一時帰国で「住民票」戻すための条件やメリット、デメリットをまとめます

更新 | 2016-02-09公開

先日、日本に一時帰国した我が家。住民票を戻すかどうか、悩みました。周りの友人に聞くと、『短期滞在であっても戻す!』という人も多いのですが、なんせ今回の滞在期間は3週間でしたし・・

結局のところは、住民票を戻したわけですが、住民票を移すかどうかで、国保や年金、児童手当、子どもの学校、さらにはマイナンバーにも大きく影響します

住民票は戻せるのか、また、戻す場合のメリット、デメリット、そして、気になる国保や年金の支払い義務などについて、まとめてみたいと思います。

 

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海外在住者が一時帰国中に住民票を戻せるか?

そもそも、ここですよね。私の実家のある市町村に確認したところ───

ここが生活拠点になるなら、住民票を戻してください。生活拠点があると言えるのは、目安として、日本に1年以上住む場合です。

このような回答でした。

でも、実は、この『生活拠点』については、民法上で定義されているわけではなく、あくまで一つの判断材料でしかありません。

下記の2つのサイトでも説明されていますが、例え短期の一時帰国であったとしても、実家に洋服や生活用品などを置いている、といった客観的事実があって、『ここが私の生活拠点なんだ』と主張すれば、それは認められることに。なんて曖昧なんでしょう・・

Q.生活の本拠(拠点)とは何ですか(生活の本拠の判例解説)
A.「生活の本拠(拠点)」は、その人の事情で異なります。何を根拠として生活の拠点と見做すかについては、学説上の解釈ですら明確なものではなく、主観と客観の微妙な狭間に存在しています。つまり、ある程度の客観的な根拠があれば、本人の主張(~だから、ここが生活の本拠とする主張)を誰も否定することは、できません。

出典元:http://住民票.com

民法第22条(住所)解説趣旨

本条は、民法における住所の定義について規定しています。民法では、その者の生活の本拠となっている場所を、その者の住所としています。つまり、本条により、生活の本拠=実際に住み、生活の中心となっている土地の住所を、その人の住所とする、ということです。

本条の規定は抽象的な表現であるため、明確な定義であるといはいえませんこのため、実際の住所は、それぞれの事情を客観的に総合して判断されます。

出典元:http://民法条文解説.com

このように、民法上は、「客観的な事実と主張」によっては、短期滞在であっても住民票を戻せることになります。

しかしながら、民法上の規定が曖昧な分、役所ごとに対応が違っていて、短期滞在での転入は嫌な顔をされたり、拒否されることも。これはお住いの役所に要確認ですね。

我が家の場合、役所では1年以上居住するかどうか確認されたものの、マイナンバーを取得するために住民票を入れなければならない事情(詳しくは後述します)や、実家には洋服や生活用品もあるので生活拠点と言えることを話したところ、住民票を戻すことができました。

その上で、すぐに海外に転出することも伝えましたが───

転入した翌日から転出は可能なので、それは全く問題ないですよ。

このような回答が。1年以上の居住を確認しておきながら、翌日に海外転出してもOKという矛盾・・。うーん、やっぱりグレーな感じなのでしょうね。

 

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住民票を移すメリット

住民票を戻すことで、色々なメリットがあげられます。

国民健康保険

これは言わずもがなですね。何より、国保に加入できるのが一番ありがたいところです。これにより、医療費が3割負担で済みます。

子供の医療費無料(歯科含む)

子供に関して言うと、全国すべての市町村で、子どもの医療費を無料にする「乳幼児医療証」が発行されています。子供の対象年齢は、市町村によって開きがありますが、中学3年生まで通院・入院が全て無料という市町村が多くなっています。中には、22歳まで無料という市町村も!

また、乳幼児医療証の無料対象に歯科治療が含まれている市町村もあります。安心できる日本の歯科医院で、しかも無料で治療できるとしたら、この点はかなり大きなメリットと言えますね。

児童手当

これも子育て世帯には嬉しいところです。支給対象は中学生までで、支給額は下記の通り。

児童手当の支給金額・3歳未満と3人目以降のこどもが15000円
・3歳以上から小学生と中学生が10000円

出典元:http://jidouteate.com/

所得制限があるものの、海外からの転入の場合、それまでの日本国内での収入は無い方のほうが多いですよね。ただし、児童手当は月をまたいで滞在する場合でないと支給されないません。つまり、同月内の転入・転出の場合は支給されません

扶養控除

実家の住所に住民票を戻す方が多いと思います。その場合、親の扶養に入れば、親が扶養控除を受けられるようになり、税金が多く戻ってくることになります。

住民票を戻すデメリット

メリットの方は金銭的な面でありがたいものばかり。でも、やっぱりデメリットもあります。

住民税の支払い義務

ただし、これは1月1日に日本に滞在していた場合です。年末年始を挟んで帰国する場合を除いて、関係ありません。また、1月1日に日本に滞在していたとしても、前年度に日本国内での収入が無かった場合は、住民税はゼロになります。

