まるで日本人!?謝罪文化の根付くカナダでは、こんな場面でもSorryを言う!

更新 | 2017-03-28公開

 

日本とカナダ、遠く離れた国ですが、実はとっても似ている文化があるのをご存知ですか?

それは、意外にも、謝罪文化!

「日本人はなんでもかんでも謝りすぎ」なんてよく言われますが、カナダも負けていませんよ!今回は、日本人もビックリの、カナダ人のSorry文化をご紹介したいと思います。

こんなシーンでも?!カナダ人が謝るのはこんな時

まずは序の口からいってみましょう。

人がぶつかってきた!

普通に前を向いて歩いていたら、スマホを操作しながら歩いていた人がぶつかってきた!

はい、相手が100%悪いです。

でも、そんなシチュエーションでも、つい「I’m sorry」を言ってしまうカナダ人。そして、相手ももちろん「Sorry!」。

こうやって、ぶつかった人同士がお互いに「Sorry」を言い合っているのです。まるで日本にいるかのような光景ですね。

でも、お隣アメリカでは、全く同じシチュエーションでも、出てくる言葉は、たとえ自分に非があっても、「Excuse me」です。アメリカ人がカナダにきて驚くことの一つが、「カナダ人がよく謝ること」だそうですよ。

これに対し、カナダ人の言い分には、下記のような意見も。

向こうが前を見てなくて、私にぶつかってきたとしても、私にも目はあるの。私も避けられるのに、それが出来なかったんだから、謝るわ。 

人の前を横切らないといけない

商品を見ている人がいるけど、ちょっとその前を通り過ぎたい・・。よくスーパーなどであるシチュエーションです。

そんな時、学校ので習ったセリフは「Excuse me」。「すみません」=「Sorry」じゃないよ、なんて、よく先生から念押しされたもので。

でも、これ、カナダでは通じなかった!

カナダでは、こんなシチュエーションでも「I’m sorry」です。「ちょっと横切りますよ。あなたの邪魔になってしまって申し訳ありません」、そんな気持ちから、カナダ人は「Sorry」を発するのです。

次の人のためにドアを開けてあげれなかった

カナダでは、次に入ってくる人のために、ドアを押さえておくという、とても優しい習慣があります。

でも、次に入ってくる人が、まだ遠くにいたら?

驚くことに、多くの人がドアを押さえたまま、次の人が入ってくるのを待つ!心のゆとり、大きすぎでしょう。

でも、先を急いでいて、待っていられない時だってありますよね。そんな時は、まだ遠くにいる人に「Sorry!」と言って、ドアを押さえる手を離すのです。例えその声は相手に届かなくても・・。

道に迷った!

お店の場所が分からない!道に迷った!

見知らぬ人に、道を尋ねたいときにも登場するのはやっぱり「Sorry」です。

カナダ人女性のCandice Walshさんが書いたコラム”7 most ridiculous things Canadians apologize for“に、面白いエピソードがありました。

ヨーロッパ・モンテネグロの旅先でホテルまでの道が分からなかったCandiceさん。そこで、外に立っていたカフェの店員さんに

Sorry, can you tell me how to get to the Backpackers Hostel?

こう尋ねたところ、相手はニヤリと笑って、“Are you Canadian?”──と、糸も簡単にカナダ人であることが見破られてしまったそう。

カナダのSorry文化は他国に行っても有名のようです。

あのー、落としましたよ

前の人が何かを落とし、「落としましたよー」と、声をかける時もありますよね。そんな時も、カナダではこうです。

Sorry mister, you dropped your wallet!

まさに日本語の、「すみません、これ落としましたよ」と同じ感覚!相手を助けてあげているのに、なぜかSorryを使ってしまうその気持ち、よーーく分かります(笑)

レストランでケチャップが欲しい

レストランで何かを頼むときも、ついついこう。

Oh, sorry! Um, sorry, hi! Is it okay if … could I have some ketchup, please? Oh, thanks so much, sorry!

訳:すみません!あー、あのー、ごめんなさいね。もし大丈夫なら、ケチャップ頂いてもいいですか??どうもありがとう。ほんと、ごめんなさいね!

 

たとえ、ウエイターにとってはそれが仕事だとしても、出てくる言葉は「Sorry」。しかも、締めくくりまでもが、「Sorry」で終えてしまっているという、超低姿勢。

これはCBCのコラム”Sorry — can we talk about why Canadians apologize so much?”に書かれていたエピソードなのですが、コラムの筆者によると、カナダ人たちもこれが馬鹿げていることは、よーーく分かっているそう。「Excuse me? Do you have any ketchup? 」と言えばよいだけなのに、それでもついつい発してしまう癖のようなものですね。

相手の不注意で、交通事故にあっても

また、先ほどのコラムには、もう一つ筆者自身の体験が書かれていました。なんでも、自転車に乗っているときに、大きなトラックにひかれかけたそう!

トラック側の前方不注意だったそうですが、怒りと恐怖に震える中、トラック運転手に向かって、とっさに張り上げたセリフはやっぱり──

「Sorry!」

よく、『交通事故を起こしたら絶対謝ってはいけない』と言われますよね?

