カナダ東海岸ハリファックス移住・留学のデメリットや問題点

更新 | 2016-10-24公開

移住や留学、ワーホリなどでカナダに住むとなったら、どの都市にするかも悩みどころです。

バンクーバーやオンタリオなど有名な都市も魅力的ですが、カナダ東海岸ノバスコシア州にあるハリファックスも、とても良い街でおすすめです。

前回の記事「カナダ東海岸ハリファックス移住・留学のメリットやリアルな魅力」では、ハリファックスの魅力を、環境の良さや車の便、住宅価格や大学費用の安さなど、現地在住者目線からお伝えしました。

今回は一転して、欠点や問題点についてご紹介です。

物価が高い

メリットのほうでお伝えした通り、住宅販売価格は安いです。

しかし、食品や生活用品など日常的な物価は高い!これはケベック州やBC州など、他州からハリファックスに引っ越して来た人が口をそろえて言うセリフです。確かに、私自身も旅行でモントリオールやトロントに遊びに行った時には、物価の安さを実感します。

実際に、牛乳4Lの価格を、同日の広告からハリファックス、トロント、バンクーバーで比較してみると───

milkprice

 

地域ごとに牛乳生産者が違うため、ブランド名がどうしても異なってしまいますが、トロントやバンクーバーの価格は明らかに安いです。その差、1ドル以上!

ハリファックスでは4Lの牛乳価格は5.5ドルほどで、どんなにセールがあっても5ドルを下回ることはありません。(2016年10月現在)

また、下記の通り、消費税もカナダで一番高く、15%が課税されます。

canadasalestax2016

元データ:canada-usblog.com

税金が高い

ノバスコシアでは、消費税だけでなく、その他の税金も高いです。

例えば、所得税。下記の表は、2016年の一人世帯として計算されているものです。

canada-income-tax-single-person-2016

収入や子供の数などの条件によって多少異なるものの、基本的にはノバスコシアの所得税は、ケベックに続き、最も高くなっています

また、法人税もプリンスエドワードと並んでカナダ一高くなっているので、ビジネスを考えている方には頭が痛いところです。

canada-corporate-income-tax-2016-by-province

賃貸住宅が割と高い

田舎町ハリファックスですが、都市規模の割には、賃貸物件の価格は高め。

2016年度の都市別賃貸住宅平均価格を見てみましょう。

canadarentalaverage

出典:Pad Mapper

1 Bedroom、2 Bedroomの賃貸物件ともに、同規模人口の都市に比べると、ハリファックスの賃貸価格は高めです。ハリファックスより都市規模の大きなケベックシティ、ウィニペグ、ロンドンなどのほうが賃貸価格が安いくらいです。

でも、留学や移住先として人気のトロントやバンクーバーに比べると、ハリファックスのほうが断然安いのは確かですね。

 

求人数が少ない

これは、ノバスコシア、そしてアトランティックカナダ全体のデメリットです。

2016年1月時点の失業率をもとに、下記の記事をご紹介していましたが、2016年9月時点の失業率は、カナダ全土平均が7%に対して、ノバスコシア州では8.1%と、平均を上回っています。

 

 

また、求人件数を見ても、大都市に比べると、数が圧倒的に少なめ。例えば、大手仕事情報サイトのIndeedでプログラマー(Software Engineer)の仕事をハリファックスとトロントで探してみると───

software-engineer-indeed-hit-number_halifax-toronto

トロントのほうが仕事を探している人の数が多いとは言え、65件しか求人がないと、自分の希望条件にあった仕事なんてさらに限られるので、「仕事を選ぶ余地なし」という感じ。希望条件ピッタリの求人を待っていたら、就職・転職活動は相当長くなるかもしれません。

職種によっては、求人件数にも違いはあるかもしれませんし、移住先を検討している方は、Indeedなどでご自身の職種の求人件数を見ておくのがおすすめです。

一方、下記の記事で紹介しましたが、ノバスコシア州では新卒採用を促進するための補助制度で、若者の就職支援も進めています。留学後に永住権を目指して働く予定の方には嬉しい制度ですよね。

 

給与水準が低い

仕事関連では、給与水準も低め。税金も高いというのに、本当に困ったものです・・。州別の平均週間所得データで比較してみましょう。

canada-average-weekly-salary-by-province

出典:Statistic Canada

これは2016年3月にアップデートされたStatistic Canadaの統計です。

カナダ全土平均の1週間の収入が952.11ドル(約7万5千円)に対して、ノバスコシアでは835.01ドル(約6万5千円)と平均以下。一方、アルバータは1,145.97ドル(約9万円)、オンタリオはほぼカナダ平均と同じ962.37ドル(約7万5千円)です。(1ドル=約80円)

