日本とカナダの妊娠出産事情|両者を経験した私が感じた5つの大きな違い

更新 | 2015-02-24公開
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日本で第一子を出産、カナダで第二子を出産した私。

両者の妊娠・出産経験は天と地くらいの差がありました。本当ーーに、まるっきり違います。制度的なものだけでなく、カルチャーも全然違う!

どちらが良いかどうかは、感じ方は人それぞれだと思いますが、今回は、日本とカナダの妊娠出産に関わる医療事情の違いをご紹介したいと思います。

初期の妊婦検診

日本カナダ
妊娠判明したら1~2週間毎に検査妊娠4か月頃から妊婦検診開始

 

日本では妊娠が判明した5週目、6週目の頃から妊娠3か月頃までは、1~2週間に1回の検診がありますよね。初期は流産しやすい時期でもあるので、毎週のように検診に通い、赤ちゃんの心拍を確認したり、妊婦の血液検査を行ったりします。

でも、カナダでは11~13週頃(妊娠4か月前後)まで妊婦検診がありません!

妊娠確認のために、一度ファミリードクターやウォークインクリニックにいって検査はしてくれますが、その後、実際に妊婦検診が始まるのは妊娠3か月を過ぎてから。約1か月半くらい、なんの検査もないまま、ただただ待つのみ!(州によって、また、既往歴にもよって多少の違いはあるかもしれません)

日本人の感覚からすると、妊娠が判明して不安も多い時期なのに、検診が無いなんてとても不安ですよね。流産だって怖いです。

でも、妊娠初期の流産は防ぎようがないものが多く、妊婦検診をしてもあまり意味がないんだそうです。そのため、無駄を省いたカナダの医療制度の元では、妊娠初期の検診がないのです。

ただ、つわりが酷い場合は、ファミリードクターなどでつわり止めを処方してもらえますし、体調に不安がある場合はもちろん、通常通り診察してもらえます。何か不安がある場合は、妊婦検診を待たずに、すぐさまドクターに相談した方が良いと思います。

妊婦検診が簡素

日本カナダ
問診、尿検査、体重、血圧、腹囲・子宮底長測定、超音波検査内診など問診、尿検査、体重、血圧、腹囲・子宮底長測定、心音確認など

 

妊娠4か月頃にようやく始まる妊婦検診。検診の回数は週数に応じて4週に1度、2週に1度、臨月ともなると週1回の検診に代わります。この辺りは日本と同じですね。

でも、妊婦健診の内容自体はかなり簡素!

カナダでは、問診に加え、尿検査・体重・血圧・アナログな感じの機械で赤ちゃんの心音確認・触診による赤ちゃんのサイズ計測くらい。内診も超音波検査もありません。

超音波検査は、妊婦の年齢や既往歴などによっても異なりますが、基本的には妊娠期間中、1~2回のみ。1度目が妊娠4か月の頃、2度目は妊娠6か月の頃です。

赤ちゃんに会える、そして、赤ちゃんの性別が分かる貴重な機会が、たった1,2回という衝撃と言ったら・・。

回数が限られている理由を先生に聞いてみましたが、毎回検査しなくても赤ちゃんは元気に育つし、頻繁な超音波検査は赤ちゃんに多少なりとも悪影響を及ぼしてしまうから、だそうです。それ以外にも、コスト上の問題も大きいのでは、とも思います。

では、たった1~2回の限られた超音波検査の機会に、赤ちゃんの性別が分からなかったら?!

こうなると、プライベートクリニックで自費で超音波検査(200ドル前後)を受けるか、もしくは有料のダウン症遺伝子検査(300ドル前後)を受けるなどしない限り、性別がわからないまま出産に突入です!まさに私なんですが(笑)

また、内診に関しては、異常がない限り行われず、出産間近の頃に、卵膜剥離の内診があるくらいです。日本だと妊娠初期の頃に何度も乗らされるあの検診台・・。これが無いというのは、気持ちが本当に楽です!

