日本国籍喪失のデメリットは?長期帰国や国籍再取得はできる?年金は?

更新 | 2019-06-11公開
227

前回の記事では二重国籍は可能なのか、日本の国籍に関する内容を取り上げましたが、今回は外国籍を取得し、日本国籍を喪失した場合について、下記4項目を中心にご紹介です。

  1. 日本国籍喪失のデメリット
  2. 国籍喪失後も日本に長期滞在できる?
  3. 国籍喪失後も日本の年金は支払われる?
  4. 日本の国籍は再取得できる?

 

MM「外国籍を取得しても、日本政府にはバレない」「二重国籍も可能」そんな噂も耳にしますよね。実際はどうなのか。どういうケースでバレるのか。その辺りをまとめた記事がこちらです。二重国籍容認を求める現在進行中の裁判ついても紹介しています。

 日本の国籍問題を分かりやすく解説!二重国籍は可能?外国籍を取ってもバレない?バレたらどうなる?

日本国籍喪失のデメリット

日本国籍喪失のデメリットは下記の6つ。

  • 日本のパスポートを失う(ビザが必要になる国が増える)
  • 日本の選挙権が無くなる
  • 生まれた子供に日本国籍が取れなくなる
  • 日本の家探し、就職、子供の学校探しなどで苦労する
  • 老後、日本に本帰国するのが難しい

各項目詳しく見ていきます。

MM外国籍取得(=日本国籍喪失)のメリットは、下記記事をご参考ください。カナダのケースですが、他国全般、海外の国籍取得に共通する項目が多いと思います。
 カナダの市民権(カナダ国籍)取得のメリットは?取得条件や申請方法は?

日本のパスポートを失う(ビザが必要になる国が増える)

出典:https://www.henleypassportindex.com/passport-index

1:日本・シンガポール・韓国、2位:ドイツ、3位:フランス・デンマーク・フィンランド・イタリア・スウェーデン───

これは2019年の世界パスポートランキングの結果です。ご覧の通り、日本のパスポートの信用度は世界一。多くの国にビザが無しで滞在できます。

でも、外国籍となった場合、日本のパスポートは失います。新たに母国となる国のパスポートが、日本ほどの信用度が無かった場合、海外旅行の度に、ビザ取得が必要になるかもしれません。

日本の選挙権が無くなる

当然ですが、日本の選挙権もなくなります。

1人の票はほとんど意味を持たないような小さな権利かもしれません。でも、選挙権がなくなり、政治に関わらないというのは、精神的に日本から遠ざかる───ような気がします。日本のニュースの感じ方、捉え方から当人意識がなくなるんじゃないか、というか・・。

生まれた子供の日本国籍が取れなくなる

親が日本国籍を喪失したら、もちろん、生まれてくる子供も日本国籍が取得できません。

でも、子供が将来日本で就学・就労したいと言ったら?子供に日本国籍を与えてあげられないことで、子供の選択肢や可能性を狭めてしまうかもしれません。

日本の家探し、就職、子供の学校探しなどで苦労する

もし日本に本帰国するとなったら、日本国籍再取得をすることになると思いますが、国籍回復できるまでは時間がかかります(詳しくは後述します)。その間、家探しや就職活動、子供の学校探しなどを行うかもしれません。

でも、悲しいかな、外国人差別が残る日本です。なにかと、「外国籍」であることが弊害になる可能性があります。次項目にも関連しますが、これは私の身近な人の実経験から感じたことでもあります。

老後、日本へ本帰国するのが大変

自ら希望して取得した外国籍でも、『老後は日本へ帰りたい』────ただでさえ老後の本帰国は難しいですが、国籍喪失していることで、手続きはさらに厄介になり、本帰国は困難と言えます。

なぜなら、高齢になり自身が思うように動けないから、そして、申請手続きで頼れる親戚や友人が少なくなっているから。

実はこれ、私の親戚の実経験です。その親戚は、若い頃にアメリカに帰化していたものの、80歳が近づいた頃に、やはり最後は日本で暮らしたいと望んでいました。

高齢ですし、申請のためだけに日本を訪れるの困難。かといって、親はもちろん、自身の兄弟もすでに他界しているため、甥っ子姪っ子(といってもすでにシニア世代)などがサポートして、なんとか帰国できるよう動いていました。

でも、外国籍な上に、本人は日本不在。在留資格取得や年金など諸手続きの申請、住居探しなどは本当に大変だったようです。本人から委任状一つ送ってもらうのも、国際郵便となり一苦労。また、アメリカ側の書類が必要になっても、やっぱりアメリカ現地で誰かにサポートしてもらわなきゃいけない。

手続きのややこしに加えて、本人の体力の問題なども重なり、結局、本帰国の願いは叶わぬままとなりました。

日本国籍喪失後の日本長期滞在

一時期国、親の介護、病気の治療、子供の学校や受験、一時就労────いくら日本国籍が無くなっても、日本に滞在する機会も多いもの。外国籍となった場合、日本にはどれくらい滞在できるでしょうか?

