2016米大統領選投票率56%!政治の関心は高いのに投票率が低い理由

更新 | 2016-11-11公開

日本に比べると、欧米社会では、政治への関心が強いとよく言われます。しかし、アメリカでは政治への高さは、「投票率」には表れていないようです。

小さな頃から政治への関心が高い欧米

欧米では小さい頃から政治は身近な話題です。

親が政治に関心が高いこともあって、家庭でも子供と一緒にニュースを見ながら政治について話すのが一般的。また、政治の話題は低学年のうちから分かりやすく授業に取り入れています。

筆者はカナダに在住していますが、幼稚園や小学校の子供ですら、「Donald Trumpが勝って嬉しい!」「ヒラリーのほうがいいよ!」なんて言い合っているから驚かされます。

日本では、小学生たちが衆議院選挙や知事選挙などについて学校で話すような場面なんて、なかなかないですもんね。中高生になっても然りだと思います。

また、学校の生徒会の選出でも、かなり本格的な選挙活動が行われています。

生徒会に立候補した子供は、私はここを改善したいというような公約を掲げ、スピーチをしたり、他の候補者と討論したり。サポートする生徒もポスターを作ったり、応援スピーチをしたり、応援グッズを作ったり。まるで大人顔負けの選挙活動です。

高校生にもなると、コンベンションに参加し、地域のボランティア活動に参加する生徒も多くなります。そしてその流れで、大学生になって政治家の応援活動に参加する人も多くいます。

→参考記事:アメリカの大学生、過去最もリベラルで政治に強い関心 行き過ぎて表現の自由を抑圧も?

政治への関心が高すぎるから、政治の話題はタブー

もちろん、みんながみんな、政治に興味があるわけではありませんが、日本に比べると政治に関心を持つ人が多いのは確か。政治への関心が強すぎて、自分の応援している政党を批判されると怒り出す人もいるくらいです。

そのため、場の雰囲気を悪くしないためにも、そして、公論などのいざこざを避けるためにも、公の場での政治の話題は禁物。確かに、私自身、カナダに暮らしていますが、とても親しい間柄でない限り、「どの政党を応援してるの?」というような話題になることは、まずありません。

「関心=投票率の高さ」ではない?

しかし、政治への関心は必ずしも投票率にはつながらないようです。

世界の大注目を浴びた2016年の大統領選ですら、投票率はたったの56%。(参考記事→ワシントンポスト)

今回こんなにも注目を浴びた大統領選。当初は過去最高の投票率になるのでは?という前評判でしたが、いざ蓋を開けてみると、メディアの予想もはるかに下回っていたようです。

 

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ワシントンポストにはこれまでの投票率の推移も掲載されていますが、だいたい55%前後で推移しています。日本よりも政治への関心が強いと言われているにも関わらず、実際にはこのような投票率の低さなのです。

 

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出典:朝日新聞社

一方、日本はというと、2012年の衆議院選挙の投票率は59.32%政治への無関心が問題になっている日本よりも、今回のアメリカ大統領選挙のほうが投票率が低いことになりますね。

政治への関心=投票率にはつながらないのでしょうか?

 

ちなみに、世界の投票率はというと。

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出典:Albert Shanker Institute

このグラフはOECD加盟国の選挙投票率なのですが、世界各国と比較すると、アメリカと日本の投票率の低さが際立ちますね。

ちなみに、上記グラフではカナダの投票率も低めに位置していますが、現トルドー政権が誕生した2015年の下院議員選挙では、投票率68.5%と、高い関心が集まりました。

アメリカの投票率が低い理由

政治への関心が高いと言われているにも関わらず、アメリカの投票率が低い理由には、下記が挙げられます。

  • 義務ではない
  • 選挙権は事前登録制であり、面倒に思う人が多い
  • 投票の待ち時間が非常に長く、諦める人が多い
  • 気に入った候補者がいないと、棄権する層が多い

※参考データ:Newsweek日本版「オバマでも伸びなかった投票率の秘密

 

このように、選挙制度自体の問題が大きいようです。有権者側からすると、「選挙に関心はあっても、投票が面倒くさい」といったところでしょうか。

たしかに、Business Insiderのニュース記事でも、今回の大統領選挙で投票待ちをする長蛇の列が取り上げられています。

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なんと、会場によっては、投票まで数時間待ちだったそう。写真には疲れてしまったのか、座り込んでいる女性もいます。また、子連れの家族も一切見当たりません。

私自身、過去10回近く日本の選挙に投票したことがありますが、どこの会場も非常にスムーズ。待ち時間もほとんどなく、あっさりと投票終了するものでした。それがもし、1時間以上も待ち時間があるとなると、投票は諦めていたかもしれません。特に子供が小さいうちは難しいと思います。

まとめ

ここまでの情報をまとめると、このようになります。

  • 欧米では政治への関心が高い人が多いが、アメリカの投票率は低め
  • 2016年大統領選挙の投票率は56%
  • 投票率の低さは、事前登録制や待ち時間が長いなど、選挙制度の問題が大きい

毎回大注目される米大統領選ですが、ここまで投票率が低いのは驚きですよね。ただ、政治への関心自体はとても高いため、今後選挙制度が変われば、投票率は上がるかもしれませんね。

 

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