先日、銀行に行って、二人の子供の教育資金用としてRESP (Registered Education Saving Plan)アカウントを開設してきました。
RESPというのは、教育資金用の積立口座です。将来子供が大学などに進学するときのための定期預金のような口座なのですが、ただの定期預金のように、「利子がちょっと高い口座」というわけではありません。なんとなんと、カナダ政府から高額な補助金がもらえるという、ありがたーーい積立制度なのです。
教育資金の預金として、日本の学資保険は元本割れの可能性がなく運用益が期待できる良い商品が多いですが、カナダのRESPは日本の学資保険の何十倍もお得な制度だと思います。
でも、移民である我が家には、将来日本に帰国する可能性もありますし、RESPの途中解約のリスクも考慮しなければいけません。いろいろ調べたり、考えたりして加入したわけですが、いろいろ得た知識をもとに、今日はRESPのことをご紹介したいと思います。
この記事の目次
RESPのメリット
まずはRESPの特徴でもあるメリット3つから。
政府から3種類の補助金がもらえる
RESP口座を開設すると、条件によって、カナダ政府から下記3種類の補助金をもらえます。また、うらやましいことに、カナダ政府からの補助金以外にも、さらに追加で補助金がもらえる州もあります。そう、そんな州はやっぱりお金持ちなアルバータ
Canada Education Savings Grant (CESG)
- RESP口座への入金額に対して、毎年20%の補助金が付与
- 補助金の上限は、子供1人につき、年間500ドル、17歳までの生涯で7200ドル
- 世帯収入制限は無し
年間の最高額500ドルをもらうためには、1年で2500ドルをRESP口座に預ければOKです。つまり、2500ドル預ければ、1年で3000ドルになるという、超高額配当のようなものです!さらにそこには運用による利息も追加されるので、実際にはさらなる高配当ともなり得ます。
しかも、世帯収入の制限はなく、口座に入金さえすれば必ずもらえる、ありがたい補助金です。
そしてこの補助金は、子供1人に付き最高7200ドルなので、子供の数だけもらえる額は増えます。もちろん、その分預けるお金も増えるけど・・。例えば子どもが2人だと、毎年5000ドルを入金しつづければ、最高で14400ドルもの補助金をもらえることになります。
Additional Canada Education Savings Grant (A-CESG)
- 上記CESGに追加して、毎年支給される補助金
- A-CESGの補助金は上記CESGの生涯上限7200ドルに含まれる
- 支給額は年間500ドルまでの入金に対し、下記世帯収入に応じて10%もしくは20%
- $43,953以下 :$500ドル x 20% = $100
- $43,953~$87,907:$500 x 10% = $50
- $87,907以上:$0
世帯収入の制限はあるものの、約90,000ドルと、ゆるやかな制限です。収入に応じて毎年100ドルもしくは、50ドルの追加補助が受けられるため、生涯MAXの7200ドルの補助金を得るためにRESP口座に入金しなければいけない額を減らすことができきます。
Canada Learning Bond (CLB)
- RESP口座開設時に525ドル
- 子どもが15才になるまで毎年100ドル
- 世帯収入制限有り
NCBS(National Child Benefit Supplement)の支給を受けている世帯が対象
この補助金は、口座への入金額に関係なく、口座を開設するだけでもらえます。
ただし、世帯収入の制限があり、NCBS(子供手当であるCCTBに加え、追加で低所得世帯に支給される子供手当の補完版)の支給対象となっている世帯が対象です。ちなみに、NCBSが支給対象となる世帯収入の目安は、年度によって多少は異なりますが、大体40,000ドル位です。
節税対策になる
RESP口座は定期預金や投資信託などで運用することになりますが、引き出すまで運用で発生した利息には税金はかかりません。満期で引き出す時には、これまでの利息分に税金がかかるものの、その利息は親ではなく、学生である子どもの収入とみなされるため、課税額はゼロ、もしくは極わずかとなります。(学生だと、収入はゼロ、もしくはあってもアルバイト額くらいの低収入だと思われるので)
そのため、運用の利息がほぼゼロになり得るという、かなりの節税効果が期待できます!
資金の使用対象となる学校が超・幅広い
RESP口座に付与された補助金を使用するためには、教育機関への進学が条件となりますが、その進学先の条件がとても緩やかです。
大学に限らず、カレッジでも、専門学校でもOKですし、カナダ国外の学校でもOKです。細かな規定はあるものの、その教育プログラムの条件も3ヵ月以上のものというゆるやかさ。ちょっとした職業訓練的なプログラムでもいいわけです。
また、その資金を使える期間は子供が35歳になるまでです。高校卒業後、たとえ進学せずに就職したとしても、その後、やっぱり学校に・・、ということもあると思います。そんな時にもこのRESP資金を使用することができます。
RESPのデメリット
このようにRESPには素晴らしいメリット3つがあるわけですが、もちろんリスクもあります。
途中解約や教育資金外の用途にはペナルティ
RESPの満期は18歳です。(子供のが飛び級した際には例外あり)
でも、18歳になる前に資金が必要になりRESP口座を解約することもあるかもしれません。その場合は、政府からの補助金は没収ですそれでももちろん自分資金分は残りますし、運用の利息分も自分のものになります。ただ、途中解約で引き出す際には利息分に対して、20%が課税されます。
また、子供の将来がどうなるかも分かりません。万一進学することなく、教育資金以外の用途で引き出すことになった場合も、同様のペナルティとなります。ただ、子供が進学しない場合、この資金はRRSP(Registered Retirement Saving Plan)という個人年金用の口座アカウントに移行することも可能で、20%の課税は免れます。
子供がカナダ居住者で無くなると補助金没収、利息非課税も対象外
資金受給者である子供がカナダ居住者で無くなってしまうと、契約者はそれ以降、追加の入金は出来ませんし、それまでの補助金も没収です。また、利息非課税の恩恵も無くなり、もちろん居住地による課税対象となります。
これは移民としてカナダに住んでいる人にはけっこう危険な香り・・人生何が起こるか分かりませんし、日本に本帰国となるかもしれません。
でも、これまでのこの口座に入金してきた自己資金と、運用による利息は手元に残り、引き続き運用が可能です。そして、教育資金として引き出すことが可能なので、補助金がなくなったとしても、長期運用による利息のメリットが大きいのでは、と思います。もちろん運用次第、そして、引き出す時の状況次第ですが・・・。
将来が分からない状況でも加入すべきか?