ただし、保育料金が都市部より安く共働き世帯が多いためか、世帯総収入で比較すると、カナダ平均とほぼ同じくらいになります。

医療機関の待ち時間が他都市より長い

カナダの問題点の一つに、医療の待ち時間の長さがあります。

命に関わるような緊急を要するケースでは、優先的に治療が進められますが、それでも日本のような早さは期待できませんし、緊急度が低いと判断されたり、念のための検査などでは後回しにされてしまいます。

以前、下記の記事で、整形外科や眼科、婦人科などの診療科目ごとの待ち時間や、CTやMRなどの検査項目ごとの待ち時間を州別に比較してご紹介しました。

 

全体的にはサスカチュワン州、次いでオンタリオ州が待ち時間が短く、カナダ東海岸側の4州では待ち時間が長めとなっていました。ノバスコシアは最下位ではないものの、カナダ全土平均よりは長くなりがちです。

例えば、州別の平均待ち時間はサスカチュワンやオンタリオが約13週間に対し、ノバスコシアでは約26週間、つまり約7か月です。長すぎますよね・・。

メリットでお伝えした通り、ハリファックスの医療レベルは決して低くはなく、むしろ高いレベルとも言えます。

しかし、痛みなどの症状を抱えた状態では、一日でも早く治療開始したいところですし、待っている間にも、症状は深刻化する可能性もあります。持病がある方や健康に不安がある方にとっては、待ち時間の長さは不安材料の1つだと思います。

日本への直行便がない

親や兄弟、友人に会いに、できれば1年に1回は帰国するのが理想ですが・・・、直行便のあるトロントやバンクーバーに比べると、一時帰国のハードルが高い

ハリファックスから日本に帰国する場合、まずトロントやアメリカの都市などを経由しなければならない分、航空券の価格も上がります

さらに、ハリファックスはカナダの中でも距離的には一番日本から離れているので、精神的にも「すぐには帰れない」という意識が強い気がします。

他都市への旅行費用が高い

日本への直行便がないように、他都市への直行便も少ないです。

アメリカの一部の都市やロンドンなどには直行便が出ていますが、基本的にどこに行くにもモントリオールやトロントなどを経由しなければなりません。ハリファックスからヨーロッパは近いのに、結局は遠回り&航空券も高くなりがち。

また、カナダの多くの都市がアメリカに隣接していて、買い物や旅行などで気軽にアメリカに行けるのに対して、ハリファックスからアメリカに行くには、8時間以上のロングドライブが必須!これもとても残念に思う点です。

公共交通機関がバスのみ

交通機関で言うと、ハリファックス市内の移動も車がなければ、バス頼りです。バス路線は割と網羅されているとは言え、やはり、車がないといけない場所も多いし、行けたとしても、乗り換え2回、1時間以上かかったり、とか。

この点は、日本の都会に住んでいた方の感覚からすると、かなり不便さを感じると思います。バスもよく遅れてくるし・・・。でも、遅れるのは、きっとカナダ全土共通かな(笑)

自転車で移動できたら良いのですが、坂道の多いハリファックスではなかなか体力勝負だと思います。もちろん、冬季は雪や路面凍結で自転車は厳しいですし、手信号をしながら車道を走らなければならないため、いろんな面で自転車へのハードルは高め。

ちなみに、トロントなどでは18歳以上のヘルメット着用が任意のところもありますが、ハリファックスではヘルメット着用は義務です。違反すると、150ドルほどの罰金が課せられます。もちろんヘルメット着用はした方が安全とは言え、常に着用必須となると、ヘアスタイルも限られてしまうし、この点も厄介。

道路がデコボコ

300px-newport_whitepit_lane_pot_hole

出典:Wikipedia

これ、他の問題に比べると大したことではないのですが・・、ノバスコシアの道はデコボコしています。

これは、道路の地盤が凍結や解凍を繰り返すことで、道路にひびがはいったり、陥没を起こしてしまう現象で、「Pothole」と呼ばれています。Pothole自体は暖かいバンク―バー地域以外、カナダ全土で抱える悩ましい問題です。

でも、ノバスコシアでは予算の問題なのか、陥没の補修がなかなか進まない!春に陥没した箇所がようやく秋に補修される、そしてすぐに春が来てまたボコボコ・・。補修が遅いだけならまだ良いのですが、場所によってはずっと補修されていない場所もあります。

陥没に気付かず、除けきれずに走ってしまうことがあるのですが、大きな穴なので、車にもすごく悪そうです。他州にロングドライブをしていると、道が整備されているので、ずいぶん走りやすいなぁと感じます。

