このところ、もう気になってしょうがないニュース、それは
アマゾン第二本社です!!
2017年9月に、Amazonが「北米で第2本社の候補地を公募する」と公表して以来、毎日のようにAmazon関連のニュースを見かけますが、とうとうその入札も10月半ばに締め切りました。
Amazon関連のニュース記事や都市間の誘致合戦も面白くて、ワクワクしてしょうがない!一体どの都市がAmazonの第二本社として選ばれるのでしょう?!Amazonとドナルド・トランプ氏の確執なんかを考えると、カナダだってもしかしたら、もしかするかもしれない?!
この記事の目次
Amazon第二本社誘致による莫大な経済効果
Amazonの第二本社を誘致できた都市は、莫大な経済効果を生むことになります。
驚くことに、Amazonは本社建設費50億ドル、つまり日本円で5600億円にも上るとしています。そして、雇用面の規模も莫大。平均収入10万ドル(1100万円)の雇用を、5万人分も創出するというのです。
この発表により、北米の都市では激しい誘致合戦です。アメリカ国内はもちろん、筆者の住んでいるカナダ国内でも、連日、ニュース記事に「Amazon HQ2」(Second Headquartersの略)の見出しが踊っています。
実際に応募した都市は?
10月19日に入札は締め切られましたが、一体どんな都市が応募したのでしょう。アメリカ国内からだけでなく、カナダとメキシコの都市を含め、合計238都市から入札があったそうですよ。
We received 238 proposals from across North America for #HQ2. The team is excited to review each of them! https://t.co/bEabxtWgiq pic.twitter.com/F1KAHyfSzp
— Amazon News (@amazonnews) 2017年10月23日
アメリカ国内から応募した主要都市
アメリカ国内からは、43の州から応募があったそうです。有名どころは下記の通り。
アトランタ、オースティン、ボストン、シカゴ、ダラス・フォートワース、デンバー、デトロイト、カンサスシティ、ラスベガス、ロサンゼルス、ミネアポリス・セントポール、ナッシュビル、ニューヨーク、オーランド、フィラデルフィア、ピッツバーグ、ポートランド、サンディエゴ、サンフランシスコ、シアトル、ワシントンDC etc.
Amazonの本社があるシアトルですが、第二本社もシアトルに獲得するべく、入札に参加しています。そして、その提案書は522ページにも及ぶそう!全部見るほうも大変ですよね?!おそらく最も長文の提案書ではないでしょうか。
ICYMI in person, NYC lit up in “@Amazon orange” last night to support the City’s bid for Amazon’s second headquarters. #HQ2NYC 📸: @NYCEDC pic.twitter.com/ZpF8bV2mai
— NYCgo (@nycgo) 2017年10月19日
また、ニューヨークシティでは、エンパイアステートビルやタイムズスクエアなど、至る所がAmazonカラーのオレンジ色にライトアップされ、誘致を盛り上げました。空から見ても、街がオレンジに染まってます!
Thx @SunCorridorInc! Unfortunately we can’t accept gifts (even really cool ones) so we donated it to @DesertMuseum 🌵 https://t.co/ZJPQfs44cq pic.twitter.com/Fot06Kgs9P
— Amazon News (@amazonnews) 2017年9月19日
アリゾナ州のツーソン(TUCSON)は、誘致アピールとして超巨大サボテンを贈呈。正直、要らなくない?!、なんて思ったら、やっぱり受け取りは拒否され、サボテンはどこかに寄付されたようです(笑)
Kansas City Mayor has “certainly drawn attention” to the Kansas City bid. READ: https://t.co/Z7JRfp4B49 #KC5Stars pic.twitter.com/KlahKZlzkU
— Mayor Sly James (@MayorSlyJames) 2017年10月18日
さらに面白い誘致アピールが、ミズーリ州のカンサスシティ。なんと、市長さん、Amazonで購入した1000商品に対して、5つ星の評価を付けたそうです。リアルに。
カナダから選ばれる可能性も大きい?!
Amazonというアメリカ企業の第二本社の公募ではありますが、カナダから選ばれる可能性は案外高いかもしれません。
その理由は、AmazonのCEO(最高経営責任者)であるジェフ・ベゾス氏がトランプ大統領の宿敵であること。
ベゾス氏は、これまでトランプ氏、そしてトランプ政権の政策を批判していますし、ベゾス氏個人が所有しているワシントンポストでもトランプ政権を非難する記事が踊っています。
トランプ大統領もそれに対し、TwitterなどでAmazonやベゾス氏を反撃し、話題になっていますよね。
Amazon is doing great damage to tax paying retailers. Towns, cities and states throughout the U.S. are being hurt – many jobs being lost!
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) 2017年8月16日
Is Fake News Washington Post being used as a lobbyist weapon against Congress to keep Politicians from looking into Amazon no-tax monopoly?
