ライム病ってご存知ですか?
ライム病とは、病原体を保菌している「マダニ」に噛まれることで発祥し、皮膚疾患から始まり、頭痛、関節痛、そして酷くなれば心疾患や髄膜炎などを起こし、全身に様々な症状を引きを起こす怖い病気です。
歌手のアヴリルラヴィーンがライム病で5か月間も寝たきりになったというニュースでも有名ですよね。
日本では、中部以北の野山に生息するマダニがライム病の病原体を保菌していると言われていますが、特に欧米ではライム病の被害が多く報告されています。
筆者の住むカナダでは、毎年5月~10月頃がマダニの活動期。今年は3匹に1匹のマダニがライム病病原体を保菌しているというニュースもあり、学校などでも注意喚起がありました。
野山に入る時は、長袖長ズボン着用で、なるべく皮膚を出さないようにしたり、虫よけスプレーをするなど、十分に注意する必要があります。
この記事の目次
山で遊んでいたら、子供がマダニに噛まれた!
でも、去年までの私は、いくら注意喚起が出てようとも、草むらは注意しなきゃなぁ、なんて漠然と思うだけ。正直、あまり身近に感じていませんでした。
でも、去年の夏、きちんと対策しないままに野山で遊んでいたら、なんと、息子がマダニに刺されてしまったんです・・。
マダニに刺されたのは、ちょうどこの記事で紹介したジオキャッシングという宝探し遊びをした時。
お宝は簡単に見つかるだろう、なんて高をくくっていましたが、もう全然。地図の示す場所は散策道からは大きく外れた山の中。虫対策もしないまま、草や木をかき分けながら進んでいきます。子供なんて半袖・半ズボンです。
無事にお宝は見つかり、大満足で家に帰ってきた当日の夜のこと。
子供をお風呂に入れていると、お腹に黒い点があることに気付きました。ボディソープで体を洗っても、全く落ちる気配がありません。
ホクロ?かさぶた?黒い点にしか見えなかったマダニ
洗っても落ちない汚れ。そこで私が思ったのが──
この年も、ライム病の注意喚起のニュースなどを耳にしていまいたが、全くどこ吹く風。この黒い点がライム病の原因にもなるマダニだなんて、思いもしませんでした。今考えると、なんてダメ親なんでしょうか・・。
でも、どんなに目を凝らしても、全く虫には見えない!!1mm程度のただの黒い点です。ホクロやかさぶただとしたら、下手にとっても痛いだろうし、と放置してしまいました。
そして、翌日のお風呂でも、その黒い点は同じ場所にあります。でも、心なしか大きくなっているような・・。
思い直しても、やっぱり前はそこにホクロなんてなかったし、ホクロにしては、ほんのすこーーしだけ、盛り上がっている感じがします。そして、かさぶただにしては、その周りは一切赤身を帯びてない。怪我をしたとしても、あまりにピンポイントすぎるんです。
なんて、子供に聞くアホな私。すると子供も、
と、やる気満々。自分の爪先を使って、黒い点を取ってくれたのです。
そして、無事に取れたことに、なんとなく安心しつつ、なんだったんだろう、と、子供が取った黒い点をまじまじと見てみると・・・・
ん・・・・?
足がある・・・?(ガクブル)
顔っぽくない・・・??(ガクガクブルブル)
これ、虫じゃーーーーー!!!!(大絶叫)
事件はお風呂場で起きました・・。
単に、気持ち悪い、ダニに刺された、それだけならまだしも、ここで初めて、「ライム病」という言葉が頭によぎり、ここからは一家大騒ぎ!!
もちろん、マダニに刺されたからと言って、必ずライム病に感染するわけではありません。でも、その二日後から2週間の旅行に出る予定だったため、旅先で何かあったら大変と、翌日朝一でクリニックに駆けつけました。
医師の診断や治療法は?