ビザなしの日本滞在は最大90日まで

日本への一時期国は「外国人」として日本へ訪れることになります。2019年現在、68か国がビザ免除となっており、90日までビザなし(=観光ビザ)で滞在可能です。(一部の国は15日、もしくは30日まで)

ただし、この期間中の就労はできません。

ビザ取得免除国一覧
シンガポール マレーシア 韓国 台湾 香港 マカオ インドネシア(15日) タイ(15日)ブルネイ(15日)アイスランド アイルランド  アンドラ イタリア  エストニア オーストリア オランダ キプロス ギリシャ クロアチア サンマリノ スイス スウェーデン スペイン スロバキア スロベニア セルビア チェコ デンマーク ドイツ ノルウェー ハンガリー フィンランド フランス ブルガリア ベルギー ポーランド ポルトガル マケドニア旧ユーゴスラビア マルタ モナコ ラトビア リトアニア リヒテンシュタイン ルーマニア ルクセンブルク 英国 米国 カナダ アルゼンチン ウルグアイ エルサルバドル グアテマラ コスタリカ スリナム チリ ドミニカ共和国 バハマ バルバドス ホンジュラス メキシコ オーストラリア ニュージーランド イスラエル トルコ アラブ首長国連邦(30日)チュニジア モーリシャス レソト

 

就労/90日以上の滞在は「在留資格」が必要

働いたり、90日以上滞在する場合は「在留資格」が必要です。

親が日本人、もしくは配偶者が日本人の場合は、要件が緩めの「日本人の配偶者」と呼ばれる在留資格が取得できます。在留期間は5年、3年、1年、6ヶ月のいずれかが認められ、その期間は就労、就学も自由です。

ただ、手続きには手間も時間もかかります

海外からの事前申請か、日本国内からの申請かによっても異なりますが、資格が下りるまでの所要時間は1~6ヶ月ほど。当初は90日間の観光ビザで日本入国し、日本滞在中に在留資格を申請する場合は、手続きの所要時間によっては、一旦日本からの出国が必要になる可能性もあります。

元日本人による「日本人の配偶者等」の在留資格申請は、却下されることはまずありません。ただし、犯罪歴や、不法入国の経歴(外国籍取得後も日本のパスポートを使用した)がある場合、取得は難しいようです。

MM元日本人用の在留資格が取得できることで、永住権保持者よりも、外国籍取得者のほうが、より長く日本に滞在できるケースが多くなっています。なぜなら、多くの国が永住権保持の条件に、国外滞在期間の制限を設けているから。(例:アメリカは最大1年、カナダは最大2年まで) この点は下記のメリットの記事でも紹介しているので、合わせてご覧ください。
 カナダの市民権(カナダ国籍)取得のメリットは?取得条件や申請方法は?

日本国籍喪失したら「日本の年金」はどうなる?

これまで払ってきた日本の年金はどうなるのでしょう?

結論からいうと、外国籍になっても、日本の年金は受給できます。ただし、年金への加入資格は失います。つまり、国民年金に任意加入して支払うことができなくなります。

現在の日本の年金の受給資格は25年から10年に短縮されているので、10年間きちんと支払ってさえいれば、外国籍になっていても、年金は支払われます

では、年金加入期間が10年未満だったら───?