大きなメリットがある半面、リスクもあるRESP。
ずっとカナダで子供を育てる!という方であれば、加入するのが絶対おすすめですが、将来的にカナダを離れる可能性がある場合は、上記にあげたリスクを考慮しなければいけません。
特に移民である我が家には難しいところではあったのですが、それでも政府からの補助金の額は、大きな魅力的でした。
また、リスクを考慮した上でも、上記でも述べた通り、長期運用益は大きいかなと思い、申し込みました。それに、例え、子供が中学生の頃に日本に本帰国したとしても、青春時代をカナダで過ごした子供は、カナダの大学に進学したいって思うかもしれませんしね。
RESP口座開設資格・口座開設方法
RESP口座を開設するには契約者と子供がSIN(社会保険番号)を持っている必要があります。また、資金受給者となる子供はカナダの居住者である必要があります。
RESP口座は、カナダ国内の大きな金融機関であれば大抵開設可能です。こちらのページで提供している金融機関の一覧が掲載されていますので、ご参照ください。
まとめ
我が家は口座開設している銀行のフィナンシャルプランナーにいろいろ教わり、投資先や投資額などのアドバイスを受けました。でも、日本語でも難しい経済系の話を、しかも英語で、って本当ーーに大変頭に何回ハテナが浮かんだことか・・。予習の大切さを思い知らされます・・・。
まだRESPを開設されていなくて、ご興味がある方は、ぜひ金融機関のフィナンシャルプランナーの方に相談されるよいかと思います。
なお、今回の記事は、銀行の方から聞いた情報や自分で調べた内容を記載していますが、中には古くなってしまう情報などもあるかもしれません。口座開設する上で気になるところなどあれば、担当のフィナンシャルプランナーの方によくご確認いただければと思います。
そして、最後に。
心強いことに、日本人のファイナンシャルアドバイザーの方がいらっしゃったので、こちらでもご紹介させていただければと思います。
BC州在住の方ですが、今回ご紹介したRESPの他にも、年金プランのRRSPや、タックスフリー預金口座のTFSAに関しては、カナダどこに住んでいても、メールや電話でのご相談が可能とのこと!
難しい金融系の話が日本語で相談できるというのは、かなり心強いですよね!気になる方は、ぜひ一度ご連絡してみてくださいね。
ながた けいこさん
keiko.na.ca@gmail.com
こんにちは、
とてもわかりやすくまとめてある情報に感心しながらブログを拝見させて頂いています。
どうしたら、こんなにも細かく調べられるのか、、、と毎回驚かされるばかりです。
ただ、こちらのRESPの記事の途中解約について気になったのでコメントさせて頂きます。
RESPを”途中”解約して利子が受け取れるのには条件がいくつかあるので、そちらも合わせて書いていただけたら、もっとわかりやすいのではないかと思いました。
私ごとですが、ファイナンシャルアドバイザーとして仕事をしています。その中で、こちらの記事を参考にされている方が数名いました。私の多くないクライエントの方が読まれているということは、母体はかなり大きいのではないかと思い、よりわかりやすい情報になればと思ったためコメントさせて頂きました。
ファイナンシャルのお仕事をされているわけでもなく、最後に一言添えてあるので余計なコメントかもしれないですね、ごめんなさい。
最後に一言、
こちらのブログとっても大好きで、毎回参考になることばかりです。いつも素敵なブログをありがとうございます。
Keikoさん、
コメントありがとうございます。お返事が大変遅くなり申し訳ありません。家庭の都合で、かなりバタバタしており、ここ1週間ブログに着手できずにおります。
Respの件、ご指摘下さり、どうもありがとうございます。
ブログを読んで下さる方が増えると、その一方で、責任も重くなり、間違った内容は書けない、と不安も大きくなります。そんな中で、本職の方にこのようにご指摘頂けるというのは、大変ありがたいことです。途中解約して利子が得られる条件というのは知識が及んでいないところでした。調べてみたいと思います!本当に貴重なご指摘をありがとうございます。
Keikoさんのように、日本人のフィナンシャルプランナーの方が身近にいてくれたら、どんなに心強いことか!金融系の話は本当に難しくて(><)もしお近くだったらぜひとも相談をお願いしたいところです… もしまた他にもお気づきの点などあれば、ご指摘頂けたら幸いです。改めまして、今回はありがとうございます。