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) 2017年7月25日
ベゾス氏のトランプ政権への不満や批判から、あえて候補地を「アメリカ国内から」とは言わず、意図的に「北米から」と言ったのではないか、とも言われています。
カナダから入札した都市
Amazonが『北米で』と言うんだから、もちろんカナダだってメキシコだって入札しますよね。メキシコからは3つの州から応募があったそうですが、カナダからは下記の都市が入札に参加しています。
トロント、オタワ-ガティノ、エドモントン、カルガリー、ハリファックス、スー セント マリー、ウィンザー、ハミルトン、モントリオール、バンクーバー
中でもトロントのアピールは熱烈。シアトルにこそ負けますが、190ページにも及ぶ提案書を提出したそうです。
Tomorrow is deadline for Amazon HQ2 bids. Someone is pushing for Calgary by tagging sidewalks near Amazon in Seattle (Photos: David Moody) pic.twitter.com/mhI4EfTg3c
— KOMO News (@komonews) 2017年10月19日
また、カルガリーのキャンペーン活動も面白いです。シアトルのAmazon本社周辺に、200にも及ぶ落書き(?)を残したそう。落書きの中で、カルガリーは同市の名前を「Calmazon」もしくは「Amagary」と、Amazonにかけたものに改名してもいいよ、なんて、冗談なのか本気なのか、よく分からない迷案を投げています。
さらに、カナダのジャスティントルドー首相は「Dear Jeff」と、ベゾス氏に向けてラブレターを送ったことも話題です。手紙の中でトルドー首相は、カナダの国民皆保険制度や、健全な年金制度、生活コストの低さ、そして、多文化主義の強みなどをアピールしています。
Fortune|Justin Trudeau Sends an HQ2 Love Letter to Amazon
カナダの都市はいずれも、税の優遇等は行わないそうで、この点では選考で大きく不利になりそうですが、トルドー首相がアピールしているように、カナダの健康保険制度はAmazonにとって大きなコスト削減となり、税優遇がない点も相殺されるのかもしれません。
Amazon第二本社の条件
さて、候補地を決定するにあたり、Amazonの突きつけた条件は下記の通り。
- 100万人規模以上の大都市、もしくはその郊外
- 手頃な不動産
- トップレベルの技術者が多くいる
- レベルの高い技術者を輩出する大学がある
- 国際空港から45分以内
- シアトル、ニューヨーク、サンフランシスコ、ワシントンなどへの直行便がある
- 公共交通機関に直結
- 主要高速道路まで2-5キロ以内
- 居住地区まで48km以内
- 従業員が楽しめる文化的な街
- 10年以内に740,000㎡以上の敷地拡大余地がある etc.
都市にとって莫大な経済効果を生み出すことが明白なだけに、その要求はなかなかの難題ですよね。さらには、「減税もしくは助成金の措置があるかどうかは、大きな判断材料だ」とも発表しています。
各誌の予想は?
この難題に答えることができる都市は、一体どこなのか。新聞や雑誌など各誌が候補地の予想を行っているのですが、それぞれ選ぶ都市が違っていて面白いです。有名どころの予想をいくつかご紹介します。
フォーブス
世界的な経済誌であるフォーブスは、下記の5都市を候補地として予想しています。
アトランタ
◎ 温かい気候、住宅価格が安い、国際的なハブ空港、物流拠点
オースティン
◎ 生活の質が高い、技術者が多い、ビジネスフレンドリー環境
× Amazonが東海岸から近いことを重視した場合は選考外だろう
トロント
◎ 豊富な労働力、大学や空港が近い、米ドル高によるビジネスコストの低さ、米国境から90分の近さ
ピッツバーグ
◎ トップレベルのカレッジや大学があり優秀な人材が確保できる、生活費が安い、開発可能な土地が多い、生活の質が高い
ボストン
◎ ハーバードやMITなどのトップの大学がある、国際的なハブ空港、充実した公共交通機関、生活の質
× 生活コストが国内トップレベルで高い、不動産が不足
ニューヨークタイムズ
ニューヨークタイムズAmazonの出した条件が当てはまる都市を検証していますが、条件にピッタリな都市はデンバーだとしています。
生活コストの低さ、近隣の大学からの技術者の獲得が可能なこと、Google、Twitter、オラクル、IBMといった他のIT企業がすでにオフィスを構えていること、サンフランシスコやシアトルのようにレクリエーション施設も多く生活の質が高いこと、多様性を受け入れる文化があることなどが理由です。
ボストン、ポートランド、ワシントンDCなども候補には上がっていましたが、それらの都市にはAmazonが出した条件に当てはまらない項目があり、候補から除外されています。
ワシントンポスト
Washington postはAmazon CEOのベゾス氏個人が所有しているだけあって、その予想は気になるところです。
Washington postでは39都市を選出しています。その中でも、アトランタ、フィラデルフィア、ワシントンDCを順当な候補地として挙げています。さらに、ボルティモア、 デトロイト、ローリーダーラム、ナッシュビル、メキシコシティ、トロント、クリーブランド、ミネアポリス・セントポール、オーランドも面白い候補だとしています。
また、同じくワシントンポストのコラムニストが書いた記事には、カナダ(中でもトロント)を第一候補地に選ぶという興味深い記事もありました。
Washington post|Why Trump might be driving Amazon HQ2 to Canada
その理由には、Amazonがあえて『北米』と言ったことや、ベゾス氏にとってカナダの多文化主義政策や、高技能の移民を受け入れている政策が魅力的に映ることなどを挙げています。
以上、Amazonの第二本社について候補都市や各誌の予想などをご紹介しました。
各都市の誘致合戦は正当なアピールから、話題作りとしか思えないものまで様々で面白いですよね。選出される都市は、順当にいけば、各誌が予想しているようなアトランタやオースティン、ディンバーになるのでしょうか。それとも、予想外に、アメリカ国外の都市になるのでしょうか。
実際に候補地が選ばれるのは2018年とのこと。一体どの都市が勝ち抜くのか、本当に気になるところですね!カナダ在住者の目線からすると、ベソス氏がトランプ政権に反旗を翻し、カナダの都市を選んでくれたらいいのになぁ、と淡ーーーく期待しています。
- Amazon’s home region unveils 522-page bid for its second headquarters, citing ‘historic partnership’
- Forbes|Amazon Is Most Likely To Build Its Second Headquarters In One Of These Five Cities
- NewYorkTimes|Dear Amazon, We Picked Your New Headquarters for You
- Washington Post|This map shows 39 places that could win Amazon’s new-headquarters contest