国民健康保険料の支払い義務

保険料は月単位での計算で、加入した月から支払い義務が発生します。ただ、保険料の起算日は月末なので、保険料の計算にはくれぐれもご注意を。担当の方から話を聞いても、本当にややこしかったので、実際の例にしてみます。

3月1日に転入した場合の、保険料の例】

  • 3月30日に転出:0円
  • 3月31日に転出:3月分のみ請求
  • 4月15日に転出:3月分のみ請求
  • 4月31日に転出:3月、4月分の請求

 

このように、月をまたがない、同月内の転入・転出の場合は、国保の保険料は0円です。実際、我が家は月初めに転入、そして月末に転出だったのですが、驚くことに保険料は本当にゼロ円でした。

また、国保の保険料自体は、市町村によって異なります。

日本国内の収入がゼロだとすると、最低ランクの月額1万円程度になると思われます。無収入だとしても、案外高いですよね!ちなみに、市町村毎の保険料の試算には、ここのサイトがすごく便利でした。

ただし、親の加入している健康保険に扶養として加入する場合は、もちろん事情が異なります。親が支払う保険料は上がらない、もしくは値上がりしても、少額で済むようです。

2年前に収入があった人は要注意

海外居住歴がまだ2年足らずという方は、保険料が高額になる可能性があります。

それは、1~3月分の保険料は2年前の年収入を、4~12月分は前年の年収をもとに計算されるから。2年前の日本国内の収入で計算され、保険料が月額5万円を超えた、という友人もいますので、くれぐれもご注意くださいね。

年金の支払い義務

国民年金の保険料は月単位の支払いです。転入日が加入日となり、その月から支払い義務が発生します。国保と違って、同月内の転出・転入であっても1ヶ月分を支払う必要があります。

ただし、日本国内での収入がない場合は「免除」になる可能性も。我が家の場合も、同月内の転出・転入だったので、「無収入」であると宣言した書面に署名し、納付が免除されました。

子供の学校入学が義務

学童期のお子さんがいる場合は、学校への入学が義務になります。子どもにとっては、日本の学校を体験できるし、日本語能力も一気に上がるしと、むしろメリットと言えるかもしれません。

ただ、一時帰国中は親戚友人に会いに行ったり、旅行に行ったりと、いろいろ予定が詰まりがち。その都度学校を休ませるのは難しいケースもあると思います。

住民票を戻しているにも関わらず、子供を学校に登校させないでいると、教育委員会から督促が届き、場合によっては「10万以下の罰金」となることも。

体験入学であれば、住民票がなくても、受け入れを行ってくれる学校も多いもの。毎日通わせるのが難し場合、短期帰国の場合などは、体験入学を選ぶほうが良いかもしれません。また、学校側も、住民票を入れた生徒の受け入れは手続きが煩雑化するため、受け入れが嫌がられると言う話も・・・。

一時帰国中の体験入学については、下記記事にて。

手続きが厄介

そもそもですが、、、

転入手続きから始まり、国保、年金、児童手当、子供医療証など、役所での煩わしい手続きも大きなデメリットだと思います。転入手続きや各種手続きで1~2回は役所に行き、さらに転出の際にもまた役所へ行かなくてはなりません。

我が家の場合は、役所が混んでいたこともあり、一日では全ての手続きが終わらず、一時帰国中に4回も役所へ行かなくてはなりませんでした。特に短期の一時帰国の場合、この時間がもったいないですよね。

海外在住者のマイナンバー

マイナンバーは、2015年10月より、日本に「住民票がある人」に発行されています。海外在住者は、一度日本に帰国し、住民票を入れるまで、マイナンバーは発行されません。

ただ、銀行口座の開設、海外送金、医療機関の受診、仕事、年金受け取りなど、いろんな場面で必要になるマイナンバー。2016年1月からは銀行口座開設や海外送金で、マイナンバーが求められるようになりました。我が家も、今回の一時帰国では、まとまった資金をカナダに送金する必要があり、マイナンバーを取得するためにも住民票を戻しました。

発行までの期間は、市町村次第かもしれませんが、我が家の市町村の場合、番号の発行自体は割と早く、カードも2週間程度で自宅まで送付されてきました。カードが手元に届けば、銀行口座の開設もできるようになります。

海外に再度転出した場合、マイナンバーは無効になるので、帰国している間に口座開設や海外送金を済ませておきましょう。

ただ、一度採番された番号は一生変わることはなく、再び転入した際には同じ番号を使うことに。そのため、一度取得したカードをスキャンして画像取得してしまえば、再び海外転出した後も、口座開設などの証明画像として使えてしまいそうな・・・気もしますよね。これは完全に不確かな情報ですが。

