ミキサーで作る人参ジュースも効果的でメリット大!低速ジューサー以外NGとする根拠へ疑問をぶつけます。

更新 | 2017-05-03公開

 

抗がん作用や美肌効果、ファスティングなどで大人気の人参ジュース。

最近ではガンで闘病中の小林麻央さんが人参ジュースを飲んでいることでも話題になりましたよね。我が家も病気予防や健康増進を目指して、今年に入ってから毎日、家族で飲むようにしています。

人参ジュースは、作り方が主に2種類。

ジューサーでコールドプレスする方法と、ミキサーやフードプロセッサーで作る方法なのですが、中には、数万円もする低速回転の「スロージューサー」で作ったものじゃないと効果がない!と主張する人も多いです。

 

でも、それって本当??

 

がん治療中や、病み上がりなどで体力が弱っている場合を除き、むしろ、ミキサー・フードプロセッサーで作るジュース(スムージーというべきか?)のほうがメリット大。

今回の記事では、ミキサーでは栄養素が壊れるという根拠への疑問を投げかけるとともに、ミキサーやフードプロセッサーで作る方法ならではのメリットもご紹介します。

人参ジュースって?

人参ジュースとは、生の人参をまるごと使ったジュースです。

人参ジュースが人気の理由は、強い抗酸化作用、そして、抗がん効果があると言われているから。食事療法でガンを治療するゲルソン療法でも人参ジュースが取り入れられています。

ゲルソン療法とは、ドイツのゲルソン医師が1930年に開発した治療法で、ガンを全身の栄養障害、代謝障害ととらえ、大量の生野菜ジュースや塩抜きの食事摂取を中心に治療していく食事療法。

ゲルソン療法の特徴のひとつが、大量の人参ジュースと多種類の生野菜ジュースを飲むこと。

中略

人参には抗がん作用のあるベーターカロチンとアルファカロチンなどの優れた栄養素が豊富にふくまれており、特にアルファカロチンは、ベータカロチンの2倍の抗ガン作用を持っていると言われ、発がん抑制効果はベータカロチンよりもはるかに強いという研究結果も出ているのだそうです。

出典:「がん」が消える?人参ジュースが「がん」に効果的といわれる理由。vege8.net

 

ガン以外にも、下記の効能も期待できます。

  • 美肌効果
  • 抗酸化作用
  • 免疫アップ
  • 視力・眼精疲労
  • 便秘防止
  • ダイエット

病気予防、健康増進、そして美容のためにも、良いことづくめ!副作用もない薬と言っても過言ではないくらい。

ミキサーは本当にNG?!その根拠に疑問あり!

 

でも、人参ジュースとなると、世の中、やたらと低速で回転圧縮して絞りだす「スロージューサー(低速ジューサー)」を押していますよね?

ミキサーはダメとする内容の本や、記事が多いのですが、結局は何万円もする低速ジューサーの広告やアフィリエイトリンクばかりで、もうゲンナリ。

そんな記事で、「ミキサーで作るのは効果なし」とされる根拠が4つほど挙げられているのですが、本当でしょうか??

「ミキサーやフードプロセッサーは摩擦熱で酵素やビタミンが壊れる」

これ、私が一番怪しいと感じている点。

野菜やフルーツに含まれる酵素は60度前後の熱で破壊されるそうです。それは良いんです。納得。

でも、「ミキサー・フードプロセッサー、高速ジューサーを使ってジュースにすると、摩擦熱で瞬間的に60℃ほどの熱を帯びるため、酵素や熱に弱いビタミンが破棄されてしまう」という説はいかがなものか。だって、60℃って相当熱いですよ?

皆さんお使いのミキサー・フードプロセッサーで裁断したものって、少しでも温かくなっていますか??

本当に「瞬間的に60度」にまで上昇するのであれば、取り出した後の状態でも、多少なりとも熱を帯びているはずですよね。

我が家はKitchenAidのフードプロセッサーを使っていますが、裁断した野菜やフルーツはもちろん、ブレード部分も一切熱を帯びていません。むしろ、冷たいまま

もし、ミキサーやフードプロセッサーの機種によっては熱を生じる、ということであれば、氷を一粒入れたり、冷水を入れれば良いのではないでしょうか。

「ミキサーやフードプロセッサーは空気に触れるので、酸化する」

 

野菜や果物の酸化は、皮をむいたり切ったりすることで、細胞内のポリフェノールの一種が空気中の酸素に触れることで、褐色に変化する現象です。

ミキサーは空気を撹拌しながら食物を裁断するので、酸化してしまうのは確かに事実。そのことを根拠に、真空ミキサーや低速ジューサーを使うべきだとされています。

でも、ミキサーで作ったとしても、ほんの一工夫で酸化を防止できるんです!

