カナダのLGBT事情①同性愛者の権利、LGBT人口、結婚率、子持ち数、そして、気になる同性愛の支持率は・・

| 最終更新日:2017-10-17
1390

 

LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)の方にとって、カナダは「暮らしやす国」だと言われています。

2005年に同性結婚が合法化。養子縁組も可能で、法的にも平等な権利が保障されています。そして、社会の風潮も同性愛に対する理解が進んでおり、性的思考に対して非常にオープン。夏になると、ゲイパレードがカナダ各地で盛大に開催されています。

そんなカナダには一体どれくらいの性的マイノリティの方がいるのでしょうか?結婚している同性カップルや、子供のいる同性カップルはどれくらいなのでしょう?

そして、カナダ社会は本当にLGBTを寛容に受け入れているんでしょうか?

今回の記事では、気になるカナダのLGBT事情についてご紹介です。

カナダのLGBTの権利

 

世界で初めて多文化主義を導入し、人種や民族のにかかわらず、個人の平等の権利を保障し、多様性を尊重しているカナダ。

この多様性の尊重はカナダ社会に深く根付き、人種や民族だけにとどまらず、年齢や性別、性的指向においても、差別なく受け入れられています。そして、法的にも、同性愛者であってもカナダ市民として下記のように当たり前の権利が保障されています。

  • 同性結婚の法的認可
  • 同性コモンローパートナー(事実婚)の権利・保障
  • 養子縁組の認可

また、同性婚、同性パートナーであっても、もちろんファミリークラスで永住権を申請することも可能です。自由と平等な権利を求めて、カナダに移住するLGBTの方も多くいます。

カナダの同性愛者は全体の10%?!

このように同性愛者であっても、カナダ市民として平等な権利が保障されているカナダですが、同性愛者であることをオープンにしている人も多いのでしょうか?

 

カナダ統計局が2014年に実施したCanadian Community Health Surveyによると、18歳から59歳までのカナダ国民のうち、同性愛者の割合は3%とされています。

これ、意外に少なく感じませんか?

よく、「同性愛者の割合は10人に1人」とも言われていますよね。この数字はアメリカの生物学者アルフレッドキンゼーが1948年に発表した調査結果に基づくものですが、10人に1人という割合から考えると、同性愛者の権利が認められているカナダでも、国の調査で自分が同性愛者だと認める人は少ないようです。

ただ、2012年に民間調査会社The Forum Research pollが実施した調査結果では、同性愛者の割合は5%に上昇します。やはり、質問の性質上、民間調査のほうが正直に回答ができるのかもしれませんね。

 

そして、興味深いのが、この民間調査の年齢別の回答。

18~34歳の回答者では、なんと10%もの人が同性愛者だと認めています。一方、高齢になるほどその割合は下がります。

18~34歳の10%という数字は、先ほども述べた「10人に1人」の割合と一致しています。若い世代ほどカミングアウトに抵抗がなく、よりリアルな数字を表していると言えますね。

実際にカナダに住んでいると、同性愛者であることをオープンにしている方を非常に多く見かけますが、その多くは若者。50代以上の方で同性愛をオープンにしている方は少ないように思います。

カナダの同性カップル事情

次に、同性カップルのデータを見てみましょう。

同性カップルの結婚率や、子どもを持つ割合はどれくらいなのでしょうか?

カナダ統計局が発表している2011年に実施された国勢調査のデータをもとに、グラフにまとめてみました。

同姓愛カップルは全体の0.8%

 

カナダの夫婦・コモンローカップル(事実婚状態)のうち、異性カップルが99.2%、同性カップルは0.8%となっています。

さきほどの同性愛者の人口比率からすると、少ない割合です。おそらく、このデータでも国の調査と言うことで、回答に躊躇した人が多いのかもしれません。

同姓愛カップルが一番多く住む都市

また、同性愛カップルの多くが、トロント、モントリオール、バンクーバーに集中しています。この3都市だけで、ほぼ半数。人口比率からしても、3倍近い割合です。

ゲイカップルのほうが少し多い

また、ゲイとレズビアンのカップルを比較すると、ゲイカップルのほうが多少多くなっています。

同姓愛カップルの結婚数と婚姻率

また、同性結婚しているカップル数は21,015組。この数は、2006年の国勢調査の結果から3倍に増加しています。2005年の同性結婚の合法化から10年が経過し、婚姻関係を結ぶ人が増えているようです。

ただ、それでも同性愛カップルの中での婚姻率は3割程度。異性カップルに比べると、まだまだ結婚へのハードルは高いのかもしれません。

子供がいる同姓愛カップルは10%

また、同姓愛カップルのうち、子どもを持つ世帯は10%

法的に子どもの養子縁組が認めれているにも関わらず、子どもを持つ世帯は非常に少ないですよね。なかなか子どもを持てない理由には、社会的な理解、人工授精や養子縁組などの費用面の問題があると言われています。

さらに、そこには法的な問題も関連しています。

これまで、同姓愛カップルが多く住むオンタリオ州や、アルバータ州、マニトバ州などでは、同性カップルが卵子や精子の提供などを受けて子供を授かった場合、もう片方の親は、養子縁組手続きをしない限り、正式な親として認められませんでした。

