンタイン、学年末には、担任の先生に贈り物をするのが一般的で、多くの生徒が(というか、実際は親ですが)、お世話になった先生や、スクールバスの運転手さんなどに贈り物をします。
プレゼントの内容はギフトカード、お菓子、コスメなどが多く、金額は10ドル程度の家庭もあれば、中には100ドルもかける家庭もあったり。お世話になった先生、思い入れのある先生ほど、ギフトも豪華になるようです。
詳しくは下記の記事でも紹介しているので、良かったら合わせてご覧ください。
先生がストライキを起こす
日本だと、公立の先生がストライキを起こすことは禁止されていますし、例え、私立学校の先生がストライキを起こそうものなら、「先生なのに、子供のことを考えていないのか!」「義務教育なのに、授業が受けられないなんて!」───そんな非難の嵐になると思います。
でも、欧米では先生たちが待遇改善を求めて「ストライキ」を起こすことがしばしば。ストライキが始まると、例え、義務教育であっても、学校が休みになります。
先生のストライキ、社会の風潮や親の反応は?
学校が休みになるだなんて、親たちに不満はないのでしょうか?
私の子供たちも、カナダの小学校で2回もストライキに遭遇。
いずれのストライキも、幸い、「Work to rule」といって、最低限の授業だけは行うという内容だったので、長期の休みは避けられましたが、突然休校になる日が続出。働いている親は、子供の預け先確保に四苦八苦していました。しかも、クリスマスコンサートやクラブ活動、放課後の活動、宿題などが一切無くなり、例年に比べると、かなり寂しい学校生活に・・。
それでも、不思議なくらい、不満をあらわにする保護者は皆無。社会の風潮も、怒りの矛先は待遇改善しない州政府に向いており、保護者や生徒たちも先生たちのストライキ活動を支援していたくらいです。
労働者の権利が「先生」という立場であっても、法律上だけでなく、社会的にも認められていることを実感しました。(でも、実際、長期にわたって休校になったら、親としては困り果ててしまいますが。。。)
不審者から身を守る避難訓練がある
日本では地震や津波などの自然災害や、火災に備える「防災訓練」が行われています。でも、欧米では防災訓練以外にも、訓練があります。
それは、学校内に侵入した不審者や犯罪者から身を守るための「防犯訓練」。
「ロックダウンドリル」と呼ばれる防犯訓練は、教室など、鍵のかかる部屋に身を潜め、助けが来るまで静かに待つというものです。銃社会アメリカはもちろん、カナダやオーストラリア、イギリスなどでも、ごく一般的に行われています。
多くの国において、地震や津波と言った自然災害の脅威こそ、日本に比べると低くなりますが、欧米諸国の犯罪率はいずれも日本より高め。日本の治安の良さは世界一ですもんね。
ロックダウンドリルを行うたびに、日本のような治安の良い国に住んでいる訳ではないんだな、と痛感します。
学校内での盗難は盗られた人の自己責任
学校内で盗難が起きたら、日本の学校では、先生が盗んだ人に正直に申し出るように促しますよね。そして、盗みは悪いことだと教えてくれると思います。
でも、欧米では、犯人捜しは行わず、盗んだ人を咎めることもありません。それどころか、盗まれた側の落ち度が非難されます。
例えば──
- 盗まれて困るものを学校に持ってきた
- 記名していなかった
- 盗まれかねない状態で置きっぱなしていた
などなど。持ち物の管理はあくまで自己責任なのです。
正直、日本人の私にはいまだに馴染めない考え方です。いくら記名していても、防げない盗難もありますし、盗った側も、咎められないのをいいことに、さらなる盗難を重ねる可能性もあります。まるで、「盗ったもの勝ち」ですよね。
下記記事で、実際にあった事例や、先生ですら盗難にあうという事例もご紹介しています。良かったら合わせてご覧ください。
学校内の怪我は学校の責任
学校の盗難とともに、異文化であることを強く感じるのが、「学校内の怪我」に対する考え方です。
学校内で子供が誰かに怪我をさせてしまった場合、日本では『子供の行動は親の責任』でもあり、菓子折りを持って謝罪に出向いたり、医療費の負担を申し出たりもしますよね。
でも、欧米の学校では、子供が誰かに大怪我をさせられても、校長先生からの謝罪はあっても、相手の親からは謝罪がないことが多いです。むしろ、加害者側の名前すら教えないポリシーの学校も。(結局、子供から聞くんですが。。。)
なぜなら、学校には安全な環境を提供する監督責任があるため、学校内で起きた事件は、学校の落ち度と考えられているため。親の責任はあまり問われないのです。
学校側の責任が強く問われるために、学校側はトラブルを未然に防ぐために、子供に厳しい対応を取りがちです。小学校でも自宅謹慎処分がありますし、暴力行為が続いた子供には、休み時間に他の子供とは別行動させるという厳しい処分にすることもあります。
下記の記事で事例と共に詳しく紹介しているので、良かったら読んでみてください。
以上、日本にはない欧米の小学校の制度や習慣をご紹介しました。
日本の学校にも、欧米の学校にも、それぞれの良さがありますよね。個人的には、カナダの学校には掃除の時間やプールがないことなどが残念ですが、プレゼンする機会が多かったり、合同クラスがあることのは素晴らしいことだと思います。
良いとこどりした学校があればいいんですけどね。でも、掃除の時間は海外でも高く評価されていますし、欧米でも取り入れる学校も出てくるのでは?なんて期待してしまいます。
長い記事になりましたが、最後までお読みいただき、どうもありがとうございました!