でも、カナダのオンタリオ州では2009年に謝罪法(Apology Act)が施行され、謝ったとしても、自分の落ち度を認めた証拠にはならないことになっていいます。自分に非がなくても、ついつい謝罪を口走ってしまうカナダ人を守るために、このような法まで整備されているとは驚きです。

でもね、この謝罪法はアメリカでも多くの州で導入が進んでいるのです。

導入されている理由は、賠償問題で不利にならないようにと、お互いが謝罪しない習慣が根付き、そのせいで余計に紛争が悪化しているから。

つまり───

🇨🇦:非もなく謝罪する人が多すぎて、そんな人が不利にならないために、謝罪法
🇺🇸:謝罪しない人ばかりで、紛争が悪化しているから、謝罪法

 

このように、どちらの国も終着地点は同じなのに、導入する背景があまりに正反対!両国の文化の違いを反映していて、面白いですよね。

バスですら

出典: Imgur/VivaAvacado

謝るのは人だけではありません。カナダではバスが謝ることも有名です。

事故にあってしまったときや、満員で乗車できないとき、そして回送中など、バスの電光掲示板に「Sorry」が表示されることがあります。

でもこれ、日本の工事現場などで見かける、謝罪看板に通じるものを感じませんか・・??

年に一度の大セール!目玉商品の争奪戦でも


カナダ中が盛り上がり大セール「Black Friday Sale」や「Boxiking Day Sale」。アメリカでは、目玉商品を狙って、引っ張り合いの激しい争奪戦が繰り広げられる一方、カナダでは列を作って、平和に入場。そして、ぶつかろうものなら、そこでもSorry。

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Wi-Fiでも・・・?!

最後にご紹介したいのが、私が思わず笑ってしまったSorry。

カナダに住んでいる私ですが、ご近所に犬を飼っているお宅があります。そこのお宅のWi-Fiアカウント名が──

まさか、Wi-Fiでもsorryに出会えるなんて、思ってもみませんでした(笑)そこのお宅の犬がどんなに吠えたとしても、これを見たら笑って許せてしまいます。

カナダ人にとっての「Sorry」の意味

さて、このように、様々な場面で「Sorry」を多用するカナダ人たち。彼らにとっての「Sorry」とは、どんな意味が込められているのか?

それは、単に「謝罪」の意味とは限らないようです。

Sorry=Excuse me

僕たちカナダ人は、確かに”Sorry”を多用する。でも、それは、”excuse me”や、スペイン語の”permisso”の代わりみたいなものなんだ。

カナダでは、Sorry=Excuse meの意味合いで使われることが多くなっています。

先ほどの例にも挙げた、落とし物をした人に声をかけたり、店員さんにお願いしたりする場面も、本来なら「Excuse me」であるべき場面ですが、カナダでは「Sorry」に。しかも、連発されがち(笑)

英語圏に行っても、「すみません(Excuse me)」のつもりで、ついSorryを口走ってしまう我々日本人ですが、、、カナダであれば、さほど違和感なく溶け込めますね。

相手を思いやる言葉として

先ほどの、年に一度の大セールの動画でもお分かりいただけるように、カナダ人の特徴に「Politeness(礼儀正しさ)」があります。

礼儀正しいカナダ人たちは、コミュニケーションをスムーズにし、お互いが気持ちよく過ごすためにも、「Thank you」とともに、「Sorry」を多用しているようです。

良い印象を与え、良い人間関係を築くために

また、自分に非がなくても「Sorry」を発言する理由には、争いや対立を避け、相手とより良い関係を築くためもあるようです。

2010年に行われたカナダ人の謝罪に対する調査によると、18歳から25歳の若者は、相手によく思われたいという気持ちが強く、仕事や日常生活での良い人間関係を築くために、より「Sorry」を多用する、ということが分かりました。

カナダに移住した私自身、「感じ良く」を心がけるカナダ人の文化を、良くも悪くも、実感しています。

  • 料理が口に合わなくても、決して悪くは言わず、「It’s interesting taste!」
  • 相手に何かを指摘するときは、「褒める」のサンドウィッチが鉄則。まずは褒める。そして本題の指摘。最後に、もう一度褒めて、全体の印象を良くして終わらせる。

こんな感じで、常に感じの良い発言にあふれているのです。

でも、それって表面上だけ?!本音はどうなの?!と思うこともしばしば・・・。こんな面すらも、ダイレクトに物を言わない日本人の性質に共通していますよね。

謝ることで、素早く問題を解決したい

寒すぎて、道のど真ん中で、どっちが悪いかを口論するなんて、ばからしいよ。凍えるくらいなら、すぐに謝るよ!

謝罪法があるように、謝ったとしても、それが非を認めたことにはなりません。それならさっさと謝って、丸く収めたい!面倒なことにはなりたくない!そんな気持ちも込められているのかもしれませんね。

まとめ

以上、Sorryを言い過ぎるカナダ人の文化をご紹介しました。

コミュニケーションの潤滑油として、そして、相手を思いやる言葉として「Sorry」を使ったり、自分に非が無くてもついつい謝ったりするカナダ人。

彼らは、お辞儀こそしないけれど、まるで日本人のよう!カナダに移住した筆者ですが、カナダ人のSorry文化は心地よく、そして、とても馴染みやすく感じています。

ご存知の通り、多民族が共生しているカナダです。SorryやThank youを多用することが、違う文化や習慣を持つ人同士が、争いもなく平和に暮らしていく秘訣にもなっているのかもしれませんね。

参考情報:
The use and abuse of ‘sorry’: Americans do not say it, the British do not mean it and Canadians overdo it
SORRY . . . I’M CANADIAN” AN ANALYSIS OF WHEN CANADIANS USE THE WORD “SORRY”
Canadians love to say ‘sorry’ so much, we had to make this law
7 most ridiculous things Canadians apologize for
Why do Canadians say sorry so much?

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