クリニックの医師には、
- 野山に入った日
- マダニを除去した日
- マダニをどうやって除去したのか
こんなことを聞かれました。子供に自分でマダニを取らせたことを伝えると、医師の表情が険しくなった気がします・・。
そして、皮膚の状態を確認してくれたのですが、刺された周りが赤く広がる紅斑はなし。刺された箇所がほんの少しだけ赤身を帯びているくらいでした。
また、刺された箇所をじっくり確認し、マダニの体の一部などが皮膚に残っていないこともチェックしてくれました。ちなみに、子供曰く、この時点でも痛みや痒みは無し。
こんな感じで診察してもらいましたが、医師からは、
とのこと。
処方された薬は、 amoxicillin(アモキシシリン)という抗生物質が2週間分です。これは子供の用のライム病感染予防によく使われている薬だそう。子供用に甘くした液体シロップだったので、飲みやすくて助かりました。
2週間分飲みきったら、治療は特になく、治療は終了。その後、もし何か症状があれば、また受診してください、とのことでした。日本だと、必ずフォローアップの診察がありそうですが、この辺りはカナダらしさでしょうか。
その後の子供の様子ですが、幸い、熱が出ることもなく、皮膚が赤くなることもなく、特に何の症状も出ず、無事にライム病感染は免れました。薬のおかげなのか、そもそもライム病を保菌しているマダニではなかったのかは分かりませんが、本当にホッとしました・・
私が犯した間違ったマダニの対処法
ライム病感染に至らずに済み、本当に良かったのですが、私の対処法は感染の可能性を上げかねない、大きな間違いが二つありました。。。
その1:マダニに刺された状態で24時間以上放置した
マダニから皮膚に咬みついてから、24時間~48時間以上経過すると、ライム病感染の可能性が高まるそうです。
うちの子供の場合、私が「単なるホクロか、かさぶた」なんて、放置してしまっていたため、山に入ってからマダニを取り除くまでに30時間以上が経過。
気づいた当日にすぐに除去するべき、もしくは、すぐに病院に駆けつけるべきでした。無知って恐ろしいですね・・。
その2:子供に自分でマダニを取らせた
軽い気持ちで、「それ、取れるかなぁ?!」なんて、息子に取らせた黒い点。
本来、皮膚に咬着したマダニの除去方法は、マダニを潰さないように、そして、マダニの口先が皮膚に残らないように、十分注意して取らなければいけません。そうしないと、病原体が体内に入り込んでしまう可能性が高まってしまうんだそうです。
でも、黒い点がマダニだと分かったのは、皮膚から取り除いた後。そこからマダニの除去方法を知ったところで、もう後の祭り。ただ、ただ、背筋がゾッとするばかりです・・。
正しい取り方は、ピンセットで真上に引き抜くそうです。上手くできる自信がなければ、病院で取ってもらうのも手です。すみません、、、絵ですらおぞましいのですが、絵のほうが分かりやすいので、紹介させてください。
まとめ&教訓
以上、我が家の子供がマダニに刺されたお話でした。この経験からの教訓は・・・
- 野山に入る時は、長袖・長ズボン&虫よけスプレーをする
- 野山に入った日は、お風呂の時に体中すみずみチェックする
- 昨日まで無かった場所に「黒い点」があったら、マダニの可能性大!
- マダニに刺されたらピンセットで引き抜くか、そのまま病院に直行
アウトドア好きな方にとっては、当たり前なことかもしれませんが、私にとっては改めて深く思い知らされた事件でした。
よく、「マダニは肉眼ではっきり見える大きさだ」、なんて言われますよね。
でも、初夏に生息するマダニの中には、まだ卵からかえったばかりで、体長が1~2mm程度の幼虫がいます!おそらくうちの子供が刺されたのも、この小さな幼虫だったんだと思います。
ここまで小さいと、もう本当ーーーに黒い点にしか見えません。しかも、こんな小さな幼虫ですら吸血するんだから質が悪い。
キャンプシーズン真っ盛りになりますが、皆様も目に見えるマダニはもちろん、「黒い点」にしか見えない幼虫にも、くれぐれもお気をつけくださいね!