カナダに住んでいると、時折耳にするこのセリフ。
「We’re pregnant!」
発言するのは、たいてい男性側。
日本語で言うと、「僕たち、妊娠してるんだ!」
『僕たち』・・・。
「We’re expecting」(僕たち、赤ちゃんができたんだ)
これなら分かります。日本人男性たちも日本語でよく言うセリフです。
でも、「Pregnant」も男性が使うの?!
妊娠という女性ならではの生物学的な現象を、男性も使うの???
「We’re pregnant」に反対する女性たち
なんとなく違和感を感じていたセリフでしたが、男性の育児参加が進んでいる欧米ならの考え方で、さすがだなぁと思っていました。
でも、これについては、実際にアメリカやカナダでも、このフレーズを使うべきかどうかは賛否両論。特に女性のほうが、この発言に対して疑問を抱いている人が多いようです。
女優のミラ・クニスが第1子妊娠中に出演したテレビ番組で、「男性は『We’re pregnant』と言うのをやめて」というメッセージを発して、話題になったこともあります。
彼女の発言を訳すと、こんな内容。
もうすぐ父親になるあなたたちにメッセージを送るわ。
『僕たちは妊娠しているんだ』なんて言わないで。あなたたちは妊娠していないわ!
スイカと同じサイズの赤ちゃんを小さな穴から押し出したりする?──No!
車の中で一人、Bette Midlerの愚かな歌(たぶんThe Rose)を聴いて、泣いたりする?──No!
ベッドから起きて、気持ち悪くて吐くのは、お腹の中で人間の子供を育てているせい?──No!
それは単に飲みすぎたテキーラのせいだわ。
私たちが何杯テキーラを飲んだと思う?──None!
テキーラも何も飲めないの。だって、あなたの小さくて可愛いモンスターをお腹の中で育てているから。あなたたちがしたことなんて、ただ転がって、眠りに落ちたくらいよ。
コメディっぽい番組なので、本気で怒っているわけではないと思いますが、妊娠の大変さなんてわからないのに、気軽に「僕たちは妊娠してるんだ」なんて言わないで、というメッセージになっています。
また、ミラクニス以外にも、このような女性側の意見もあります。
子育てに関しては、平等であるべきだと思っているわ。素晴らしい夫がいなかったら、二人の子供たちにも恵まれなかったし、子育てもできてこなかったことでしょう。
でも、どんなに夫が子育てに参加してくれても、彼には絶対できないこともあるの。「私たち」は二人とも親だし、二人とも子供を愛しているけど、「私たち」は出産してないし、「私たち」は授乳もしていない。
子供を授かってとっても嬉しい気持ちは分かるけど、「We’re pregnant」は実際間違っているし、身体的にも精神的にも過酷な妊婦生活に対して、配慮を欠くセリフでもあるの。
あなたがもし同性愛者で、夫婦お互いに妊娠しているのであれば、「We’re pregnant!」を使うのもわかるけど、そうでないなら、シンプルかつ正確、そして人から冷笑されない表現「We’re expecting」を使うべきよ。
出典:Today’s parent 概要翻訳:ハピバナ
「We’re pregnant」に賛成する男性たち
一方、男性側は、「We’re pregnant」の表現に賛成する人が多くなっています。子供が一人いる男性からはこんな意見が。
僕と妻が新しい命を授かったと知ったとき、僕はとても嬉しくて興奮を抑えられず「We’re pregnant」のフレーズを使ったよ。
親友のKatie(二児の母)が、「いいえ、あなたは妊娠してないわ。あなたの奥さんが妊娠しているのよ」と指摘してくれたけど、僕はこう言い返したんだ。
「いや、違う。僕はこの妊娠の過程、そして、生まれてくる子供の人生に、妻と同じくらい関わろうとろうとしているんだよ」
言葉というものは、とてもパワフルなんだ。僕は「We’re pregnant」と言うことで、妻をサポートするために、出来る限りのことをしようとしていたよ。そして、実際にそうだった。