───と同時に、『異常が見過ごされてしまうのでは?』という不安も大きいです。

しかも、内診や超音波検査は別の施設に行かなくてはならず、気になる症状があっても、すぐに診察してもらうこともできません。あくまで予約をした上での後日検査なので、数週間後になることも。

・・・というわけで、検査に関して個人的に思うのは、問診や触診程度では何らかの兆候があっても見過ごされるような気もしますし、カナダの妊婦検診では、自分自身で体調や赤ちゃんの状態をしっかり把握し、不安な点は積極的に先生に伝えていくことが大事じゃないかと感じます。

超音波検査の目的

日本カナダ
検査目的以外に、赤ちゃんに会わせてくれる機会。毎回写真がもらえ、3D超音波も一般的。あくまで検査目的。写真すら基本的にもらえない。

 

超音波検査そのものも、日本とカナダでは大きな違いがありました。

まず、超音波検査で撮った写真は基本的にはもらえません。

日本で産んだ第一子の時は、毎回もらえる超音波写真で胎児の成長記録アルバムを作ったものですが、第二子の時は全くなし。これは本当ーーに残念でした。(優しい先生の場合はこっそりもらえたり、有料でもらえるケースもあり)

また、日本の産院の場合、

「ここがお顔だねぇ。あ、今、手を動かしたねぇ。たれ目で可愛いねぇ。」

なんて、赤ちゃんの可愛い姿を見せてくれるのですが、カナダでは赤ちゃんに異常がないかを丹念に時間をかけて調べる、まさに「検査」という感じ。

みっちり検査するだけあって、私の場合は、超音波に要した時間は約1時間!でも、しっかり見てくれただけに、安心できました。

ちなみに、もっと赤ちゃんに会いたいという場合、有料で超音波検査をしてくれるプライベートクリニックもあります。3D超音波だったり、性別も確定診断してくれ、写真もくれる、まさにサービスとしての超音波検査で、コースによって$100~$300ほど。せっかくの記念に、一度くらい受けてみるのも良いかもしれません。

検診・出産費用

日本カナダ
検診、出産、入院、全て自己負担

自治体から10枚前後の検診補助券も発行されるが、枚数が足りず、後期の検診は全額自己負担になりがち

検診、出産、入院、全て無料

自費になるのは薬代と入院時に個室を選んだ場合の差額ベッド代くらい

 

お金の面も大きな差ですよね。

日本で第一子を出産した際には、

  • 妊婦検診1回1万円~1万5千円(検査項目による)x16回くらい
  • 分娩費35万円
  • 入院7日間21万円
  • 新生児管理料6万円

ざっと大きな出費がこれくらい。しかも、上記以外にも、予防接種だの、薬だの、何かと費用がかさみます。ヘタレな私の場合、無痛分娩も希望したため、無痛処置の費用に10万円ほどかかりました。結局、全費用を合計すると90万円近くに。

自治体からの検診補助回数券や、会社の健保からの出産祝い金も55万円ほどあったので助かりましたが、それでも30万円以上は飛んでいった・・。

その点、カナダの場合、州の健康保険に加入できれば、全て無料!無痛の処置も無料!!

自費になるのは、薬が処方された時の薬代や、出産で入院する際に、個室や二人部屋などを選んだ場合の差額ベッド代くらいです。入院時の食事すら無料なので、驚きです。

と言っても、入院時の食事は、もちろん、日本のように豪華なお祝いご膳なんかじゃありませんし、入院中に何かともらえる記念品もありません。

私が入院した病院では、メニュー表の中から自分の希望を伝えてデリバリーしてもらう形式でしたが、パスタやラザニア、サンドイッチなどなど、いたって簡素。

でも、無料なので、なんの不満もありません!ただただ、ありがたやーと手をすり合わせたくなるばかり。

州の健康保険に加入できない場合は超高額?!