 

リンゴをミキサーで2分間処理して、ビタミンCがどれくらい酸化するかを調べた実験があります。その結果が下記の通り。

  • 何も加えなかった場合:94%が酸化
  • 0.5%の食塩を加えた場合:ほぼ0%が酸化

出典:「ミキサー処理食品の栄養的効果の検討」山陽女子短期大学山崎妙子

このように、ほんの少しの塩で、劇的に食物の酸化を防止できることが分かります。

 

リンゴの変色防止に食塩水につけるという昔ながらの知恵がありますが、酸化を防止していたからこそ、なのですね。

また、実験ではミキサーに2分間かけた後の数値を計測していますが、そもそも、2分間もミキサーにかけるなんて、まずないですよね。たいてい数十秒。ミキサー処理する時間が短ければ短いほど、酸化は防げます

(ちなみにこの実験では、おろし金を使った場合の酸化についても触れられているのですが、おろし金でリンゴをすりおろした場合は、たった30秒でビタミンCが完全に酸化したそうです!酸化、凄まじすぎ。。。)

 

 

0.3%程度の塩分で十分効果があるそうなので、1杯の人参ジュースであれば、ほんの一つまみ(1g)の塩でOK。味への影響もほとんどなく、個人差もあるかもしれませんが、私はしょっぱさは全く感じません。むしろ、塩のおかげで甘さが引き立つような。餡子やおしること同じ原理かな?

それでも塩分摂取が気になるという方は。レモン汁やクエン酸、お酢などを加えても、効果は期待できます

同実験結果によると、酸の添加による酸化防止効果は3-4割ほどと、塩に比べるとちょっと低めですが、レモン汁は、ジュースの味も良くなるので、すごくオススメ。私は一つまみの塩+レモン汁も入れています。

 

酸化については、こちらの記事も参考になりますよ。

Q. 塩水にリンゴをつけると茶色にならないのはなぜ?

A:切ったリンゴが茶色になるのは、リンゴに含まれるポリフェノールの一種であるエピカテキンやクロロゲン酸が酸化酵素によって空気と反応して酸化し、変色するからです。塩水につけるとナトリウムイオンがポリフェノール類の周辺に壁をつくり、酵素の働きを抑え、酸化を防ぐのでリンゴが変色しないのです。

他にもリンゴにレモン汁をつけると変色を防ぐことができます。これはリンゴのポリフェノールより先にレモンに含まれるビタミンCが酸化反応をするからです。そのため、ビタミンCは多くの食品に酸化防止剤として使われています。

他にもバナナ、モモ、アボカド、ナス、ジャガイモ、レンコンなどの果物、野菜も、切ると同じ反応を起こして変色します

出典:子供の科学のWEBサイト「コカねっと!」

 

また、フードプロセッサーで作る場合、お水を入れるタイミングを工夫すれば、ミキサーほどには空気を撹拌しないため、出来上がったジュースには泡立ちがほとんどありません。機種の差はあるとは思いますが、ミキサーよりも、フードプロセッサーで作るほうが酸化は少なめと言えます。

 

ちなみに、、、、酸化絡みで、文句を一つ。

ミキサーや高速ジューサーに比べて、野菜や果物が酸化しにくいことを売りにする低速ジューサー。でも、ジュースを絞った時に出る搾りカスについては、メーカー側はこんな提案をしていたりします。

搾りかすには栄養はあまり残っていませんが、捨てるのが気になる人は、焼き菓子や料理に使いましょう。

そして、搾りカスのレシピ集までご丁寧に公開してくれていたり。

でも、その搾りカス、素材の細胞がギュウギュウに押しつぶされた状態なので、出来上がった直後から、どんどん酸化しますよ?先ほどの実験結果からみても、きっと数分でかなり酸化が進むはず。

ジュースの酸化は気にするのに、絞りかすの酸化は気にしないなんて、矛盾していませんか??

「ミキサーやフードプロセッサー、高速ジューサーでは栄養素が壊れる」

高速回転で裁断することにより、栄養素の細胞が壊れるという説もありますよね。

でも、むしろ、栄養素の細胞が壊れることにより、より吸収率が高まるのです。生野菜や果物は、そのまま食べても、栄養素がほとんど吸収されません。

例えば、人参に含まれるカロテン。生のまま食べてヘルシーと思いきや、カロテンは10%程度しか吸収されません。

それは、細胞にはセルロースでできた細胞壁が存在し、人間の消化酵素ではセルロースを分解できないから。

出典:カゴメ

細胞壁を壊すには、「加熱」もしくは「細かく裁断」が有効とされていますが、ミキサーやフードプロセッサーを使えば、細胞壁を壊すことができます

そのため、生野菜を食べるよりも、ミキサーで裁断してジュースにした方が吸収率がアップするのです。

ただし、注意が必要なのが、細胞壁が壊れている分、栄養素が失われやすい点。出来上がったジュースはすぐに消費しましょう。時間が経てば経つほど、酸化も進んでしまいますしね。