住民票を戻す際に必要なもの

  • 日本のパスポート
  • 外国籍のパスポートの場合は「戸籍抄本」も必要

最後に、住民票を戻す手続きに必要な持ち物を。

海外からの転入の場合、入国日の確認のため、家族全員のパスポートを提示する必要があるので、パスポートの持参をお忘れなくです。

パスポートは外国発行の物でもOKですが、その場合は戸籍抄本も必要です。我が家も、娘はまだ日本のパスポートを取得しておらず、カナダのパスポートしかありませんでしたが、娘の戸籍抄本を提出することで、問題なく転入手続きが出来ました。


以上、一時帰国で住民票を戻すことのメリット・デメリットのご紹介でいた。

国の制度である住民票の転入や国保の受け入れが、市町村ごとに対応が異なるというのは、なんともおかしな話ですね。医療費の問題もあって慎重になるのも理解できますが、マイナンバーにも関わることですし、より柔軟に受け入れてくれたら、と思うのですが・・。

さて、今回は真冬の帰国で、インフルエンザなども流行していましたが、国保に加入できたおかげで、安心して滞在できました。ただ、次回の一時帰国でも住民票を戻すかというと──

恐らく、住民票は戻しません。

というのも、何度も役所に通って手続きするのが面倒!且つ、子供が学童期に入るから。学校にはぜひ通わせたいのですが、毎日通学するのも大変ですし、受け入れ先の学校にも迷惑をかけそうなので・・・。国保のメリットはありがたいのですが、やはりデメリットも考慮しなくてはいけませんね。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。今回の我が家の経験や記事の内容が皆様の参考になると幸いです!

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6 コメント

  1. はじめまして。
    一時帰国の際の住民票に関して検索していて、こちらにたどり着きました。
    もうすぐ一時帰国するのですが、子供の日本のパスポートが間に合わず、カナダのパスポートしかない場合でも住民票を戻せるのか不安だったのですが、戸籍謄本があればなんとか大丈夫そうですね。
    私も日本滞在中に子供のパスポートを作ろうと思ってます。
    ひとつお聞きしたいのですが、以前は住民票を戻した際に国保にもその場で加入できましたが、マイナンバー施行後はどうなっていましたか?
    番号が自宅に届くまで待たないといけないのでしょうか?

    • べこさん、コメントありがとうございます。
      一時帰国、楽しみですね!
      マイナンバー施行後も、その場ですぐに国保加入ができましたよ。

      • 返信ありがとうございます。
        その場で発行出来るんですね!安心しました〜。

        今回の記事、とても参考になりました。
        改めて、ありがとうございました!

  2. 一時帰国者の健康保険を調べて調べて、こちらにたどり着きました。昨年、娘親子が帰国した際は父親の社会保険の扶養に出来ましたが、今年は3カ月未満なのでダメだと言われ、途方にくれつつ、こちらを見てから市役所に相談してみましたら、国保に加入しても、さいたま市では海外の学校に通学している場合、「海外学校等就学届」と言うものを提出すれば、住民票のある地域の学校に転入しなくてもいいと言われまして、ちょっと安堵しました。この季節、インフルエンザやら何やら流行っていますし、どうしようと途方にくれていました。ここにたどり着くまでは、国保には加入なんて無理だって思い込んでいたので、本当に助かりました。ありがとうございます。(娘家族は国際結婚でポーランドから一時帰国します)

  3. 以下のステイトメントは事実とは異なるのでご指摘させていただきます。

    ”印鑑証明

    日本の印鑑証明は、住民票を入れて初めて取得可能になります。

    海外に永住していたとしても、遺産相続や保険金の受け取り、国民年金の受け取りをしたい場合は、印鑑証明が必要となるため、必ず住民票を戻す必要があります。

    逆に言えば、海外永住者が遺産相続や年金の受け取りを行う場合、民法で定義されている「生活拠点」が無い状態であるにも関わらず、住民票を戻す必要があるわけです。なんとも矛盾していますね・・。”

    実は、署名証明というものがあり、各国の日本領事館で取得できます。これは、海外在住の際に印鑑証明の代わりになるものです。よって、無理に日本に住所を移さずして、印鑑証明が必要である手続き(住宅の売却、遺産相続他)が可能です。

    以下外務省のサイトを参考になさってください。

    http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/page22_000554.html

    • らのりんさん、ご指摘いただき、どうもありがとうございます!
      このような証明書があるのですね。
      貴重な情報を教えていただき、本当に助かりました。
      この記事の内容はすぐに正確なものへと修正いたします。
      改めまして、どうもありがとうございます。
      もしまた何か気付かれた点などあれば、ご指摘いただければ幸いです。

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