カナダのピアノグレード試験「RCM」とは?グレード1の試験内容、レベル、試験の流れをご紹介!

更新 | 2018-08-03公開
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息子8歳、カナダの音楽グレード試験である「RCM」のグレード1に無事、合格しました!

RCMは日本でいうヤマハなどのグレード試験のようなものなのですが、一体どんな試験なのか?!

今回の記事では、RCM試験の概要とともに、息子が受験したピアノの「グレード1」の試験内容を詳しくご紹介したいと思います。

RCMとは?

 

RCMというのは、The Royal Conservatory of Music(トロント王立音楽院)が実施している統一音楽試験です。

ピアノやバイオリン、フルート、ギター、クラリネットなど、21の楽器毎に試験があり、カナダやアメリカで音楽を習っている人にとっては、最も有名な試験と言えます。

試験のレベルですが、基本的にGrade1-10(10が最高位)となっています。ピアノの場合は、入門レベルのPreparationA、Bから始まり、Grade1-10、そして、教授法のARCTと続きます。

各レベルを受けるためには年齢は関係なく、3歳でグレード1を受ける子もいれば、50歳で受ける人もいます。

この試験は演奏の実技試験だけでなく、グレード5になると記述式の音楽理論試験、さらにグレードがあがると音楽史、調音などもあり、非常に厄介!単に「ピアノが弾ければOK」というわけではないので、この試験を受けるかどうか賛否両論があります。

メリットは高校のクレジットになること

ただ、RCMの大きなメリットが、高いグレードを保持すると、高校でのクレジット(単位)として認定されるという点。これにより、大学進学や奨学金申請が優位になるため、高いグレードを目指す学生さんも多いようです。

どのグレード(級)がどの学年のクレジットに認定されるかは、州によって異なりますので、詳しくは公式HPにてご確認ください。

正直、高校のクレジットになるレベルまで楽器を習い続けるのは、なかなか難しいかもしれませんが、、、そこまでのレベルに行かなくても、楽器を習う上でのモチベーションアップとして利用できたら良いですよね。

我が家の場合も、息子にはピアノの道へと進んで欲しい!───なんてことはなく、、、単に本人も好きだから習っている「趣味レベル」。音楽教室のリサイタルと同様に、RCMが本人にとっての目標となり、やる気につながれば良いなと思います。

ピアノのグレード1の試験内容

RCMの試験内容ですが、RCM公式サイトに各楽器ごとのシラバスが掲載されており、そこで詳しい内容、課題曲の候補などを知ることができます。

ここでは、息子が実際に受験したピアノのグレード1の試験内容をご紹介したいと思います。

教本

まずは、グレード試験のために購入した教本からご紹介。

4冊で60ドルほど。薄いのに高い!中身は以下で順次ご紹介します。

試験内容と配点

これがグレード1の試験内容です。高配点のレパートリーの演奏、そしてテクニック演奏、イヤーテスト、初見演奏から構成されています。

合格点は100点中60点以上と、割と低めの合格点になっています。ただ、合格点の中でも、下記のようにランク分けがされており、80点以上を取得するのは難関とされています。

  • 90-100:First Class Honors with Distinction
  • 80-89:First Class Honors
  • 70-79:Honors
  • 60-69:Pass

 

息子の音楽教室では、80点以上取得した生徒にはトロフィーを用意してくれており、リサイタルの時に授与されることになっています。息子は、みんなの前でトロフィーをもらっていた子供たちが羨ましくてしょうがなかったようで(単純)、80点以上を目標に頑張っていました。

以下、各項目ごとに内容を見ていきます。

レパートリー演奏(56点)

レパートリーでは、指定された課題曲リストA、B、Cの中からそれぞれ1曲ずつ弾きます。(配点:A16点、B18点、C16点)

まず、リストA「バロック・クラシック」の課題曲の中から1曲。シラバスには課題曲が数十曲ほど掲載されています。例えば、下記のような曲があります。

 

そして、次にリストB「ロマン派、20世紀、21世紀」から同様に一曲選びます。課題曲候補にあるのは、例えばこんな曲。

 

そして、リストC「インベンション」からも1曲。

また、レパートリー演奏は、楽譜を見ずに演奏することで6点の加点となります。試験のグレードが低いうちは、課題曲の長さも短めですし、暗記してこの6点を狙いたいところです。

テクニック演奏(24点)

Grade1のテクニカルの項目は、スケールとコードを弾く内容になっています。「Techinical Requirements for Piano」の教本に掲載されているものを、正確な指使いで演奏できるように練習します。配点は12点です。

例えば、こんなスケールがあります。

ただ、実際に試験で弾くのは、教本に掲載されているスケール、コード全てではなく、試験官に指示されたものだけです。(だいたい3~5つくらい)

試験官が、

「Can I have A Minor Harmonic Scale Right hand?」
「How about E Minor Broken Left Hand?」