コミュニティが小さい

ハリファックスの人口は41.7万人。日本で言うと高松市(41.9万人)、横須賀市(41.8万人)、岐阜市(41.3万人)と同じくらいです。

決して大きな街ではありません。知り合いの知り合いは友達買い物などに出かければれば、知り合いに会う確率がとても高いです。しかも、その中でさらに現地在住の日本人コミュニティともなると、もう全員把握しています、といっても過言ではない状態。

コミュニティが小さくて馴染みやすい一方、狭苦しく感じるかもしれません。

意外に犯罪件数が多い

ハリファックスは田舎町で人柄も良くて、治安もよいはず───なのですが、実際に住んでみると、銃事件や殺人事件が意外に発生していて驚きます。

犯罪率のデータを見ても、この通りです。
canada-crime-severity-index-by-province

 

州別にみると、都市部のオンタリオやケベックよりも犯罪件数は多め。

2006-canada-violent-crime-rate-by-city2006 Violent Crime Rates by Canadian City

出典:Ontario the Ministry of Children and Youth Services

 

さらに都市別の凶悪犯罪率を見ると、ハリファックスの件数は顕著です。

また、100,000人当たりの殺人件数は、カナダ平均で1.7人に対し、ハリファックスでは4.4人です。(データ元:The Chronicle Herald: “Halifax, we have a violent crime problem”

田舎町なのに、なぜこのような犯罪率の高さなのか───?

その理由の一つには、ハリファックスから車で30分ほどにある北プレストンが影響しているとも言われています。

北プレストンはカナダで最も古く、そして一番大きな黒人コミュニティの街で、人口に対する黒人率がカナダで一番高い地域です。この地域の犯罪率が非常に高く、ハリファックスで発生する事件も、プレストンに関連しているものが多くなっています。

・・・とは言え、日常生活で治安の悪さを感じることはほとんどありませんので、ご安心を。夜1人で歩いている女性も普通に見かけます。

東海岸独特の英語のなまり

そこまで酷いなまりではありませんが、やはり東海岸独特の発音があります。

東海岸の英語は、short vowelこと、短母音の a, e, i, o, uの発音方法が独特だと言われています年配の方などは特になまりが強かったりするので、リスニングが難しく感じます。

特に、個人的には「o」の発音が難しい!

例えば、Caughtは学校や辞書で習ったような<kɔ́ːt>ではなく、<kot>と、短い「o」で発音するのので、慣れないとなかなか聞きづらいです。

 

移住目的の方であれば、日々の英語に慣れて暮らすしかありませんが、留学やワーホリで英語学習が目的の方には、この点は多少デメリットと言えるかもしれません。

・・・・と、ここまで書きながら思ったのですが───

バンクーバーやトロントでは、移民率が非常に高く、母国なまりで話す人が、か・な・り多いので、ハリファックスのなまりなんて、可愛いもんかもしれません。

メリット・デメリットまとめ

以上、東海岸ハリファックスの街の問題点や、デメリットなどをご紹介しました。前回の記事のメリットと、今回紹介したデメリットをもう一度まとめてみると・・・

⤴メリット

デメリット

雇用問題に、物価や税金の高さなど、問題点はけっこう深刻なものが多いですよね・・。

ただ、実際にハリファックスに住んでいる人は、美しい都市を誇らしく思い、そしてリラックスできる生活に満足している人が多いように思います。また、住宅購入となると、都市部よりもハリファックスのほうが断然現実的です。

何を重視するかにより、都市の選び方は異なると思うので、色んな項目を慎重に検討してくださいね。この記事が都市選びの参考になれば嬉しいです。

カナダ留学&移住を考えている方へ

最後に。私自身、大きな不安を抱えて飛び込んだカナダ。同じようにカナダへの移住や留学を考えている方に、何か役立てることがあれば、とても嬉しいです。質問やご相談などあれば、お気軽に問い合わフォームもしくはLINEでご連絡くださいね。

実経験と現地在住者の目線で、できるだけ疑問や不安が解消するよう、お答えさせていただきます。皆さまからのご相談がブログ記事のアイデアにもなっています!

ただ、私の方でお答えできるのは、あくまで「自身の経験に基づくこと」や「カナダ生活の一般的なこと」。留学や永住権に関して「確実なアドバイス」が必要な方は、専門家に相談することをおすすめします。

エージェントがたくさんいて悩みますが、私の知り合いが移住・留学エージェントをやっているので、よかったら一度相談してみてください。私も留学事情などアドバイスを求めることがありますが、裏話を含め、カナダ事情に熟知しているので、答えも的確ですし、とても親身になってくれる方です。「ハピバナのブログを見た」と伝えいただくと、良いことがあるかも、です!

IELTS受験者必見!