妊娠、出産、助産師、そして育児に関する本は手に入るもの全て読んだし、妊婦検診には全て付き添い、出生前クラス(両親学級)にも必ず参加した。そして、子供が生まれたらすぐに5週間仕事を休み、さらに子供が1歳になる前には2か月の育休も取得した。
子供が夜泣きする度に起き上がり、妻の元に届けた。また、授乳の大変さを理解し、学ぶためにも、授乳コンサルタントとの面会にも全て立ち合った。
僕は妻と子供を最大限サポートし、育児参加してきたんだ。妻は本当に過酷な仕事を成し遂げてくれたけど、僕たちは「チーム」なんだ。
自慢のように聞こえたら許してくれ。でも、僕は自分の役割に誇りを持っているよ。そして、もっと多くの父親が、自分の貢献を軽視せず、祝うべきだと思うよ。
出産は地球上で最も素晴らしいことだと思う。妻が僕たちの子供を生んでくれたことに関しては、僕は一生頭が上がらないし、彼女に畏敬の念を抱き続けるよ。
「We are pregnant」のフレーズを使う男性に対して、ちゃちゃを入れたり、議論したり、そして訂正するという行為は、彼らの育児参加しようとする気持ちを阻害し、興奮を失わせているんだ。
僕の言葉のチョイスが技術的に間違っていることを気にするよりも、こんな議論はやめにして、僕たち父親の嬉しい気持ちを一緒に祝ってくれないか。
出典:Today’s parent 概要翻訳:ハピバナ
この方の育児参加への熱意はすごいですね!
授乳コンサルタントとの面会にも毎回顔を出すというくだりには、正直、女性の立場からすると、そこは家で待ってて欲しいかも、と思いましたが、、、あらゆる育児書を読んだり、赤ちゃんの夜泣きにも付き合う姿など、本当に頭が下がります。おーい、見てるー?うちの旦那様ーー。
イクメンが多い欧米社会
このようにWe are pregnantの表現には賛否両論あるものの、こんな議論が巻き起こるのも、世の男性にイクメンが多い海外ならではです。
「僕たち、妊娠してるんだ!」
確かに、妊娠中のツワリのしんどさや、体の負担、出産の苦しみなんて、男性陣には分かってもらえない。軽々しく、妊娠という言葉を使わないで、という意見も分かるのですが、このフレーズを発言する男性を見ると、父親になろうとする意識、夫婦で授かった命を二人で育てていこうという意思が感じられて、素敵だなと思いますし、尊敬します。
まぁ、正直、違和感は残るものの、、個人的には大賛成です!
日本も育児参加する男性が増えたとは言え、世界で見ると、まだまだ。家事分担で言っても、日本は「世界一、夫が家事をしない国」なんですって!
→参考情報:日本は世界一「夫が家事をしない」国 子供がいる夫婦の家事分担率で、日本の男性は各国比較最低の18.3%
男性の育児参加は、父親の育児休暇取得率にも表れています。
私の住んでいるカナダでは父親の育休取得率は30%、取得期間も平均3か月と長め。有給の育休制度がないアメリカですら、医療休暇や家族休暇を使って育休取得する父親が13.9%もいます。(データ出典元: 内閣府男女共同参画局)
一方、日本の父親の育休取得率はわずか2%。そして、その貴重な2%のお父さんたちの有給取得日数も、半数以上が1週間以下という超ド短期!
詳しくは下記記事をご覧ください。
カナダで夫が育休中!男性の育児休暇取得率、日本2%に対し、カナダはなんと30%です!
家事分担も、育休取得率も、日本は仕事に追われすぎているのでしょうね。職場や社会の理解度も少ないですし。
職場の理解や仕事の忙しさはなかなか本人の努力では変えることは出来ないかもしれませんが、まずは意識改革から!、と言うことで──
日本の男性陣の皆様、奥様が妊娠した折には、これから育児参加する決意表明として、「僕たち、妊娠しました!」とフェイスブックで報告してみる、なんていかがですか?
「おいおい」のツッコミを浴びつつも、育児への意識が芽生えてくるかもしれませんよー。
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