州の健康保険に加入できない場合、費用は全額自己負担となり、検診や出産費用は、日本以上に高くなるようです。検診費用は一度に100~300ドル、自然分娩の出産&入院で100,00~200,00ドル、帝王切開になるとさらに高額な請求になるようです。

州の健康保険への加入できる方は、基本的には永住権もしくはワークビザ保持者となりますが、州によっては規定期間以上の学生ビザ保持者も対象になります。

ただ、州の健康保険に加入できない方でも、ミッドワイフ(助産師)の元での検診や分娩は無料となる州もあります。

 

母子手帳がない

日本カナダ
妊娠中から6歳まで、成長記録、予防接種歴、病歴などを母子手帳に記載して管理母子手帳はなし。基本的にはファミリードクターが把握しているものの、引っ越しなどを考慮し、自己管理が必要

 

日本では妊娠と同時に母子手帳が支給され、毎回の妊婦検診の結果を記載してくれますよね。でも、カナダには母子手帳のような管理体制がありません。

妊娠中の体重や血圧の結果などは、自分でメモしておかないと分からなくなってしまいます。先生が把握してくれているので、自分で把握する必要は、ないっちゃぁ・・・ないのですが、どれくらい体重が増えているかとか、経過は気になりますよね。

また、出産後の子供の成長記録や予防接種歴もファミリードクターが管理してくれているものの、引っ越しなどでドクターを変更する場合は、カルテの送付なども必要になってきますし、ある程度の自己管理が求められます。

ただ、最近は政府が公式にリリースしている予防接種管理アプリもあるので、簡単に管理できるようになっています。詳しくは下記記事にて。

 関連記事 

カナダでの予防接種管理に無料アプリ「ImmunizeCA」がおススメ

でも、日本に帰国することを考えると、母子手帳があったほうが安心ですよね。

私は予め日本で英語版の母子手帳を母子健康事業団というところから購入しておいたので、健診の結果を自分で記入して行っています。一時帰国の際や、将来子供が日本に帰国する場合に備えて、それまでの健康状態を伝えるためにも作っておいた方がいいかなと思って作ってみました。

───が。

出産後、つい気持ちが緩んで、記入を怠りまして、、、現在、引き出しの奥の方に放置されております。せっかく買ったのに(笑)

ちなみに、海外に住む日本人妊婦さんに母子手帳を無償で配布してくれるという情報がカナダの領事館のページにありましたので、ぜひご確認を!

適正な体重増加目安

日本カナダ
7~12kgまでOK11.5~16kgまでOK

 

妊娠中の体重管理も大きく違う点です。

日本で第一子を妊娠した時は、検診ごとに厳しく怒られる体重のことがストレスでストレスで、妊娠生活が本当に辛かった思い出です。

まるでダイエット中のようにカロリー計算したり、食事制限したり。それでも、体重はどんどん増えてしまって、先生から怒られるのが怖くて、検診当日は食事を抜いたり、真冬なのに超薄着をしたりしたものです(笑)

それに比べると、カナダはもうパラダイス!

体重に関しては一切何も指摘されません。こちらのほうが心配になり、先生に「こんなに増えて大丈夫ですか??」と聞いてみたこともありますが、「あなたの体調が良いなら大丈夫!」と太鼓判で(笑)

でも、実際に、日本とカナダでは同じBMIの標準体型でも、体重増加の目安が日本が7~12kgに対し、カナダは11.5~16kgと、大きく異なっています。さらに、ドクターたちも、机上の数値で判断するのではなく、妊婦や体調や胎児の状態そのもので判断しようとしてくれます。

この辺は下記の記事でも詳しく紹介していますので、よかったらこちらもぜひ。

 関連記事 

16キロ増えてもOK?!日本とカナダでは妊娠中の望ましい体重増加の範囲が異なる!

無痛分娩の対応

日本カナダ
無痛分娩に対応している産院はごく僅か。対応している産院の多くが「計画出産」。無痛分娩が多く、24時間いつでも対応してくれる

 

無痛分娩への対応具合も大きくことなります。

痛みにめっぽう弱くて、お産が恐怖でしかなかったヘタレな私は、必死で無痛分娩対応の産院を探しましたが、本当に少ない!