結婚しているパートナーの実子にも関わらず、一方の親は養子手続きが必要というのは、カナダ政府が認めているはずの、「異性間・同性間に関わらない、平等な権利の保障」に矛盾していますよね。

そのため、オンタリオ州では2016年に法を改正し、パートナーの実子の養子手続きを不要としました。同様に、アルバータ州、マニトバ州、ケベック州でも法の改正が進んでいます。

法的な問題が解決されたことで、今後は同姓愛カップルの子持ち世帯が増加するかもしれませんね。

街中が虹色に染まるゲイパレード

カナダでは毎年夏になると、通常「ゲイパレード」と呼ばれるプライドパレードがカナダの各都市で盛大に開催されています。

性的マイノリティの存在と権利を尊重し、地域が一体になってサポートすることを表現した祭典で、カナダ各地で開催されています。

特にトロントで行われるパレードは100万人以上が集まり、ニューヨークに次いで北米最大規模。世界中から同性愛者が集まり、大いに盛り上がります。

2016年にはカナダのジャスティントルドー首相もパレードに参加して、話題になりました。

また、プライドパレードに合わせて、ストリートや店舗のディスプレイには虹色の旗が掲げられ、さらには横断歩道までもが虹色に塗り替えられるなど、街中がとってもカラフル!街全体がLGBTをサポートする雰囲気を感じられます。

4割のカナダ人が同性結婚を認めていない

国中が盛り上がるプライドパレードを見ていると、カナダ社会全体がLGBTを尊重し、支持しているように思えますよね。

でも、実際には、カナダにもLGBTを積極的に支持しない人も多く、特に、同性結婚に関しては4割の人が反対の意向を示しています。

同性愛に寛容な社会だと思えるカナダで、この支持率は意外ですよね。

 

同性婚不支持の理由の一つが、信仰上の理由です。

キリスト教やユダヤ教などでは同性愛を「罪」とみなすため、信仰心が強く、保守的であるほど、同性愛を認めることができないようです。

 

また、宗教の問題以外にも、日常的に同性愛者に接しているかどうかも、同性結婚への考え方に影響しています。

LGBT人口が少ないマニトバ州、サスカチュワン州、アルバータ州では、同性結婚を支持しない割合が高くなっています。特に、アルバータ州においては、支持率は45.6%と、不支持層のほうが過半数超え。

LGBTの方でカナダ移住を考えている方は、都市の住みやすさとともに、地域ごとのLGBT支持率も考慮したほうが良いかもしれません。

85%がLGBTを理由に学校でいじめられている

このように、同性結婚を支持しない人も一定数いるカナダですが、実際に、LGBTを理由にした差別やいじめも起こっています。

特に学校生活では、同性愛者はいじめの対象になりやすく、2015年に実施されたNational School Climate Surveyでは、LGBTの学生の85.2%が学校でいじめや差別を受けたことがあると回答しています。また、LGBTの若者の2人に1人が自殺を試みたことがあるという悲しいデータもあります。

ただでさえ中高生は多感で色々なことに悩みやすい時期ですよね。LGBTで自分のアイデンティティに悩み、さらに、LGBTを理由にいじめをうける・・。考えるだけでも胸が締め付けられます・・。

まとめ

以上、統計データとともに、カナダのLGBT事情についてご紹介しました。

同性結婚や同性カップルの養子縁組が認められるなど、世界的に見ても、カナダはLGBTの方にとって住みやすい国の一つだと言えます。社会的な受け入れ姿勢も、日本に比べると明らかに寛容で、性的指向にオープンです。

しかし、それでもまだ、いじめや差別の問題は起きており、LGBTの方が自由に、明るく生きられる社会だとは言えないようです。

考え方や宗教観は人それぞれです。それも多様性の一つ。信仰する宗教によっては、同性愛を受け入れるというのは、一筋縄ではいかないかもしれません。

でも、だからといって、同性愛者をいじめたり、差別意識を持つことは、決して許されることではありませんよね。

 

最近は学校教育でも多様性の一つとして同性愛者を尊重すること、理解することを積極的に教え始めています。息子の通う小学校では、And Tango Makes Threeという絵本を通じて、「家族になるのに性別は関係ない」ということを、小さな子供にも分かりやすく教えていました。

この絵本は、ニューヨークの動物園に住むオス同士のペンギンがお互いに惹かれあい、家族になるという、実話を元にしたストーリーです。息子はこの本のストーリーが大好きになり、さっそく本屋さんで買いました。今でもお気に入りの一冊になっています。

小さな頃からこのような教育を受けていれば、性的マイノリティに対して変な偏見を持つこともなく、多様性として受け入れられる大人になっていくはずですよね。

教育の力はとても大きいもの。今後のカナダが、ますます性的マイノリティに対して寛容な社会となり、いじめ被害もなくなっていくよう願います。

 

※関連記事として、LGBTの方の意見もまとめています。

カナダのLGBT事情②性的マイノリティから見たリアルなカナダ。差別やいじめは?進学や仕事で不利になる?

 

参考情報: