カナダの問題点の一つとして、私が一番気になっているのが、検査や手術の待ち時間の長さです。
これはカナダでは有名な話ですよね。専門医の診察を受けたり、検査や手術を受けるのにも、数ヶ月~1年待ちはザラなんですもん。
検査待ちに1年?!順番待ちが長すぎる・・
4歳の息子は、ファミリードクターにかかった際に、心臓に雑音が入ると言われ、念のため心電図検査を依頼してくれました。
しかし、小児科の心臓専門医は混雑しているとのことで、結局、待ち時間は8ヶ月!!
たかが心電図でこの待ち時間には本当に驚きました。心電図なんて、日本じゃ町の小さな医院でも簡単にチェックしてもらえるのに!
ちなみに、医療費が無料のカナダでは、医療費予算が限られているため、ファミリードクターの施設は本当に簡素。検査の機械は全くなく、ただベッドや体重計があるくらいです。
私自身も、1月に妊婦健診を受けた際に、不整脈を指摘され、心臓の超音波検査を受ける必要がありました。先生は「出産前に不安を解消しておきましょう」と、検査依頼をかけてくれたのですが――
結局、待ち時間は約3か月。ようやく検査ができたのは、出産ギリギリの36週でした。すでに正産期に入っていますし、「出産前の不安解消」どころか、下手したらもう産まれてたかもしれません。
もちろん、緊急を要する場合は、優先度が上がって早く検査してもらえます。
でも、緊急性があるかどうかも、検査してみないことには、分からないんじゃ?と疑問を抱きます。ガンとかね・・。
また、手術自体の待ち時間もとても長いです。こちらも緊急性に伴うかどうかで、長さが変わりますが、例えば、ノバスコシアでは肺がんの手術の待ちは約3か月。
大丈夫なの?その間に転移したりしない!?ガンの手術待ちの期間は、きっと不安で不安でしょうがない日々でしょうね・・。
医療費は無料なのに、命を守るにもお金が必要・・・
この医療の遅延を解消するため、全額自費で検査してくれる私営の検査専門クリニックもあります。
全額自費と言っても、カナダの人の多くが、個人もしくは会社のベネフィットなどで民間健康保険にも加入しているので、民間保険によってはその検査費もカバーされたりします。それでも2割負担とかなので、一回の検査でも数百ドルの個人負担はザラです。
しかし、ノバスコシアには手術ができるような私営の病院はありません。つまり、いくらお金があっても、公立の病院にいくしかなく、手術の順番待ちは変わらないのです。
保険の営業の方から聞いた話ですが、手術まで7ヶ月待ちだったけど、あまりの痛みに我慢できず、ドイツまで行って、自費で手術を受けたというお客さんがいるそう。そしてその自己負担額、日本円にして900万円!お金持ちじゃないとなかなか出来ないことですね。
お金持ちほど健康だ、長生きだと、一般的な統計でもよく報告されていますが、残念ながら医療費無料のここカナダでもこのセオリーが当てはまるようです。
以前読んだニュース記事によると、カナダでは全人口のうち20%のお金持ち層がより健康で、より長生き、だそうです。
http://canadians.org/blog/richest-20-canada-live-longer-and-healthier-rest-us
悲しいけど、これが現実ですね・・。
病院の検査や手術で見ても、早く検査や処置が出来れば助かる命も多いでしょうし、健康に気を使って、オーガニックや健康食品を買うにしても、お金に余裕が無いことには買えないですしね。
カナダでは日本以上に健康に気遣う必要あり
国民皆保険制度を採用しているカナダ。
全ての国民が無料で医療を受けられる素晴らしい制度ではありますが、今回ご紹介した検査や手術の待ち時間の長さは、カナダに住むにあたっての大きな不安要素です。若いうちは良いですが、年齢が上がると、健康管理が難しくなりますもんね。
いくらプライベートの医療保険に入ったとしても、手術日数の待ち時間は変わりませんし、もし大きな怪我や病気をした時は、ドイツに手術を受けに行った人のように、日本に帰って手術を受けるという選択肢も考えないといけないかもしれせん。
世界中どこにいても健康に気を付けるのは当たり前のことではありますが、日本にいるとき以上に、健康に気遣わなければ、と心から思います。そして、お金も稼ぐに越したことはありませんね。。。
なお、関連記事として、カナダの医療の待ち時間を州別に比較してみましたので、気になる方はぜひこちらも読んでみてくださいね。