東京の産院を探していたので、地方に比べるとまだ選択肢があったので助かりました。でも、どこも大人気で、妊娠5週目くらいの超初期の頃に分娩予約しないと、予約が取れないレベル。最近は徐々に無痛分娩に対応している病院は増えてはいますが、それでもまだまだその数は限られています。

しかも、無痛分娩=「計画出産」が基本です。

計画出産とは、予定日よりも早い日程で入院し、促進剤を使って計画的に出産する、というもの。

日本の場合、無痛処置ができる麻酔科医が常駐している産院が少ないため、どうしても計画出産になってしまうようです。

私も第一子は無痛を希望したため、計画出産となりました。陣痛の痛みを一切感じることなく、本当に楽な出産ではありましたが、我が子の誕生日を親が決めてしまう、という罪悪感も大きかったです。この子の誕生日は本当だったら2週間くらい遅かったのかな、なんて考えたりも。

その点、カナダでは、無痛分娩はごく一般的で、希望すれば、どの病院でも24時間無痛処置をしてもらえます。赤ちゃんのタイミングに合わせて産んであげられるのに、無痛処置をしてもらえるのは本当にありがたいことだと感じました。

でも・・、ですね・・。

カナダで産んだ第二子は、私の強い希望とは裏腹に、無痛処置無しの自然分娩になりました。

病院に到着した時には陣痛が進みすぎていて、無痛処置が間に合わないというまさかの事態で(笑)代わりに笑気ガスを使って和らげてくれましたが、あんなもんじゃ陣痛の痛みなんて消えやしない!!

無痛を希望する経産婦さんの場合、病院に行くタイミングにはくれぐれもお気を付けを。

入院日数

日本カナダ
初産婦5日、経産婦4日初産婦1日、経産婦半日~1日

 

入院日数の差も大きな違いですよね。

日本、ましてや韓国のように至れりつくせりではなく、基本は翌日退院です。経産婦さんの場合、また、初産婦さんでも状態によっては、朝方出産してその日の午後には退院する方もいます。まさかの半日(笑)

日本で第一子を産んだ際は、産後6日間の入院期間でしたが、当日こそトイレすらいけないくらい体はボロボロで、痛みも酷かったですが、2日目には体もだいぶ動く!赤ちゃんは寝てる時間も多いし、暇に感じるくらい。3日くらいで家に帰りたいなぁという気持ちになりました。入院費だってかさみますし。。。

そして、カナダで産んだ第二子の時は、約半日で退院。出産前は不安でしょうがなかったのですが、案外なんとかなりました!

日本のように産後の肥立ちうんぬんは病院からも全く言われませんし、自分の体が動くなら、動いて大丈夫とのことで、出産から2日後には、料理もしていたくらいです。

家の方が自分自身もくつろげるし、家族にとってもお見舞いへの行き来がないので、とても楽だったと思います。

初産婦と経産婦の経験の違いはありますが、私自身はカナダの半日~1日退院案外悪くないな、と思います。ただ、1日では体が回復しておらず、新生児のお世話もままならないような場合は、入院期間を延ばしてもらうこともできるので、どうぞご安心を!

産院は予約制=出産する病院じゃない

普段の健診は妊婦健診を行っているクリニック、もしくはファミリードクターのクリニックで行うのですが、出産ともなると、大きな病院の産科にかかります。

大きな病院の予約は、否応なしに決められる

楽しみでしょうがない超音波検査や、何か問題があったときに行う内診の検査予約なのですが、こちらから希望日時を言えるわけでなく、病院から「あなたの検査日時はxxです」と有無を言わさない感じの手紙が来ます。これは、妊娠検査以外でも同じですよね。

一回、息子の別件の検査予約と日時が重なってしまったことがあり、予約変更できるか電話してみたのですが、

あなたの予定のほうを変更できないの?

って言われてしまいました・・。別の予定も、病院の検査だと伝えたところ、しぶしぶながらも検査日時を変えてくれたから良かったけど。

基本、病院から指定された検査日時は「絶対」のようです・・。


日本とカナダ、両方の国での妊娠出産を経験するとなると、いろいろな発見や気づきも多くて興味深いです。また何かあったら書きたいと思います♪

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