その取り扱いは、国籍を取得した国によって異なってきます。

期間通算が認められている国の場合

ドイツ、アメリカ、ベルギー、フランス、カナダ、オーストラリア、オランダ、チェコ、スペイン、アイルランド、ブラジル、スイス、ハンガリー、インド、ルクセンブルク、フィリピン スロバキア

 

上記の国々は日本と社会保障協定を締結しており、加入期間の合算が認められています。外国での年金加入期間も、合算対象期間(=カラ期間※)として見なされます。そのため、対象国で年金に加入しておけば、日本の年金も支払っていた分は受給可能です。

※カラ期間とは:年金の受給資格期間には含めるが、年金額には反映しない期間のこと

 

例:日本の年金に8年間加入後、アメリカの年金に10年加入した場合

アメリカは期間通算が認められています。日本の8年間の支払い期間に、アメリカの年金加入期間10年が加算され、年金支払い期間は通算18年と見なされるため、日本の年金は受給できます。ただし、年金額は8年間の支払っていた分のみです。

期間通算が認められていない国の場合

先ほどの一覧にない国の場合、期間通算ができません。これらの国の国籍を取得する場合、日本の年金に最低10年間は加入しておかないと、日本の年金はもらえません。

 

例:日本の年金に8年間加入後、イギリスの年金に10年加入した場合

イギリスは期間通算が認められていません。イギリスでの年金加入期間は考慮されないため、年金加入期間は8年間となり、日本の年金は受給できません。(条件によっては、脱退一時金はもらえます)

 

もし加入期間が10年未満の場合、イギリス在住中も国民年金に任意加入を続け、加入期間が10年を過ぎた時点で、イギリス籍を取得したほうが賢明です。

MMこの情報は2019年時点のものです。現在は期間通算が認められていない国でも、今後、条約が改正される可能性があるので、最新情報は日本年金機構のHPにてご確認ください。

日本国籍は再取得可能

日本国籍喪失後に、状況が変わることもありますよね。日本に本帰国するとなった場合、日本国籍は再取得が可能です。外国籍を取得した元日本人が、日本国籍を再取得する場合、「簡易帰化」という申請を行うことになります。

日本国籍再取得(簡易帰化)の申請条件

簡易帰化申請は、下記の基準を満たせば申請可能です。

日本に現住所があること
年齢制限なし(未成年でもOK)
税金・年金の支払い義務を果たしているか、交通違反・犯罪歴がないか
無収入でもOK
母国の国籍が制度上喪失できるか
テロや破壊活動の思想がないか
一定の日本語能力があるか

 

通常の帰化申請(国籍取得申請)に比べると、住所要件・能力要件(年齢)・生計要件(収入)の3つが免除もしくは緩和されているため、このように条件は非常に緩やか。元日本人であれば、日本国籍は再取得できる可能性が高いと言えます。

日本国籍再取得手続き(簡易帰化)の難易度

ただし、「簡易」なのは要件だけであり、手続き自体は全く簡易ではありません。通常の帰化申請と同じか、それ以上に膨大な量の書類の提出を求められるため、その手続きには時間も手間もかかります

履歴書、親族の概要書、帰化の動機書、国籍証明書、出生届書・親の死亡届、親・本人の婚姻届書、親・本人の離婚届書・除籍謄本、親等の戸籍謄本、外国国籍の離脱宣誓書、本国書類の翻訳文、住民票、課税納税証明書、年金納付証明書、運転記録証明書、出入国履歴、在留カード、自宅・勤務・事務所付近の略図・・・・など、まだ他にも色々。

 

上記は必要書類の一部です。会社員や個人事業主、母国などによっても用意する書類は異なってきますが、日本だけでなく、外国籍となった母国と、2つの国から様々な書類を用意する必要があります。

その上、個人の状況によっては、さらに追加の書類を求められることも。その度に、2国間を行き来して取得するのは非現実的。現地で書類を代理取得してくれるような親戚・友人がいないと、書類集めは相当苦労するのではないでしょうか。

また、簡易帰化申請の審査期間は約10か月~数年ほど。個人の状況によっても待ち時間は大きく異なるようです。日本国籍が再取得できるまでは、在留資格を取得して待つことになると思います。


 

まとめ
  • 日本国籍を喪失のデメリット:
    ①ビザが必要になる国が増える
    ②日本の選挙権が無くなる
    ③生まれる子供に日本国籍が取れない
    ④日本の家探しなどで苦労する
    ⑤老後、日本に本帰国するのが難しい
  • 日本国籍喪失後も90日まで未申請で日本滞在可。それ以上は在留資格の取得が必要
  • 日本国籍喪失後も年金は支払われる

以上、日本の国籍喪失に伴うデメリット、年金、日本滞在期間の問題、そして日本の国籍再取得方法についてご紹介しました。国籍問題など他にも紹介しているので、よかったら下記関連記事も合わせてご覧ください。