ウワサ通り、カナダの人たちはあまり残業しません。基本的に拘束時間内しか働かない。
日本のように、早めに出社するということもなく、朝の出勤時間はかなりギリギリ。そして定時が来るとあっという間に去っていく。夫の会社もこんな感じだそうです。
自分の持ち分が終われば、周りに関係なく帰るのが当たり前。期日が決まっている仕事がある場合など、残業せざるを得ないこともありますが、それ以外は基本的に定時帰宅です。
カナダに来てビックリしたことの一つに、街の道路が、なんと夕方4時前から帰宅ラッシュで混んでいます・・
自分の責任範囲を超えて働かないから、残業もない
私が通っていたESLや、息子が通っているデイケアでも、先生と生徒、先生と児童という環境であっても、先生たちは情け容赦なく?、しっかりと決められた勤務時間をきっちり守っています。
朝、デイケアに息子を連れて行った時に、開始時間に2,3分早めに到着してしまったことがありました。そしたら先生は、「まだ時間前だから、開始時間が来るまではあなたが子どもを見ていてね」と言って、新聞を読み続けたのです。そして、時間が来たら、「お母さん、行っていいわよー」と。
たった2,3分であっても、それが自分の拘束時間ではないから、子どもは預からないわけです。
あまりにキッチリしていてビックリというか、いい意味で関心しました。日本だと、2,3分位なら、「いいよ、いいよ」って対応することが多いと思うし、就業15分前には職場について、勤務開始するような雰囲気があったりもしますし。
でも、いいですよね、このドライすぎるきっちり感。自分の責任範囲、拘束時間内をきちんと守る文化があるからこそ、ダラダラ残業することもないわけで。
日本では、残業=勤勉の象徴
日本では、自分の仕事が終わっても、周りの目があって定時には帰りづらい雰囲気がありますし、トラブルで残っている人がいたら一緒に付き合うのも当たり前です。
そして、「残業してる人こそ、真面目に頑張って働いている人」として見なされがちです。これはこれで、人情重視でこれはこれで良い文化だとは思うのだけど・・。
夫が日本で働いていた時の会社は外資のアメリカ企業でした。
勤務形態はアメリカ企業らしく、本社や他国の社員と同様に、裁量労働制というやつ。今、まさに日本で話題の「残業代ゼロ法案」で政府が掲げている、「時間でなく成果で評価する」という勤務形態です。自分の仕事をこなして成果が出せるのであれば、極論、1日1時間働くだけでもいいわけです。
でも、実際のところは、夫は毎日朝6時には家を出て、帰りは夜10時とか。家に帰ってからも在宅で仕事、さらには土日も仕事で潰れることも多く、まさに仕事人間でした。
仕事が充実していて楽しかったみたいだから、鬱の心配こそなかったですが、家族の時間はとても少なかったです。
文化が大きく違う日本で、制度だけ理想的に裁量労働制を取り入れても、なかなか欧米と同じようにはいかないものですね。
残業ゼロによる家族の変化
カナダに来てから、残業がない生活を人生で初めて味わっている夫ですが、それにより夫の生活、そして家族の関わりが大きく変わってきています。
まず、夫が子どもと遊ぶ時間が増えたこと。
息子と二人で公園に行ったり、息子と一緒にレゴに没頭したり。
そして、夫自身も、子どもとの関わりを楽しみ、自分の趣味につなげています。
作ったレゴ作品をビデオを撮って編集してみたり、ミニ四駆のコースを自作して走らせてみたり。日本では考えられなかったことだらけです。
はたから見ていても、夫は全く新しい人生を送っているなぁと思います。
心のゆとりも増えたのか、イライラすることも減り、夫婦喧嘩も減り、息子も、お父さんと遊ぶ時間が増えて、お父さんがますます大好きに。家族の絆が深まっているのを感じます。
残業の有無が人や家族に与える影響ってなんて大きいんでしょう!
日本の人情文化も大好きですが、仕事に関しては欧米のように割り切った考え方が浸透して、日本でも定時帰宅が当たり前になったらいいのになと思います。
でも、そうなるために、必要なのは「残業代ゼロ法案」以上に、「残業=勤勉」という考え方を変えていけないといけませんね。