こんな感じで指示をしてくれます。

息子が一番苦労したのが、このスケール&コードの演奏でした。指の位置やシャープの位置をつい間違えてしまって、試験前1か月はひたすらこの練習ばかりしていました。

また、テクニカルの項目では「Etude」からも1曲演奏もあります。こちらの配点は12点です。「Piano Etudes」の教本か、シラバスに掲載されている課題曲の中から選びます。

実際に演奏している動画だと、例えばこんな曲。

聴音テスト(10点)

配点は10点と低いですが、リズムとメロディを聞き取る聴音テスト、クラップバックもあります。

グレード1のレベルは、例えば上記の違いを聞き取るレベルだったりと、割と簡単。

ちなみに、このアプリのような画面は、「Sight Reading and Ear Tests」の教本を購入すると、無料でオンライン練習ができる「digital-learning」から。イヤーテストの項目はこのオンライン練習が便利でした。

また、クラップバックは、試験官が短いメロディを2回演奏してくれるので、それを手拍子で表現するというものです。

初見演奏(10点)

リズムとメロディーの初見演奏もあります。その場で与えられたリズム、そして、メロディを演奏します。

Sight Reading and Ear Tests」のテキストに練習用の楽譜が掲載されていますが、イヤーテスト同様、グレード1のレベルだと、この通り、さほど難しくありません。(一回分は、4小節の一段だけです)

受験の流れ

実技試験は1月、4月、6月、8月の年4回実施されています。試験の申し込みはRCMの公式HPより、オンラインで登録します。

試験の5か月ほど前からレジスターが始まり、試験3か月前に申し込み締め切りとなるので、割と早い段階からの申し込みが必要です。空き状況によっては、締め切り後も申込ができますが、その場合はLate FeeやPaper Handling Feeに別途70ドルほどかかってしまうのでご注意ください。

試験は同都市内でも、数多くの会場で実施されているので、さほど遠出しなくても受験できるのでは、と思います。我が家の場合も、自宅から車で10分ほどのところで受験することができました。

試験の実際の流れは、RCM公式HPが提供している「Peek inside the examination room」の動画を見ると分かりやすいです。動画の埋め込みが制限されていたので、下記リンクからご視聴ください。

The Royal Conservatory | A Peek Inside the Examination Room

試験官と1対1で進めるので、試験官によってはかなり雰囲気が異なるように思います。

息子が受けた時の試験官は、優しく、フランクに話してくれる女性だったので、緊張も多少ほぐれたようですが、聞いた話によると、淡々としていて、怖い感じの方もいるようで、、、こればかりは運ですよね。。。

試験結果

試験結果は、試験の4~6週間後にRCMのマイページ上でPDFで閲覧できます。

ただ、試験のレジスターをする際に、先生の情報も登録しておくと、先生の元に、いち早く結果が届きます。我が家も試験の2~3週間後には、先生から結果を教えてもらえました。

オンライン上では、各項目毎のスコアだけでなく、試験官による各曲毎の詳しい評価も分かります。

下記は息子の試験結果なんですが───

なんと、90点を取得して、First Class Honors with Distinctionとなっていました!

試験では、演奏を間違えて引き直したりもしていたので、下手したら不合格、良くても60点の合格点ギリギリなんじゃないかと思っていたので、この結果には本当ーーーにびっくり。

先生曰く、「緊張して間違えてしまうことは試験官も理解している。間違いよりも、テクニックや演奏そのものを重視して評価したのでは?」とのことでした。

確かに、試験官のコメントを読むと、スタッカートやアクセント、ダイナミックなどが注意深く演奏できたことや、正しい指使いが出来たことなどが評価されているようでした。多少の弾き間違えをしても、そこまで心配しなくても良いのかもしれません。(単に、試験官が優しかっただけかも。。。)

今回の試験準備期間は1年ほど。かなり『のらりくらり』でしたが、試験前2か月となると、週2回レッスンを受けたり、毎日練習を頑張っていたので、頑張りが報われて本当に良かったです。見事、念願だったトロフィーももらえることなって、本人は大喜びでした。

子供にとっても「合格」という形で認めてもらえるのは、とても嬉しいものですよね。今回の結果のおかげで、ピアノに対するモチベーションがかなり上がり、『もっとトロフィーをもらいたい!』とのこと。現在、グレード2の試験対策に切り替えて、練習しています。

まとめ

以上、カナダの統一音楽試験「RCM」についてのご紹介でした。

グレード1の受験内容やレベルを中心にご紹介しましたが、これから受験される方、受験予定のお子さんをお持ちの方に参考になると嬉しいです。

RCM対策は、アメリカ・カナダで一般的に使われている「Piano Adventure」の教本と違って、RCMのテキストに挿絵もく、見るからにつまらない内容です。課題曲も「歌いながら楽しく弾く」というものでもないですし、スケールの練習などは本当に単調です。

────でも!!

合格した時の喜びはひとしお!モチベーションアップとしてうまく利用してみてくださいね。

我が家もなんとかモチベーションアップにつながったので、今後もグレード2、3、4、5・・・と受け続けてほしいなと思います。またグレード2以降の試験内容についても、おいおい記事にしてご紹介できたらと思います。記事が無かった時は、、、お察しください(笑)

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