「不溶性食物繊維が含まれることで、栄養吸収が阻害される」

ミキサーで丸ごとジュースにした場合、不溶性食物繊維がたっぷり含まれます。

でも、この食物繊維には栄養吸収を阻害する働きがあるため、人参ジュースのせっかくの栄養が吸収されなくなる、とも言われています。

でも、食物繊維の吸収阻害率は、栄養素にもよりますが、たったの5~10%程度(参考情報:「食物繊維と消化 ・吸収機能」国立健康・栄養研究所 池上幸江)

阻害された10%の栄養素を気にするのであれば、その分、量で補えば問題ありませんよね。

ミキサーやフードプロセッサーで作るメリット

このように、ミキサーやフードプロセッサーがNGとされる根拠は、どうしても疑問に思えてしょうがないものばかり。

しかも、ミキサーやフードプロセッサーで作る人参ジュースには、低速ジューサーでは得られないメリットだってあるんです。

全栄養がまるごと取れる

ジューサーで野菜や果物を絞ると、素材の栄養素のほとんどがジュースに移行していると言われます。

でも、搾りカスには不溶性の食物繊維がたっぷりと含まれていますし、その他の栄養素も多少なりとも残っています。素材の全栄養をまるごと取れるのは嬉しいですよね。

また、先ほど述べた通り、ミキサーで裁断されることで、細胞壁が壊れ、栄養の吸収も良くなっています。

便秘や大腸がん予防

ミキサーで素材丸ごとジュースにした場合、不溶性食物繊維をたっぷり含んだジュースになります。不溶性食物繊維には嬉しい効能ばかりなので、絞りカスとして捨てるのはもったいない!

  • 便秘の予防
  • 肌荒れ改善
  • 血液中コレステロールの低下
  • 有害物質の排出効果による大腸がん予防

ダイエット効果

これも不溶性食物繊維の効能の一つなのですが、不溶性食物繊維が胃や腸の中で水分を含んで膨張するため、満腹効果が得られます。

たしかに、一杯のジュースを飲むだけでも、けっこうお腹に溜まるんです!ダイエットにはミキサーで作るジュースのほうがピッタリだと言えます。

咀嚼することで栄養が吸収されやすい

ミキサーやフードプロセッサーで作ると、繊維の粒々が残ります。そのため、ゴクゴク飲むというより、しっかり噛んで食べる必要があります。

でも、この咀嚼がとても大切。唾液の消化酵素が分泌されるため、より栄養成分が吸収されやすくなります。また、噛むことにより、より満腹感が得られやすくもなります。

ミキサーやフードプロセッサーで作るデメリット

逆にデメリットはというと──

  • 食物繊維も多く、胃腸に負担がかかる
  • 飲みづらい

この2点ではないでしょうか。

植物繊維が多い点はメリットでもあるのですが、体力が落ちている時は、消化に負担がかかります。そのため、がんの治療目的の方は特に、ジューサーで絞ったコールドプレスジュースを飲むほうが良いとされています。

また、飲みづらいという点は、どうしようもありませんね。。。ピューレ上の粒々が残るので、人によっては苦手に感じると思います。

でも、我が家はリンゴの量を少し多めにすることで、飲みにくさは解消して、美味しいと感じながら飲んでいます。2歳になる娘も、毎朝の粒々人参ジュースが大好き!

まとめ

以上、低速ジューサーではなく、ミキサーやフードプロセッサーで作る人参ジュースのメリットなどをご紹介しました。

低速ジューサーがやたらと推奨されている中、どうしても利益目的に思えたり、根拠に疑問を感じたりしていたので、今回の記事をまとめるに至りました。

たしかに低速ジューサーは素晴らしい機械です。栄養素が酸化しにくいし、口当たりのよい美味しいジュースが作れると思います。

でも、だからと言って、ミキサーが絶対にダメということはないと思うのです。それぞれのメリット・デメリットを理解して、目的や好みで選べばよいはず!

しかも、きっと、こんな酵素やら、酸化やら、食物繊維の栄養吸収の阻害率なんて、普段の食生活全体で考えたら、ミキサーで作ろうが、ジューサーで作ろうが、たいして大きな差はないんじゃないかなとも思えます。よっぽどしっかりした食事療法をしている場合は別でしょうけど・・・

今回の記事の最後に、ミキサー・フードプロセッサーでも、酸化を防止して、酵素の減少を防ぐ工夫をした作り方をご紹介しようと思っていたのですが、記事が長くなってしまったので、レシピは次回ご紹介したいと思います。

最後までお読みいただき、どうもありがとうございます。

 

→記事を更新しました。

ミキサー・フードプロセッサーで人参ジュースの作り方。工夫次第で酸化も酵素破壊も防げます!

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